【観劇】新国立劇場演劇『レオポルトシュタット』10/14-10/31新国立劇場・中劇場

 感染者数が減少傾向になり、劇場に足を運べています(感染者数どうか増えないで!)。『ガラスの動物園』に続き、新国立劇場中劇場の公演でヒット連発。嬉しいです♪

 トム・ストッパードさんの自伝的要素も含まれた戯曲『レオポルトシュタット(Leopoldstadt)』の評判はSNSで目にしていました(今はアメリカで上演中のよう)。小川絵梨子さんの演出なので期待していたところ、期待以上の体験をさせてもらえました。

 大人の出演者21人中、12人オーディションで選出されています。

 悲劇喜劇2022年11月号はストッパード特集で、戯曲も掲載されています。中劇場の売店ではなく、新国立劇場の正面入口のシアターショップで販売されていた模様。終演後に列ができていました。

 パンフレットが分厚い!内容も超充実しています。用語集が役立つので、早めに劇場に着いて購入されることをお勧めします。劇中のセリフに出てくる知らない単語が、人名なのか建物なのかお菓子なのか…ざっくり知っておけて助かりました。休憩時間がないので開演前がチャンス!

パンフレットと悲劇喜劇


≪あらすじ≫ https://www.nntt.jac.go.jp/play/leopoldstadt/
20世紀初頭のウィーン。レオポルトシュタットは古くて過密なユダヤ人居住区だった。その一方で、キリスト教に改宗し、カトリック信者の妻を持つヘルマン・メルツはそこから一歩抜け出していた。街の瀟洒な地区に居を構えるメルツ家に集った一族は、クリスマスツリーを飾り付け、過越祭を祝う。ユダヤ人とカトリックが同じテーブルを囲み、実業家と学者が語らうメルツ家は、ヘルマンがユダヤ人ながらも手に入れた成功を象徴していた。しかし、オーストリアが激動の時代に突入していくと共にメルツ家の幸せも翳りを帯び始める。大切なものを奪われていく中で、ユダヤ人として生きることがどういうことであるかを一族は突き付けられる……
≪ここまで≫

 以下は自分のツイートの転載です。

新国立劇場『レオポルトシュタット』。いいお芝居を観た充実感で幸せな余韻に浸っている。2時間20分休憩なしでユダヤ人一族の50余年の歴史を駆け抜ける。回り舞台と衣装で時代と空気が流れるように変化。主役・脇役などない群像劇で子役も含め俳優のアンサンブルが素晴らしい!

歴史的事実や偉人を粒だたせるような大河ドラマではなく、戯曲を丁寧に写し取るように立体化し、登場人物一人ひとりの人生に光を当てる。まっすぐ芯が通っていて、全体が調和している印象。舞台から届く空気が澄んでいて、俳優間はもちろん舞台と客席の間にも双方向の交流を感じられた。風通しがいい。

ユダヤ人関連の映画、漫画、舞台は知ってたはずなのに、この作品で初めて「祖国がないこと」の意味に、少しだけ気づけたかもしれない。舞台上にまがい物ではない「家族」「親戚」がいたから、彼らの怒り、葛藤を頭ではなく心で自分事にできたのではないか。1955年の場面が特に胸に刺さった。

開演前にパンフレットの用語集を読んでおくと吉かと。でも何も知らずに観ても楽しめるのでは。私は誰が誰だかわからないことが多々あったたけど(笑)、それも織り込み済みの戯曲だと思う。トム・ストッパード作、広田敦郎翻訳、小川絵梨子演出。初台の新国立劇場中劇場で10/31まで。お見逃しなく!

 池内さんが「美奈子の部屋」にて出演者の個人指導をされています。

『レオポルトシュタット』人物相関図

 ここからネタバレします。

【配役】

●メルツ家周辺

那須佐代子:エミリア(祖母、自分のベッドで死亡)
泉関奈津子:ポルディ(家政婦)

浜中文一:ヘルマン(エミリアの息子、一家の主的存在、息子ヤーコプを書面でフリッツの血縁にさせる、1939年に飛び降り自殺)

音月 桂:グレートル(別名マルガレーテ・メルツ、ヘルマンの妻、カトリック、ヤーコプを出産、兵士フリッツと浮気、1938年に脳腫瘍で死亡、肖像画が残る)

木村 了:
 フリッツ(兵士、グレートルの愛人、ヘルマンを蔑視、ヤーコプを自分の息子と認める書面にサインする)
 市民(ハーケンクロイツの腕章をつけたユダヤ人差別者、一家を屋敷から追い出す際にヘルマンに財産没収の同意署名をさせる)

鈴木勝大:ヤーコプ(ヘルマンとグレートルの息子、第一次世界大戦に出征し片目、片腕を失う、アーリア人として生き残る、ヘルマンの財産と事業を受け継ぐ[?]、1946年に自殺)

村川絵梨:エーファ(エミリアの娘、数学者ルートヴィクの妻、パウリとネリーを出産、移送中に死亡)
土屋佑壱:ルードヴィク(エーファの夫、ヤコボヴィッツ家のヴィルマとハンナの兄、数学者、ナータンにあやとりで数学の魅力を伝える、シュタインホーフで死亡)

子役:パウリ(エーファの息子、1916年にヴェルダンの戦いで戦死)
椙山さと美:ネリー(エーファの娘、共産主義者アーロンの妻、息子レオを出産、社会主義思想の持ち主、英国人パーシーと再婚、ロンドン大空襲で死亡)

八頭司悠友:
 アーロン・ローゼンバウム(ネリーの夫、共産主義者、1934年にオーストラリア人による砲兵射撃で死亡)
 レオ(レオポルト、ネリーとアーロンの息子、8歳で英国にわたりレナード・チェンバレンに改名、英国人として育つ、トム・ストッパード自身を投影)
内田健介:
 パーシー(英国人、一家に逃亡を促す、婚姻届けを出したネリーとその息子レオと英国へ脱出)

●ヤコボヴィッツ家

浅野令子:ヴィルマ(ルートヴィクの妹、ハンナの姉、医師エルンストの妻、双子の姉妹ローザとサリーを出産、認知症で車いす生活の末、エルンストの手により安楽死)

野口卓磨:エルンスト(プロテスタントの医師、ヴィルマの夫、レオがカップを割って切った手の傷を縫って治す、ヘルマンに促され妻を安楽死させる、アウシュヴィッツで死亡)

岡本 玲:ハンナ(ヴィルマの妹、ピアニスト、クルトの妻、娘ヘルミーネを出産、アウシュヴィッツで死亡)
鈴木将一朗:クルト(ハンナの夫、ダッハウで死亡)

万里紗:ヘルミーネ(ハンナの娘、銀行家目当てでオットーと結婚、息子ハイニを出産、ダンスがうまい、アウシュヴィッツで死亡)
椎名一浩:オットー(ヘルマンと懇意の銀行家、ヘルミーネの夫)

太田緑ロランス:サリー(別名エステル、ヴィルマの娘、ローザとは双子の姉妹、ザックの妻、息子ナータンとミミとベラを出産、ナータンの割礼をさせるかどうか悩む、アウシュヴィッツのガス室で死亡)
松本亮:ザック(別名ザハリア、サリーの夫、「死の行進」で死亡)

田中 亨:ナータン(サリーの息子、強制収容所で家族を亡くす、アメリカで数学を学び1949年にオーストリアに帰郷、ウィーン大学数学科に所属)

瀬戸カトリーヌ:ローザ(ヴィルマの娘、サリーとは双子の姉妹、戦時中はニューヨークにいた、NY在住の精神分析医、メルツ家の屋敷を買い戻す、グレートル夫人の肖像画を取り戻す決意)

≪子役≫ 私はBチームを拝見。
Aチーム:根本葵空、伊奈聖嵐、寺戸 花、塚越一花
Bチーム:三田一颯、前田武蔵、高橋菜々音、久住星空

ヤーコプ:根本葵空、三田一颯
パウリ:伊奈聖嵐、前田武蔵
レオ:伊奈聖嵐、前田武蔵
ローザ:塚越一花、久住星空
サリー:寺戸 花、高橋菜々音
ミミ(アウシュヴィッツのガス室で死亡):寺戸 花、高橋菜々音
ベラ(アウシュヴィッツのガス室で死亡):塚越一花、久住星空
ハイニ(アウシュヴィッツで死亡):根本葵空、三田一颯

≪その他≫
家政婦ヒルデ:椙山さと美
家政婦ヤーナ:万里紗
割礼師モーヘール(ナータンの割礼をするために屋敷に来る):内田健介
警官:椎名一浩、鈴木勝大、鈴木将一朗、松本亮

*出演を予定しておりました石井 舜さんは怪我により出演できなくなりましたため、代わりに前田武蔵さんが出演いたします。(9月1日更新)

↓2022/10/19加筆

↓2022/10/20加筆

↓2022/10/21加筆

↓2022/10/24加筆

↓2022/10/27加筆

↓2022/10/30加筆

↓2022/11/02加筆
https://operaandarts.seesaa.net/article/493078040.html

↓2022/11/02加筆

↓2022/11/03加筆

↓2022/11/04加筆

新国立劇場 開場25周年記念公演 ”Leopoldstadt” by Tom Stoppard
出演:浜中文一、音月桂、村川絵梨、土屋佑壱、岡本玲、浅野令子、木村了、那須佐代子、泉関奈津子、内田健介、太田緑ロランス、椎名一浩、椙山さと美、鈴木勝大、鈴木将一朗、瀬戸カトリーヌ、田中亨、野口卓磨、松本亮、万里紗、八頭司悠友
出演(子役・ダブルキャスト):伊奈聖嵐 久住星空 高橋菜々音 塚越一花 寺戸 花 根本葵空 前田武蔵 三田一颯

【作】トム・ストッパード
【翻訳】広田敦郎
【演出】小川絵梨子
【美術】乘峯雅寛
【照明】原田 保
【音響】加藤 温
【衣裳】前田文子
【ヘアメイク】川端富生
【ヴォイス&スピーチコーチ】池内美奈子
【演出助手】大澤 遊
【舞台監督】山下 翼
【技術監督】小西弘人

稽古場代役:篠原初実、松村こりさ、今井公平
プロンプ:須藤瑞己

【発売日】2022/09/04
S席 8800円
A席 6600円
B席 3300円
Z席 1650円
就学前のお子様のご同伴・ご入場はご遠慮ください。お子様も1人1枚チケットをお求めください。
https://www.nntt.jac.go.jp/play/leopoldstadt/
https://stage.corich.jp/stage/159452

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