三鷹市芸術文化センターのMITAKA “Next” Selectionに選ばれた風琴工房の新作です。上演時間は約2時間10分。
テーマはずばり“女性の生理”。なぜか涙がポロポロと、何度も流れて落ちました。男性にぜひご覧になっていただきたいと思いました。きっと知らないことがいっぱいだろうと思うんですよね。もちろん女性にもお薦めです。
≪あらすじ≫ 公式サイトより
日本初の生理ナプキンを作ったアンネ社は、『アンネの日記』のアンネ・フランクの生理のとらえ方が明るく前向きであることに感銘を受け、つけられた名前です。そこからタイトルを得た詩森ろばの新作「アンネの日」は、現代の女性開発者たちが本当に必要で、自分たちの役に立つ生理用品の開発のために奮闘する物語です。実際の開発現場等に取材しながら、初潮から始まり閉経まで、全員女性という出演者で、赤裸々かつチャーミングに描きます。
≪ここまで≫
以下、ネタバレまではCoRich舞台芸術!に投稿した感想です。
いわば「ヴァギナ・モノローグス」の生理版で、法廷劇のようなスリルもある会議ものの群像劇。初潮から閉経までを当事者視点で赤裸々に語ってくれるから、何もかも自分のことのように感じて、「そうなの、そうなのよ!」と脳内で激しく頷きながら、なぜか涙をポロポロ流しながら観た。女性の生理は今も“隠されたもの”なのだ。
生理用品の開発現場から現代の社会問題が浮かび上がる。日本人の“働き方”について考えせられ、原材料の生産にまつわる農薬、種の問題は特に興味深かった。企業内の“リケジョ”の活躍はエンタメ要素が多く、研究開発やコンペの行方にわくわくする。
男女問わずお薦め。カップルやご家族で観に行くといいのでは。笑顔を貼り付けたような演技がごくたまに気になったけれど、作・演出の詩森ろばさんと仕事をしたことのある女優さんばかりで、チームワークも上々。石村みかさんがはまり役、笹野鈴々音さん、熊坂理恵子さんはいつもながら柔軟で光っていた。
※当日配布のパンフレットに「この作品はいちから10までフィクションです」という詩森さんによる追記あり。
毎日、ほんとうにありがとうございます。連日、調整の稽古をしながら、進めています。この稽古は千秋楽まで続きます。こんなにステキな感想いただき、できることは手を抜かないことだけです。「風琴工房「アンネの日」感想まとめ」 https://t.co/IXGRdonJQJ
— 詩森ろば (@shimorix) 2017年9月16日
初日が無事開きました!お客さまに喜んでいただき、嬉しい初日でした。そして、ステキな記事にしていただきました!ぜひご覧ください!https://t.co/eQrHeb8viq
— 詩森ろば (@shimorix) 2017年9月8日
観劇予報を更新しました!: 理想の生理用品開発に情熱を注ぐ女性たち。風琴工房『アンネの日』詩森ろば・林田麻里 インタビュー https://t.co/P4VO7NCTJw pic.twitter.com/o7i5ArUlPD
— 演劇キック (@enkick) 2017年9月12日
MITAKA "Next" Selection 18th
風琴工房『アンネの日』
【千穐楽】9月18日(月・祝)14時開演
三鷹市芸術文化センター星のホール<当日券情報>
当日券は、13時より、会場入口にて若干枚数販売し、その後はキャンセル待ちとなります。(撮影:横田敦史) pic.twitter.com/w2aBrbGEOr— (公財)三鷹市スポーツと文化財団 (@ArtsMitaka) 2017年9月17日
座組の皆で勝手に「旅公演したいねぇ」とか「再演の時はさ」…とか言ってますが、全く予定はなく、実現するかも分かりません。本日の14時が千穐楽。無事に晴れてくれました!風琴工房「アンネの日」三鷹星のホール 当日券でお待ちしております。https://t.co/thkYM4pKYZ pic.twitter.com/a1TvizX2LE
— 葛木英 (@kuzukiakira) 2017年9月18日
ここからネタバレします。セリフなどは正確ではありません。
土井(石村みか)の発案で身体に優しい自然素材のナプキンを新開発するチームが発足。社員から新規事業を募って会社がそれに資金を出す(=助成する)話があり、最初の企画書は通って候補に選ばれますが、結果は次点。会社の正規プロジェクトとして採用されたのは「社内保育園の創設」でした。そりゃあね、通るよね…全会一致という結果に私も納得です。
コンペに受かるために妥協するか、初心貫徹して直球勝負をするか。こういうせめぎ合いはよくあることで、実は、人生の分かれ道ですよね。土井たちは後者で、コンペに負けた後もあきらめません。それが田保(ザンヨウコ)の言うように「面白い」んだろうな。
アメリカで生理用ナプキンが発明されてから40年後、ようやく日本でも1960年代からナプキンが発売開始。羽付きナプキンの登場は1980年代だったんですね。あれは…ありがたかった……。
「50歳で閉経したとすると、妊娠・出産しなかったら場合は、人生の約9年間は生理期間である」という日数計算に驚きました。そんなに長いのか…。「多産だったら少なくとも5分の1にはなる」と終演後に耳に挟みました。現代の婦人科の病気の原因は少子化も影響しているとか(伝聞です)。
【出演】土井加奈子の同期の研究者・津和苑子、論理思考派:林田麻里、企画部の先輩、姉御肌のシングルマザー:伊藤弘子(流山児★事務所)、研究者、土井加奈子(子供2人を残して死んだ女友達のために自然素材のナプキンを作りたい、言い出しっぺ):石村みか(てがみ座)、土井加奈子の同期の研究者・田保朋美、天然、両親の離婚後は父と祖母に育てられた:ザンヨウコ、研究者、ネット上で知り合った男性と即結婚:葛木英(クロムモリブデン)、身体が小さい企画部の若手エース:笹野鈴々音、既婚で子供がいる研究者、母と不仲:熊坂理恵子、生理が来ない総務部の女性、飛び入り:ししどともこ
脚本・演出・宣伝美術・衣裳:詩森ろば
舞台美術:杉山至+鴉屋
照明:榊美香(有限会社アイズ)
音響:青木タクヘイ
舞台監督:田中翼
当日進行:佐野功
チラシ写真:坂功樹
舞台撮影:横田敦史
稽古場協力:株式会社メッセ
主催:公益財団法人三鷹市スポーツと文化財団
【発売日】2017/08/05
<整理番号付自由席>
【会員】前売3,400円・当日3,600円
【一般】前売3,800円・当日4,000円
【学生】2,000円(前売・当日とも)
【高校生以下】1,000円(前売・当日とも)
【障がい者】1,000円(前売・当日とも/当日障がい者手帳拝見)
http://mitaka-sportsandculture.or.jp/geibun/star/event/20170908/
※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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