【ご報告】「2024年3月の気になる舞台」に代えて/近況報告など

 毎月の個人的まとめです(⇒先月分)。2月は無理をして体調を悪化させてしまいました…。昨年やりのこしたことに手を付けるつもりが、全くできず…。

 「CoRich舞台芸術まつり!2024春」(⇒応募のコツ)の最終選考10団体が発表されました!

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■HOT NEWS!(舞台関連)

  
・【必読】大衆演劇のこれからをファン目線で考える会「大衆演劇ファンによる座談会記録 ――気になること、望むこと
・日本舞台美術家協会「JATDT舞台美術作品データベース」公開
「舞台芸術家」に適切な医療を けがの治療・予防、支援探る 「日本舞台医学会」が旗揚げ
・東宝『ジョジョの奇妙な冒険(略)』一部公演中止に伴い観客が手配済の交通費および宿泊費も負担(←まれなこと
映画監督・俳優の榊英雄氏が逮捕
宝塚歌劇団がパワハラを一部認め、会長が辞任
・【アーカイブ公開(3/10まで)】「舞台芸術に関わる方に向けたハラスメント防止講習」⇒ ⇒
・【署名】【大学・文科省・国に】芸術系大学の芸術祭・オープンキャンパス・卒業制作展などでの迷惑行為(ギャラリーストーカー行為)への対策を求めます!
・「未来の性教育・性的同意のあり方を考える~刑法性犯罪規定の改正でなにが変わったの?~」(3/16、於上智大学四谷キャンパス)

・警視庁「ぴったり相談窓口

・拙サイトTOPページの「厳選!ワークショップ・オーディション情報など」を更新しています。

■2024年2月の備忘録

 
 今月は7回に分けました(⇒1234567)。私自身のための記録です。もしご興味あれば、クリックして目次を眺めて下さい。
 俳優指導者についての投稿に反応をいただいたので転載しておきます。長年、言っております。

■近況報告

 
 東京芸術劇場『インヘリタンスー継承ー』の前篇を拝見しました。休憩込み3時間以上の上演後に劇作家のトークがある回に伺い、まんまと「クラッシュ」。電車での往復にチャレンジしたのもまずかったですね…自業自得です。後篇は大変残念ながら断念しました(涙)。急激な体調悪化以降、ようやくまともにパソコン仕事ができるぐらいには回復しましたが、「クラッシュ」前の状態には戻っていません。コロナ後遺症はこの逆戻りが辛いですよね…。
 そんななか、確定申告を済ませました(偉すぎるだろ私)。いや、医療費がかさんでましてね…税金を取り返したい一心で、執念でやり遂げました。

■先月のしのぶ/観た舞台など

 
【観劇】新国立劇場演劇研修所17期生修了公演『流れゆく時の中に』
【観劇】東京芸術劇場『インヘリタンスー継承ー』の前篇
【ZOOM講座】「舞台芸術に関わる方に向けたハラスメント防止講習①人権についての基礎知識」

 タクシー往復で伺った新国立劇場演劇研修所『流れゆく時の中に―テネシー・ウィリアムズ一幕劇―』は上演時間も長くないので無事でした。17期生の公演は『朗読劇 ひめゆり』『君は即ち春を吸ひこんだのだ』に続いて修了公演も拝見でき、俳優の卵の皆さんの成長の過程を覗かせていただけたように思います。
 修了公演は俳優マネジメント事務所へのお披露目の機会でもあるので、満遍なく出番があるように短編集にされたのかなと思ったのですが(もちろん演技訓練のためでもあるでしょう)、個人的には『君は~』の方がアピール力は高かったんじゃないかなと思いました。全体的に何かしらのルール(ミザンス、段取り等)が優先されているようで、出演者が窮屈そうでした。ギターの生演奏があったのは贅沢で、私は最前列真正面から堪能できて幸運でしたが、演出効果としての必要性は感じませんでした。

 東京芸術劇場『インヘリタンスー継承ー』の前篇は長さを感じさせない見事な上演でした。映画「ハワーズエンド」を見ておいてよかった!熊林弘高さんの演出作品に触れていつも思うのは、出演者が伸び伸びとしていて、とても楽しそうだということ。『インヘリタンス』でも生き生きとした有機的なアンサンブルに魅せられました。俳優ってなんて素晴らしいんだろう!ひたすら尊敬しちゃう。
 ただ、鑑賞中に幾度も頭に浮かんできたのは「女性として生きる性的マイノリティーの物語に触れる機会が少な過ぎたのではないか」という自分自身への問いかけでした。舞台上に男性俳優しかいないことへの居心地の悪さもあり…ゲイ男性の物語なのだから当然なんですけどね(麻実れいさんは後篇のみ出演)。

 そこで「コレだ!」と思いついて鑑賞したのがNHK夜ドラ「作りたい女と食べたい女」。私は山田由梨さん(贅沢貧乏)のXをフォローしてまして、気になっていながらまだ見ていなかったのです。

 めちゃくちゃ良かった………個人として尊重されている人間同士が、お互いを大切にしながら言葉を選んで、恐る恐る意思疎通をする様子がじっくりと描かれます。涙がホロホロと流れ続けました。私の中にあった不満や怒りがほどけて、心が癒されていったのだと思います。友人間の会話や職場の会議の場面では、個人の思いと言葉をその場の全員が受け止めることが前提になっており、ゆるやかに、でも確実に積み上がって染み込んでいく豊かなコミュニケーションが例示されます。焦らず、煽らず、誇張も卑下もせず、正々堂々と新しい社会を見せてくださっているのだと思いました。
 バレンタインデーのエピソードではチョコレートの授受にまつわる男女の不満が解消されていて痛快でした。おぞましい過去や厳しい現実をリアリスティックに再現するだけだと、視聴者(観客)を再度傷つけ現状維持に加担する可能性があります。待望されている(架空の)社会の姿こそ表象すべきだと再確認しました。NHKプラスで一部、NHKオンデマンド(有料)で全編見られますので是非。※私は全エピソードを見たわけではないです。原作マンガも読んでいません。

 大河ドラマ「光る君へ」は退屈になってきたのですが、まだ見ています。脚本が大石静さんなので、それを頼りに(支えに)もう少しがんばろうかな。

 オンラインで実施してくださったので、露木友子さん (臨床心理士・公認心理師)の講習をやっと受講できました(まだ第1回のみ)。この数年間、演劇人向けに講習をされてきた露木さんだからこそ知り得た知見をシェアしてくださいました。穏やかで優しい語りに安心できました。「舞台芸術に関わる方に向けたハラスメント防止講習」全2回のアーカイブは3/10まで公開中。

■先月のしのぶ/読んだ本

 
 安丸良夫著「日本の近代化と民衆思想」をようやっと読了。凄い本でした…(語彙力なさすぎ)。一揆って人間のエネルギーが暴発するような運動だったんだな…。生まれ育った国に長い歴史があり、それを母国語で学べるのは本当に幸運だと思いました。「勤勉、倹約、孝行などができないのはダメ人間」という思い込み(通俗道徳)が棄民に直結しているんですね。ついつい礼儀作法などを気にしがちな私自身の常識を疑って、弱者の立場に立った上で何が重要か、何を優先すべきかを考えて行動していきたいです。

 森永卓郎著「ザイム真理教」をもとにしたマンガ「日本を破滅に導くザイム真理教の大罪」は届いたその日に読了。マンガなのでね。「政府の赤字は国民の黒字だからもっと財政出動せよ」という考えの根拠がわかりやすく解説されています。「失われた三十年」の原因は日本企業がイノベーションを起こせなかったせいでも、給与を上げず内部留保を増やしたせいでもなく、消費税なのだと看破。財務省が望む財源確保をする場合の、庶民の負担を増やさない増税方法も提案されています。マンガは入口なので、気になったら「ザイム真理教」をどうぞ。

■今月のしのぶ

 
 今月の観劇予定は先月ご紹介した市原佐都子さん作・演出、原サチコさん出演の『弱法師』と CoRich舞台芸術!プロデュース【名作リメイク】『イノセント・ピープル〜原爆を作った男たちの65年〜』の2本です。行けるかどうかは体調次第…。 

 畑澤聖悟作『イノセント・ピープル』は2010年の劇団昴での初演に感動し、知り合いの制作者や演出家に戯曲を郵送して「上演してください!」とアピールした記憶あり(熱いな私)。
 ⇒(恥ずかしい)初演レビュー
 ⇒2010年の「しのぶの観劇ベストテン」のNo.1戯曲
 公募のオーディションがあったのでキャストの顔ぶれがとても新鮮なんですよね~、好きな俳優さんも複数人出演していて嬉しいです。

 畑澤さんの初の戯曲集に『イノセント・ピープル』も収録されています。これは買いでしょう!

 主演の山口馬木也さんが出演されているCoRich舞台芸術!チャンネル【劇トクッ!】を拝見。舞台上のお姿しか知らない(テレビも日本映画も見ない)せいか、意外なことだらけでした。蜷川幸雄さんに叱られた話が強烈(笑)。平幹二朗さんとの飲み会での会話にはグっと来ました(広島は『イノセント・ピープル』にもつながりますね)。山口さんは謙虚で真面目な方なんだろうな…お人柄が伝わる番組でした。私も「思いやり」こそが大切なのだと感じています。

 今月のNTLiveは「ディア・イングランド」(3月22日~)。これも体調次第ですね…日本橋も池袋も私には遠い(涙)。
 読売演劇大賞最優秀作品賞を受賞したイキウメ『人魂を届けに』が配信されます(3月19日~25日)。

■イスラエルがパレスチナのガザ地区で行うジェノサイド

 
 パレスチナで起こっているのは戦争ではなくジェノサイドです。ジェノサイドとは民族浄化を含む大量殺戮です(⇒参考)。

 演劇に携わる方々がジェノサイドを止めるために、目に見える行動を起こしています。観客にもできることはありますので、やりましょう(⇒先月のまとめ)。

 そして、このジェノサイドを安易に“作品”にしようとしないで欲しいと強く思っています。今おこなわれている大量殺戮は“題材”、“ネタ”ではありません。地球上の誰もが関係していると言ってもいい、現在進行形の人災です。

■コロナ感染予防に高性能マスクと空気清浄機

 
 くどくどとしつこいですが、コロナに感染しないための努力を惜しまないで欲しいと思っています(⇒先月のまとめ)。室内では高性能マスクを着用し、機械換気をしましょう。窓開け換気だけでは効果薄です。空気清浄機の導入をお勧めします。簡単なのはエアコンにクレアウィンフィルターを貼ることです。

 日本のコロナ後遺症患者は500万人以上らしいです。

コロナ後遺症は「最大500万人」リスクを訴え続けてきた医師「新たな国民病」と危機感 理解不足で孤立する患者も多く、支援態勢の整備が急務