新国立劇場「演劇部門マンスリー・プロジェクト9月トークセッション『会場20周年特別企画・20年間の全175作品を振り返る』」09/24新国立劇場オペラ劇場ホワイエ

 開場20周年を迎えた新国立劇場の演劇公演全175作品を振り返るイベントです。演劇部門マンスリー・プロジェクトで入場無料、要予約。

 芸術監督の宮田慶子さんと中島豊さん(元チーフプロデューサー)、そして同劇場演劇公演のパンフレットを編集されている佐藤優さんがお話してくださいました。

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 これまでの上演作の資料が配布され、主な作品のチラシと舞台写真をスライドで見せてくださり、貴重な裏話もうかがいました。やはり「井上ひさしさんの新作が間に合うかどうかハラハラした…」というエピソードが何度も出てきました(笑)。こけら落としの『紙屋町さくらホテル』の台本は初日12日前に出来上がったそうです。中島さんによると想定より早かったとか。とはいえ現場は殺気立っていたそうです(俳優がセリフを覚えるのが大変だったり)。

 私が始めて観た新国立劇場主催公演は2000年の『新・地獄変』だったみたいです(資料で確認)。栗山民也芸術監督の時代は太陽劇団『堤防の上の鼓手』、ペーター・シュタイン演出『ハムレット』、ベルリナー・アンサンブル『アルトゥロ・ウィの興隆』などの招聘公演に刺激を受けました。鵜山仁さんの現代戯曲研究会、宮田慶子さんのJAPAN MEETS…(新翻訳)シリーズによる翻訳戯曲の蓄積は、時を経るごとに評価が高まるのではないでしょうか。

 2001年の9.11、2002年の日韓ワールドカップ、2011年の3.11などの重大な出来事と、その時期に創作・上演された舞台とのかかわりについては、私も当時を思い出しながら拝聴しました。初代芸術監督の渡辺浩子さん、井上ひさしさん、演出家の深津篤史さん、美術家の磯沼陽子さんら、20年の間にお亡くなりになったアーティストについても言及されました。

 また観たい舞台もいっぱい…。特に2004年のアリエル・ドーフマン作、ソン・ジンチェク演出『線の向こう側 THE OTHER SIDE』(⇒レビュー)はよく思い出します。出演者の岸田今日子さんは2006年に逝去されました。

 宮田さんの最後の締めの言葉の大意はこんな風だったかと。
 宮田:20年かけて皆で使い勝手を良くして来たこの劇場は、工夫の痕跡だらけ。私は誇りに思います。お客様と一緒に歩んできた20年でした。20周年の次は30周年、40周年と、これから100年先も新国立劇場は続いていきます。お客様には温かい目で見守っていただき、厳しいご意見も頂戴したいと思っています。これからも愛して頂ける劇場にしていきますので、何卒よろしくお願いします。

 宮田さんのおかげで新国立劇場に足を運ぶ回数が増えた観客は多いと思います。特に無料のマンスリープロジェクトの継続開催は本当にありがたく、私自身、同劇場への親しみを深めました。劇場で働く方々への感謝の気持ちも大きくなりました。

9月24日(日)17:00~@新国立劇場オペラ劇場ホワイエ
出演:宮田慶子、中島豊 進行:佐藤優
無料、要予約、90分を予定。
内容:新国立劇場演劇の20年は社会に何を伝えてきたのか。開場20周年を記念して、開場当初から制作を担当してきた中島豊元チーフプロデューサー(現・財団常務理事)と宮田慶子演劇芸術監督が演劇公演全175作品を語りつくします。
https://www.nntt.jac.go.jp/play/monthly/

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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