富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ『僕の東京日記』09/15-19富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ

 キラリ☆ふじみのレパートリー新作として、永井愛さんの『僕の東京日記』を田上豊さんが演出されます。上演時間は約2時間10分、休憩なし。

 『僕の東京日記』は『時の物置』、『パパのデモクラシー』と合わせて「戦後生活史劇3部作」と呼ばれる、第31回紀伊国屋演劇賞受賞作。私は戯曲を読んだだけで上演を観るのは初めてでした。大人数の群像劇なので、俳優養成所の発表会などに適しているんですよね。

 ⇒「『僕の東京日記』を語る」ダイジェストレポート
 登壇者:永井愛 田上豊
 聞き手:松井憲太郎(キラリふじみ館長)

僕の東京日記 戦後生活史劇3部作
永井 愛
而立書房
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≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより
転換期に生きた「日本人」を再発見する
永井愛が大きく転換する時代を生活者の視点から描いて、劇団「二兎社」の新機軸となった「戦後生活史劇三部作」。その第三部として1996年に初演された『僕の東京日記』を、アソシエイト・アーティストの田上豊の新演出で、個性豊かな俳優陣と共にお贈りします。
1971年秋。大学1年生の原田満男は、親からの「自立」を宣言し、東京は高円寺のアパート春風荘で下宿生活を始める。このアパートに住んでいるのは、反戦運動家、新劇女優、チンピラのクリーニング屋、ヒッピーなど、風変わりな面々。満男は、時代と彼らに振り回される日々のなか、思いもよらない事件に巻き込まれてく―――。
≪ここまで≫

 以下、CoRich舞台芸術!に投稿した内容です。

 田上豊版「僕の東京日記」になっていたと思う。ぶつかって取っ組み合ってコケて転がって…今のツイッター上での匿名の罵倒合戦が、俳優たちの心身によって目の前に引きずり出されたみたい。70年代の日本人は顔を見合わせてケンカしたし、成り行き任せだとしても、お互いに向き合って和解もしてきたんだなと思った。わがまま邦題で責任を取らず「お母さん」に甘えっぱなしでぬるりと開き直る男性像が、題名の「僕」に象徴されているように感じた。建て込まれた装置が嬉しい。戯曲本は持っていたけど上演を観たのは初めてで、とてもいい機会だった。

 「トークダイジェストレポート」中の永井さんのご発言で、とても印象に残ったところを下記に貼り付けます。
 永井:調べたことはすべて書きたくなってしまうんですけど、調べたことをいかに書かないかというのが勝負だと思っています。あと、観る人の心を一番打つのは、誰かが現実にギリギリの状態で言ったり書いたりした言葉なんです。自分の作品で、お客さんが反応してくれたなと感じる部分は、実は誰かが実際に体験したことがほとんど。ですから、調べるというのはつまり可能性を広げることなんです。自分以外のことを知るのは、作品を書くうえでわりと大事ですよ。(抜粋終わり)

 ここからネタバレします。

 主人公のボクチャンは結局、父親の強力なコネで大企業に就職して「運動」なんて忘れ去る。中央にある階段から転がる無数の「全共闘」ヘルメットが良かった。今もデモはあるけど、この時代とは全く違うものだと思う。それを肌感覚で納得できた。

キラリふじみ2017.4→2018.3シーズン・レパートリー新作
出演:高橋義和、能島瑞穂、羽場睦子、用松亮、内田淳子、静恵一、平嶋恵璃香、尾崎桃子、伊藤昌子、大竹直、長尾純子、寺田剛史、木引優子、中林舞、三村聡、野坂弘、梅村綾子
脚本:永井愛
演出:田上豊
舞台美術:濱崎賢二 照明:伊藤泰行 音響:泉田雄太
衣裳:臼井梨恵(モモンガ・コンプレックス)
演出助手:久保大輔
舞台監督助手:小池あけみ 
舞台監督:白石英輔(クロスオーバー)
宣伝美術:内田あみか  宣伝写真:北川姉妹 
宣伝ヘアメイク:石河恵
制作:中出千尋
プロデューサー:松井憲太郎
主催:公益財団法人キラリ財団
【発売日】2017/07/08
日時指定・全席自由・整理番号付
一般3,000円 高校生以下1,000円
※団体割引あり
※未就学児童の入場はご遠慮ください。
http://www.kirari-fujimi.com/program/view/517

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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