ティーファクトリー『エフェメラル・エレメンツ』09/22-10/03吉祥寺シアター

 川村毅さんが作・演出される新作を拝見。上演時間は2時間45分(休憩10分を含む)の予定でしたが、前半の途中にトラブルがあり、5~10分ほど延長されました。私的には全く問題なかったです。ライブ・パフォーマンスならではですよね。

 会場ロビーで戯曲が販売されています。終演後は川村さんが購入者のためにサインをされていました。

≪あらすじ≫ 公式サイトより
34年の時を経て、世界は、作家は、人間は
どのように形を変えたのだろうか

アンドロイドはもはやSFの世界だけのものではなくなった現在、
人間はいかにして彼らと共生できるのだろうか?

同じくアンドロイドをモチーフに据えた『ニッポン・ウォーズ』から34年、
川村毅が再び挑むアンドロイドと人間の共生のドラマ。
アンドロイドの生命と感情を問い直し、そして人間自身のあり方を問い直す、
強く儚い群像劇。

川村毅が絶対の信頼を置く俳優陣に加え、
オーディションで選ばれた新進気鋭の役者たちが新たな風を吹き込みます。
≪ここまで≫

 アンドロイド(人型ロボット)が登場するお話で、俳優は人間もロボットも演じます。設定が1982年公開のアメリカ映画「ブレードランナー」と似ているように思いました。※私は残念ながら『ニッポン・ウォーズ』を観てません。

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 舞台奈落の煙探知機が劇中で使用されたスモークに反応し、警戒警報が大音量で鳴り響くというアクシデントが発生しました。川村さん自ら舞台に出て観客への説明などを行われました。日常でよく耳にするアラーム音などが音響効果として使われていたため、私はてっきり演出だと思ってしばらく観ていたんです。だから最初は上演している側のほうが驚かれたのでしょうね。終演後も川村さんが舞台上で深々と頭を下げていらっしゃいました。迅速に対応し、場の空気も和ませてくださって、ありがとうございました。
 ただ、作・演出家ではなく、裏方の人(制作者など)が先に舞台に出て一旦お芝居を中断していただく方が、順番としては良かったのではないかな~とは思いました。あまりの事態にそんなことを考える間(ま)もなかったのかもしれません。

 ここからネタバレします。

 人間役もロボットに見えることがよくあり、人間とロボットを判別しづらくなる(差がわかるのはロボットだけになる)という状況がよくわかりました。ごく個人的な感覚ですが、人工知能(AI)を犬型ロボットやアンドロイドの形状にすることに、昔からあまり興味が持てないんです…。ただ、極端な高齢化社会になる日本で暮らす者として、人間の一部をロボット化することはありそうだなと想像しています。

 溶け落ちた核燃料(デブリ)の除去のために人型ロボットを使う未来。やがて管理職もロボットが担い、デブリ除去が完了した後には、その土地にロボットと人間と自然が共生するコミュニティーが形成されます。まるでユートピアのような。そのコミュニティー(自治区)に入植する際には「貨幣と武器を捨ててください」と言われるのです。今の社会でも貨幣と武器がポイントだなと思います。

 20年後、さらに30年後と時が進んでも、人間の男性(T教授とその息子KZ)が追い求めるのは妻や母、乳母の面影なんですね。

【出演(主な配役)】
T教授:田中壮太郎、H教授:笠木誠、ジップ(成人したKZの同僚?):宮下雄也、T教授の息子KZの母ロボット:岡田あがさ、T教授の息子KZ:中村崇、ラジオのDJロボット“AIジョー”:祁答院雄貴、家政婦ロボット(ルンバじゃなくてボサノヴァ):橘杏、飛び降り自殺する高校生ロボット:菊池夏野、上司ロボット“トモダチ”:東谷英人(DULL-COLORED POP)、ロボット開発者IK(ボサノヴァと同居):藤尾勘太郎(犬と串)、コミュニティーに潜入する警察:浅野望(さいたまネクスト・シアター)、コミュニティー所長:内藤裕志(文学座)、MX、アロン:藤沢大悟、CJ:伊東潤(東京乾電池)、T教授の妻、IKの母:高木珠里(劇団宝船)、原子炉建屋所長、警視庁匿名ゼロ課課長:植田真介(文学座)、原子炉建屋リーダー、ゾーイ(感情があるロボット):井上裕朗 KZの乳母ロボット:蘭妖子
脚本・演出:川村毅 
[テーマ曲作曲]久米大作[照明]原田保[音響]藤平美保子
[衣裳]田邉千尋[ヘアメイク]川村和枝/p.bird[演出助手]小松主税
[舞台監督]小笠原幹夫、今西祥太/劇工房 双真[宣伝写真]須藤秀之
[宣伝美術]町口覚/マッチアンドカンパニー[製作]平井佳子/ティーファクトリー
主催:株式会社ティーファクトリー
提携:公益財団法人 武蔵野文化事業団
助成:文化庁芸術振興費補助金(舞台芸術創造活動活性化事業)
9月23日(土) 19:30は『ニッポン・ウォーズ』リーディング公演あり。
【発売日】2017/08/04
一般 前売:5,000円 当日:5,300円
アルテ友の会(前売のみ):4,500円
◇初日特別価格:4,000円
学生割引:2,500円(初日を除く夜指定席公演のみ。枚数限定、要確認証)
※武蔵野文化事業団では、前売一般・友の会・初日割・学割のみ取扱い。

Premium Friday
[全席自由]
前売:3,800円
当日・当日精算予約:4,000円
※ティーファクトリーのみで取扱
※開場時、前売券をお持ちの方が先のご入場となります。
車椅子スペース(定員有・要予約)
料金=一般料金/介助者は1名無料
・視覚障がい者の方:介助者1名無料
・聴覚障がいの方:開演3時間前より劇場ロビーにて台本貸出(販売予定あり)
※未就学児のご入場はご遠慮ください。
http://www.tfactory.jp/data/ephemeral.shtml

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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