政府・自民党が「観客がチケットの払い戻しをしなければ、それを公演実施者への寄付とみなし、所得税の優遇措置を受けられるようにする」という策を打ち出し、関係者と観客の間で怒りが噴出しました。
コロナ禍:1、2、3、4、5、6、7、8。9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26
「購入者が払い戻しを受けなければ、主催者に寄付したとみなし、所得税の優遇措置を受けられる対象に」
「寄付金に対する税制優遇の対象を拡大し、イベントの運営会社や主催団体などを追加する方向」
…観客に頼るの?!
(払い戻しをしないという選択が増えるのはいいけど)国が補填しろ! https://t.co/7WUAeRWjPP
— 高野しのぶ🌹(しのぶの演劇レビュー) (@shinorev) March 31, 2020
やっぱり政府・自民党の案なんですね…。
観客も生活が一気に苦しくなっているんです。国民に頼るのはやめてください!
国が自粛を要請したせいで、それに素直に応えたイベント事業者が大赤字を被っているんです。
国が補填するのが筋です!
きれいごとでごまかさないで!#自粛と給付はセットだろ https://t.co/B00l4kLxeB— 高野しのぶ🌹(しのぶの演劇レビュー) (@shinorev) March 31, 2020
舞台芸術業界で多くの方々がお世話になっている福井健策弁護士が、エンターテインメント業界の損失に対し、「(国が)今支援せずに、いつするのだ」というツイートを連投してくださいました。
つまり、中止イベントのチケット払い戻しを辞退する観客に期待して、その人の税金が少し安くなるかもしれない制度をこれから導入する。もし辞退が増えれば関係者が助かる。それが今回とりまとめた中止イベントへの支援策だと。
わかった。なるべく冷静に状況を説明しよう。https://t.co/nJ2zgbBO23
— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) April 2, 2020
ぴあ総研が発表した文化・スポーツイベントへの影響(≠正確な損失)。中止により収入がゼロ又は減少したイベントは81000、観客数5800万人、その入場料総額1750億円。5月末まで中止なら倍増。①中止になった膨大な無料イベントの経費損失、②グッズ収入などの損失は含まない。https://t.co/4UPbr3rJVU
— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) April 2, 2020
なぜ損失が膨らんだか。最初にイベントを名指しで政府の自粛要請があったので、直前のイベントも率先して中止したからだ。中止率は下記データでは3月上旬で90数パーセント。繁華街など他業種と比べて突出して高い。
そしてイベントは、中止が直前になるほど損害は膨れ上がる。https://t.co/0yWl93vkLm— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) April 2, 2020
だからこそ先日ベルリン市長も、まずはフリーランスや給与生活者の生活保障が第一としつつ、その上でイベント中止などで大きな損失を被った事業者の救済を訴えた。
イベントや芸術文化が特別だからか?違う。中止が最も痛手になる人々が、率先して取り組んだ結果、損害額が桁違いに大きいから、だ。— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) April 3, 2020
辞退した観客を優遇する制度には賛成だ。だが危機は今だ。だからこそ各国は強力な支援策をただちに打ち出したのだ。
社会のためにと強く自粛要請を繰り返しつつ、自粛は自己責任だと突き離す。その結果、連鎖倒産が更に広がって困窮する人々が増えれば、それはコロナ禍ではない。それは、人災だろう。— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) April 3, 2020
知人の舞台プロデューサーから送られて来たメールには、損失のことは一言もなく、ただ、こう書かれていた。
「何年もの構想を経て作り上げた公演が日の目を見ずに消えていくことの虚無感は、言葉に出来ません。」イベントと芸術文化はずっと、我々に力を与えて来た。今支援せずに、いつするのだ。
— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) April 3, 2020
なお、各国の緊急支援策は下記。加筆して行きます。
>危機のライブイベント・芸術文化への、各国の緊急支援策を概観する https://t.co/hF73GuI0jz
— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) April 3, 2020
↓2020/04/04加筆
もう、限界ではないか。「自粛」に従う者と、従わない者の不公平がひどすぎる。
これでは本当に正直者が馬鹿を見るし、実効性も出ない。政府は不十分でも良いので、自粛に従ったことの損失をある程度は反映した補償方針を、早く表明すべきだ。その上で、従わない者にもっと対応すべきだろう。— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) April 4, 2020
↓2020/04/06加筆
■福井健策氏「いち早く閉鎖に応じたイベント界・芸術文化の危機と、社会にとっての重要性は、かなり浸透して来た」
「チケット大手のぴあによれば、年間9千億円とされる市場規模の20%近くの損失」
「5月末まで続くと損失は40%近くに達する」
「成熟化した日本経済にとって内需とインバウンドは不可欠で、ライブ・エンタメはその柱」
「今の息苦しさを和らげている一つがエンタメである事実を忘れてはいけない」 https://t.co/UeqgnoD3Da
— 高野しのぶ🌹(しのぶの演劇レビュー) (@shinorev) April 6, 2020
日経がついに社説で、「中止・延期した公演の損失補填や再開までを支援する助成金制度、アーティスト達への生活支援」を訴える。
先日のクールジャパン担当大臣の声明といい、いち早く閉鎖に応じたイベント界・芸術文化の危機と、社会にとっての重要性は、かなり浸透して来た。https://t.co/Z77APUOORf— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) April 6, 2020
もっとも、固有の支援に時間がかかるなら、まずは「自粛に応じた事業者一般の損害額を公平に反映した補償」で良いのだ。
自粛にいち早く協力した結果、イベント・芸術文化界の損害はそもそも突出している。それを多少でも反映した公正な補償があれば良いし、「公益だが自己責任」では、もう持たない。— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) April 6, 2020
↓2020/04/12加筆
■中小の事業者に向けた各種助成・融資・猶予の制度を経産省がまとめたパンフレット
中小の事業者に向けた各種助成・融資・猶予の制度を経産省がまとめたパンフレット。役だつ。
だがざっと数えて25制度以上。申請先も申請期限も書類も全てバラバラだ。経営危機に直面した人々がそれを全部理解して申請先を選び、膨大な書類を作って個別の窓口に出かけるのか。https://t.co/l4dUH9Ze4X— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) April 7, 2020
例えば、休業中の賃金等を支援する雇用調整助成金の必要書類だけで、NHKによれば11種類。不正を防ぐためだろうが、恐らく今、一番致命的なのはその霞が関の完ぺき主義だ。簡素化とスピードが至上命題だろう。
不正受給する輩が一部で出れば、犯罪だ。後日摘発して返金させ、きっちり処罰すれば良い。— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) April 7, 2020
給付条件がバラバラなのはしかたがないだろうから、せめて一次窓口をオンラインで一本化し、「休業なのか売上減少なのか、幾ら減ったのか、何に使うために幾ら欲しいのか」などチェックさせて一括申請させ、制度を熟知した役所側でそれを適した複数の支援制度に配点するようにはできないのか。
— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) April 7, 2020
■4月8日:福井健策氏「危機のライブイベント・芸術文化への、各国と日本の緊急支援策を概観する」
「とり急ぎの提言」
①3~4月期に自粛に協力した事業者への更なる支援策
②スピードと簡易化
③コロナ後への準備
④情報プラットフォームと協議体
ついに政府が経済対策を公表したのを受け、大急ぎで文化・エンタメに関わる支援メニューの概要、諸外国の支援策との比較、そして2次対策の提言をまとめました。
ちょっと、疲れました。>危機のライブイベント・芸術文化への、各国と日本の緊急支援策を概観するhttps://t.co/hF73GuI0jz
— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) April 8, 2020
■4月8日:全国知事会「緊急事態宣言を受けての緊急提言」/声は届く!
「イベント等の自粛について、国は中止・休止に伴う営業損失を補償すべき」
山が動きはじめましたね。多くの人が押せば、動くでしょう。>全国知事会「緊急事態宣言を受けての緊急提言」https://t.co/Q4dChdQhmj
— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) April 8, 2020
■4月11日:福井健策さん「イベント・文化セクターはビジネスの仕組みとか損失について具体的に語る必要がある」
どうも色々話を聞くと、政府や行政側は2月末に突然自粛を求めた際、「ライブイベントも休めばその期間の収入がなくなるだけ」という程度の認識だった節がある。1つの公演を中止すれば、その前の数ヶ月以上の投資が全て損失になり、その期間全部が無収入になるという当然のことすら、判っていなかった。
— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) April 11, 2020
だから谷さんのこのつぶやきへの反応にもあったが、イベント・文化セクターは小規模から大規模まで、自分達のビジネスの仕組みとか損失について、たぶんもっと具体的に語る必要があるのだと思う。深刻さの事実が伝わらないから、見舞金レベルで上等という発想が出るのだろう。https://t.co/AO2BdCyaYe
— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) April 11, 2020
■4月14日
イベント自粛という選択は、きっと今、正しい。ただ、同じするにしても、「生きること」の上に付加品として「芸術文化」が乗っていたと考える人と、「生きることの一部である芸術文化」が消えかねないと考える人では、捉え方がだいぶ違うかもしれない。
— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) April 14, 2020
■4月16日
リモート自撮りによるミュージカル界総出演+公募600名の『上を向いて歩こう』。
手弁当・完全手作りの、宮本亞門さんと仲間達のプロジェクトです。人を介した亞門さんの電話から始まり、法務サポートしました。https://t.co/R1XNzEoVE8— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) April 16, 2020
■4月16日
インタビューに答えました。ご興味あれば。
>コロナ禍がもたらした日本の芸術文化・エンタメの危機 https://t.co/tmVDLcTHwk— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) April 16, 2020
さて、自分は、自治体が作品に資金提供する形の支援にも全く異論はない。
ただ、それ以上に最優先は、要請に応じていち早く作品の中止を決断して被ったアーティストや主催者達の損害を、要請した側が公平に負担することだろう。そうすれば、彼らは自分達の本来作るべき作品に戻ることができる。— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) April 16, 2020
■4月17日
2/26の要請に応じて中止した演劇公演の損失額と、今後の各団体の活動見通しについて、実態調査を続けている。今日、最初の中間集計が出た。
予想を超えている。
政府関係者にも伝えたが、力を集めて対応を加速しなければ、社会は大きなものを失いかねない。— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) April 17, 2020
先日の、ベルリン市長や寺田議員も加わったイベント中止と文化支援をめぐるトークが、「メディアの現場」に全文掲載されましたね。映像アーカイブは下記なので、ご興味あれば。 https://t.co/AwpXLgw8ab
— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) April 17, 2020
■4月21日:福井健策氏「とにかく配信がキーワード」
とにかく配信がキーワードということで、その権利処理の相談が多い。
報道など見ると、「これはたぶん権利はかなりすっ飛ばして(or わからず)流しちゃって大注目されてるんだろうな」という企画も多く、逆に厳密に気をつかい過ぎてさっぱり進まない配信プロジェクトとの格差を感じる。— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) April 21, 2020
真面目な所ほど進めないのはさすがにまずいので、権利者、特にレーベルは既に十分遅れている原盤権の許諾容易化を進めたり、「恋ダンス」のような時限的なガイドラインを発表してはどうか。
現在の窓口は各社個別対応が基本で、オンライン申請さえできないところが多い。https://t.co/DyZConsp7w— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) April 21, 2020
原盤権は、放送番組のネット対応はようやく進んだが、(無観客含む)ライブや他の配信対応はほとんど手つかずだ。今こそ進まないなら、いつ進むのかという話だろう。
— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) April 21, 2020
■4月28日:消えた劇場の灯、キラキラと輝く舞台を再び 福井健策弁護士が語る「コロナからの再生策」
このままではライブや劇場文化に取り返しのつかない打撃があるのではないかと…。歌舞伎好きとしてもとても心が痛む話でした…。
消えた劇場の灯、キラキラと輝く舞台を再び 福井健策弁護士が語る「コロナからの再生策」|弁護士ドットコムニュース https://t.co/0SEQpPmEVh @bengo4topicsさんから— 猪谷千香🍋 (@sisiodoc) April 28, 2020
↓2020/05/28加筆
■5月1日
そう言えば、「かつて問題発言をした芸術家がいるので、誰も芸術文化を守ろうとしない」という趣旨の発言を見た。
幸いなことに、これは事実ではない。映画館やライブイベントを守ろうとする声は、極めて多い。そもそも個別の発言の当否と文化支援は、全く別問題だとわかっているからだろう。— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) May 1, 2020
支援の必要性は、個々人への評価や、個々の作品への賛否とは本質的に無関係だ。
例えば教師の不祥事が報じられても、教育支援じたいの必要性に対する我々の支持は揺るがない。研究不正に関する報道を聞いても、学術振興への社会の支持は揺るがない。支援の受益者は、我々社会でもあるからだ。— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) May 1, 2020
■5月4日
全文はこちら。「文化施設、比較的小規模なイベントの開催などは新しい生活様式を参考に、防止策を十分に講じた上で実施していただきたい」「今後2週間を目途に、業態ごとに専門家の協力得ながらガイドラインを策定」
>【首相記者会見全文】(3) https://t.co/FzoNcnWndA— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) May 4, 2020
さて、新たな政府の対処方針全文はこれ。
「まん延防止」の項(p13~)では、新しい生活様式の実践を全面に打ち出しつつ、イベント自粛の要請は継続。特に大規模・全国的イベント等の抑制を強調。美術館・図書館・公園等は、13都府県でも自治体判断で開放容認へ。https://t.co/ZkldABMbuS— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) May 5, 2020
13都府県以外については、50人までのイベント、四方を空け(いわゆる市松か)2m間隔をとった50人までの劇場・映画館は緩和の方針を別途通知。他方パチンコ店は、間隔を空ければ人数の制限なく容認。https://t.co/yAX7C2csHp
— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) May 5, 2020
なお、別添で「国民が必要最低限の生活を送るために不可欠」として、政府が事業の継続を求める事業者をリスト化。飲食店・喫茶店類は名指しで事業継続を求めたが、文化関連はネットを含むメディア以外は言及なし。
徹底的に文化を軽視した政権として、後世に名を残すだろう。
— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) May 5, 2020
その上で、事業者に業種や施設種別ごとにガイドライン策定を求め、政府は必要な助言をおこなうとした(p16)。
現場ごとの仕組みを理解しないまま、唐突に一律で中止を求めて関係者を苦境に追い込んだ轍を踏まないよう、現場と政府が知恵を出し合う体制を取るべきと伝えて来たが、この点は評価できる。— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) May 5, 2020
先駆けて、専門家会議は業種ごとのガイドラインの留意点を発表(下記p10~)。業種ごとに指針を作り、専門家に監修など求めつつ試行錯誤することを強く求めている。https://t.co/uiZek2tdzY
— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) May 5, 2020
各業種共通の留意点は、接触・大声などの生じる箇所の特定、なるべく2m(最低1m)の距離確保、入場者の整理、手指の消毒設備、マスク着用、換気、施設消毒、症状がある人の入場制限。
基本的な考え方として、自由と権利への制限は必要最小限、段階的緩和、地域ごとの対応、見直しと再対応、を明記。— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) May 5, 2020
安全性を高めつつ、一歩ずつ、ライブイベントや映画館の復活に希望をつなげるかは、実効的なガイドライン作りにかかっている。政府・専門家と密に連携しつつも、絵に描いた餅ではない現場主導の指針が必要だろう。
— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) May 5, 2020
■5月12日「オンライン教育に追い風 著作物の利用が原則自由化、条件は? 」
インタビュー記事です。基本的な注意点のまとめですが、ご参考になれば。
>オンライン教育に追い風 著作物の利用が原則自由化、条件は? https://t.co/pzOU94EjP4
#日経クロストレンド— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) May 11, 2020
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