小川絵梨子さんが演出されるトム・ストッパード作『ほんとうのハウンド警部』(翻訳:徐賀世子)を、シアターコクーンで拝見しました。約1時間15分、休憩なしというコンパクトな上演時間でした。
劇場で観劇するのは『マニラ瑞穂記』以来です。電車に乗ることも控えるロックダウン生活を続けているので(涙)、渋谷駅周辺の繁華街ならではの賑わいに少し戸惑いました。いやー…コロナ以前の観劇生活に復帰する際にはリハビリが必要ですね、私は…。
生田斗真主演「ほんとうのハウンド警部」ライブ配信が決定https://t.co/oTr9vzRI8V pic.twitter.com/p0c3p1BrVc
— ステージナタリー (@stage_natalie) March 19, 2021
≪あらすじ≫ http://www.siscompany.com/hound/gai.html
ムーン(生田斗真)は、まだ二番手の地位に悶々としている若き劇評家。
今日もメイン劇評家に代わり、ある芝居を観に劇場へ。そこで他社のベテラン劇評家バートブート(吉原光夫)と一緒になる。どうやら、彼はこの芝居に出演している女優に気があるらしい。劇評家二人の胸に、さまざまな欲望や思惑が渦巻く中、その推理劇は始まった・・・。推理劇の登場人物(趣里、池谷のぶえ、鈴木浩介、峯村リエ、山崎一)たちによって演じられる三角関係、殺意、疑念の数々。。。それを劇評家の視点で見つめながらも、どんどん私的な雑念にとらわれていくムーンとバートブート。
やがて、舞台は幕間へ…。そして…。
≪ここまで≫
Bunkamuraのエントランス、劇場受付で消毒し、隣席が空いた客席に付き、無言で幕が開くのを待ちました。やはりコロナ禍の観劇は特異な時間ですね。上演する側と観る側の共犯関係が以前よりも固くて力強いというか、特別な連帯感で結ばれている気がします。カーテンコールで生田斗真さんが観客に謝意を述べられていました。こちらこそ、今、舞台公演を実現してくださっていることに感謝しています。ありがとうございました!
【#ほんとうのハウンド警部 ライブ配信決定!】皆さん、緊急告知です!3月27日(土)14時公演/18時公演のライブ配信実施が決定しました!視聴券発売日など詳細は公演サイトで発表しますので、あと少しだけお待ちくださいね!https://t.co/py4MKSLpTC pic.twitter.com/WgSgJVZmO3
— シス・カンパニー舞台制作 (@sis_japan) March 8, 2021
【『ほんとうのハウンド警部』劇場より】
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3/27(土)14:00/18:00 各回生配信
🔽視聴券(アーカイブ視聴付)https://t.co/3L4GlBeKC2#ほんとうのハウンド警部#ライブ配信 pic.twitter.com/9uQWShwj5k— シス・カンパニー舞台制作 (@sis_japan) March 20, 2021
ここからネタバレします。
舞台上に大きな鏡状のパネルがあり、客席が映っていました。幕が開くと、舞台奥にシアターコクーンの客席が並んでいて、私たち観客はそこに座る劇評家2人と向かい合う位置関係になります。私たちは彼らであり、また、彼らに観られる対象でもあるんですね。試されている気がしました。
観客と劇評家の間に劇中劇が上演される舞台があり、いかにも茶番な偽ミステリー芝居が上演されます。下手奥によく見える状態で、背広姿の男性の死体が転がっていました。なぜか劇中劇の登場人物は誰も気づきません。たとえばソファを死体の方へと移動させる時も、死体が目に入るはずなのに完全に無視します(笑)。
敢えてコミカルに、大袈裟に演じられるドタバタ喜劇と、個人的な悩みを抱えた劇評家2人の脳内劇場が混じり合っていきます。客席で高みの見物をしていた劇評家が、ずかずかと舞台に乗り込んでいったり、いつの間にか劇に巻き込まれていくのは楽しいですね。もし自分がそうなったら…という想像もしやすかったです(めちゃくちゃ嫌だけど!)。
ただ、残念ながらすっかり入り込めたわけではなかったんですよね。ムーンとバートブートの関係や彼らの野望、苦悩などを、もっと鮮明に受け取りたかった気はします。劇評家の役割も存在感も、日本(というより東京かな)とイギリスでは異なりますよね。いわゆるミステリー作品の受容の仕方も違うだろうなと思います。
本日(3月5日)初日を迎える『ほんとうのハウンド警部』のパンフレットに寄稿しています。よろしければ、お買い求めください。 #ほんとうのハウンド警部https://t.co/H72mjdHvVp
— 谷岡健彦 (@take_hotspur) March 4, 2021
ちなみに拙稿のなかで言及している動画はこれです。4分50秒過ぎあたりから、トム・ストッパードとパトリック・マーバーとの間で面白いやり取りがあります。https://t.co/Kb7tZGsz44
— 谷岡健彦 (@take_hotspur) March 6, 2021
ご本人の発言によると、最近のトム・ストッパードの演劇の好みは "I like theatre more than I like metatheatre."だそうです。 #ほんとうのハウンド警部
— 谷岡健彦 (@take_hotspur) March 28, 2021
『ほんとうのハウンド警部』、なんかちょっとピンとこなかったんですけど、これ、「出来の悪いミステリ」をからかう作品なのかな?なんかミステリという(軽く見られがちな)ジャンルそのものを軽視するように見えやすい作りで、ミステリファンとしてはよくわからんかったんですよね。
— saebou (@Cristoforou) March 30, 2021
イギリスだと近くの劇場でクリスティをやっていて、お客さんもミステリ劇を見慣れているだろうから、内輪で愛をもってけなすみたいな感じであんまりミステリじたいを軽視する雰囲気にならないんじゃないかと思ったのですが、日本にはそういうコンテクストがないのが難しいなと思いました。
— saebou (@Cristoforou) March 30, 2021
たしかに「愛をもって」というところはポイントですね。上質のミステリー劇、面白いミステリー劇はかくあるべきという基準を共有している観客を想定しているように思います。
— 谷岡健彦 (@take_hotspur) March 30, 2021
簡単な感想。/ミステリというジャンルとの距離のとり方が難しい~『ほんとうのハウンド警部』 – Commentarius Saevus https://t.co/ef0WKf5Q7C
— saebou (@Cristoforou) March 30, 2021
↓上演中に地震があったそうです。吉原光夫さん素敵!
ほんとうのハウンド警部
斗真くん見に行きました!
舞台始まってすぐ地震でびっくりしました…演者たち全く慌てず演劇を続いてさすがです😭
吉原さんの「地震だな」アドリブで少しだけ安心しましたカテコ斗真くん挨拶
「同じ時間を共有できて嬉しい、まさか地震も共有するなんて」
無事を祈ります。 pic.twitter.com/f8uFKIjSjL— *Sh (@fm__37615) March 20, 2021
ほんとうのハウンド警部
開演10分程で地震👀‼️照明が揺れる音にドキドキ
でも粛々と演技は続きましたとっ
光夫さん
地震があったねぇ
でも最近の劇場は丈夫(安全?)みたいだから
お見事劇場でのお話なんでピッタリはまってました😅
宮城の皆さまに大きな被害がありませんように
— yun (@khjyuco) March 20, 2021
続いてソワレは、ほんとうのハウンド警部へ。コメディは楽しいから大好き。あっという間だったな。
光夫さんストプレだと女好きな役が続いてる🤣
途中の地震が長くて劇場も結構揺れていた時に光夫さんが
地震かな?
劇場は安全なんですよ。
その場でジッとしてね。優しいアドリブ有難うございます☺️ pic.twitter.com/qft3lV0xZc— ハーバー⛵️ (@harborlight7010) March 20, 2021
↓2021/03/31加筆
【皆様、ありがとうございました!】『#ほんとうのハウンド警部』は、3/31(水)マチネをもちまして全公演無事に完走いたしました!温かな応援、感染症予防対策へのご協力など、皆様には心より感謝しています。ありがとうございました!では、次回SIS公演『日本の歴史』再演にてお会いしましょう! pic.twitter.com/VMyZ5IbzDT
— シス・カンパニー舞台制作 (@sis_japan) March 31, 2021
“The Real Inspector Hound” by Sir Tom Stoppard
出演:
ムーン:生田斗真、バートブート:吉原光夫、フェリシティ:趣里、ドラッジ婦人(家政婦):池谷のぶえ、サイモン:鈴木浩介、シンシア(女主人):峯村リエ、マグナス/ハウンド警部(ムーンの弟分の劇評家も演じる):山崎一 死人:手塚祐介
脚本:トム・ストッパード
翻訳:徐賀世子
演出:小川絵梨子
美術:伊藤雅子
照明:佐藤啓
音響:加藤温
衣装:髙木阿友子
ヘアメイク:佐藤裕子
舞台監督:瀬﨑将孝
プロデューサー:北村明子
演出助手:渡邊千穂
制作(進行):市川美紀 市瀬玉子 土井さや佳 鈴木瑛恵 黒沢ひかる
制作(票券):笠間美穂 安田千秋
制作(広報):西村聖子
制作(アシスタントプロデューサー):吉澤尚子
舞台収録:(株)アルファグリッド 薮木健太郎
配信:Streaming+
ブリッジ指導:稲葉達哉
上演権コーディネート:(株)シアターライツ
宣伝美術:平田好
企画・製作:シス・カンパニー
提携:Bunkamura
【発売日】2021/02/20
S・¥12,000
A・¥9,000
コクーンシート・¥5,500(税込)
※コクーンシートは特にご覧になりにくいお席です。ご了承の上、ご購入ください。
※小学生未満のお子様はご入場いただけません。
※会場内では、必ずロビー、客席ともに常時マスクを着用ください。
http://www.siscompany.com/hound/gai.html
※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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