OrganWorks『ひび割れの鼓動-hidden world code-』03/25-03/27シアタートラム

 運営協力をしている催事「CoRich舞台芸術まつり!2022春」の最終選考対象10公演のうちの1本です。※私は審査員ではありません。
 応募文章:https://stage.corich.jp/festival2022/detail/100428

 3月上旬からびっこを引いて歩いておりまして、これまでの審査対象3公演(⇒123)に続き、この日も自宅・劇場間をタクシーで往復しました。この公演の前にあった大阪での公演(壱劇屋『不思議の国のアリス』⇒応募内容)は、遠方だったので行くのを諦めました。申し訳ございませんでした。

 劇場ロビーで制作さんが私の足に気づいて、移動しやすい席に変更してくださいました。もう…涙出そうだった…。ご親切に感謝いたします。本当にありがとうございました!シアタートラムがもっと好きになりました。

≪作品紹介≫ https://stage.corich.jp/stage/121733
今回のテーマは「コロス」。
歌って踊り、物語を語った「コロス」は、古代ギリシャ劇の前から存在した。
そして「コロス」の中から「俳優」が現れギリシャ悲劇へと発展し、「コロス」はその中で役割を変えていった。
彼らの存在と変遷は、何を意味するのか。

ゲストダンサーに川合ロン、俳優に佐藤真弓(猫のホテル)と薬丸翔、
テキストに劇作家の前川知大(劇団イキウメ/カタルシツ主宰)を迎え、「コロス」について考えてみる。

音楽には愛知県在住のRAMZAを、衣装にはsuzuki takayuki を迎えてお贈りします。
≪ここまで≫

 真っ黒な空間に、大きな白い布に覆われた大きなステージがあります。よじ登るのに少し苦労するぐらいの高さがあり、パフォーマンスは主にその上で行われます。ステージの周囲にはまばらに、細長い白い棒が数本、刺さっています。棒高跳びの棒のような長さで、白樺の木々のよう。卒塔婆に見えなくもないです。

 白いコートを羽織る俳優2人(薬丸翔と佐藤真弓)は言葉を使います。その他のダンサーたちの衣装は体にややフィットするデザインで、色合いは淡い灰色のグラデーションです。彼らは無言でした。言葉を操る人と体を操る人という2つのグループに分かれているように見えました。

 当日パンフレットに、振付・構成・演出・出演の平原慎太郎さん、テキスト・ドラマターグの前川知大さん(イキウメ)の文章が掲載されており、今作のテーマである「コロス」の解説もありました。顔写真入り、プロフィールありの出演者紹介ページもありがたかったです。

 ここからネタバレします。

 6つのチャプター(章)から成る作品で、チャプターごとに題名がついており、字幕表示されます。俳優2人は会話をしているようですが、どこで、何のために、誰に向かって言葉を発しているかが不明瞭なことが多かったです。どこかの曖昧な対象に向かって投げかけられて、そのまま消え入ってしまいそうな言葉が浮かんでいました。相手に向かって話しているように見せかけた独り言のよう。彼らの所在なさげな姿もその印象を強くしていたかもしれません。空間は閉じていないのに、逃げ場のない窮屈さを感じました。

 ダンサーの振付は見た目の美しさを目指すのではなく、互いの存在を確かめ合うために手探りをする過程を、そのまま見せるような印象がありました。俳優とダンサーの存在の仕方が私にはまるで違うように見えており、触れ合ったり、アイコンタクトを取ったりしていても、それぞれが別の世界の住人のままで、この演出の意図しているものが何なのかを探りながら観続けることになりました。

 「chapter 4」のステージの下で踊るデュオ(東海林靖志&高橋真帆)がとても刺激的でした!誘い合っているような、戦っているような…敵か味方か判別のつかない関係性がスリリングでかっこよかったです。高橋真帆さんは視線に力があり表情も豊かで、目が奪われました。

 終盤に入り、俳優に応える形でダンサーがセリフを発した途端、ダンサーたち全員がいわゆる「コロス」に見え始めました。サスペンス・ドラマの謎が解けた瞬間のような高揚感があり、束の間の祝祭ムードも感じました。
 ステージが布に覆われていく様子は何かを葬っているようで、積み重なっていく地層を想像しました。

・OrganWorks『ひび割れの鼓動-hidden world code-』

Chapter 1 nostalgia
ノスタルジア 郷愁

Chapter 2 ballad
バラッド 語り奏でる

Chapter 3 talk show
トークショー お喋りな自意識

Chapter 4 immortals
イモータル 不滅の声

Chapter 5 concrete
コンクリート 確かなもの

Chapter 6 dithurambos
ディテュランボス 酒神讚歌

OrganWorks2021-22
≪神奈川公演、愛知&広島公演中止、東京公演≫
出演:平原慎太郎、東海林靖志、町田妙子、高橋真帆、渡辺はるか、川合ロン、薬丸翔、佐藤真弓
振付・構成・演出:平原慎太郎
テキスト・ドラマターグ:前川知大(イキウメ)
音楽:RAMZA
衣装:suzuki takayuki
照明:櫛田晃代 丸山武彦
音響:原嶋紘平(SONICWAVE)
舞台監督:筒井昭善
衣装制作:高橋愛 吉澤翠 坂本かおり
舞台写真:加藤甫
映像撮影:むらいカメラ 西野正将
協力:ギフト/Nabura/エッチビイ / SONICWAVE / ラツカ
宣伝画:波多野光
宣伝デザイン:GOAT
当日パンフレット:町田妙子
制作:相場未江 OrganWorks
レジデンス協力:Dance Base Yokohama
作品制作協力:世田谷パブリックシアター
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術創造活動活性化事業)  公益財団法人せたがや文化財団 世田谷パブリックシアター
提携:独立行政法人日本芸術文化振興会
後援:世田谷区
企画・製作・主催:株式会社クラネオ

【発売日】2022/01/26
全席指定
一般4,500円/当日 5,000円
高校生以下(当日要証明書提示)*2,000円
U24*3,000円
友の会会員割引*4,300円
せたがやアーツカード会員割引 *4,400円
*=前売りのみ取扱い
https://theorganworks.com
https://stage.corich.jp/stage/121733
「CoRich舞台芸術まつり!2022春」最終選考対象作品
https://stage.corich.jp/festival2022/detail/100428

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