【レポート】ゴーチ・ブラザーズ「英国演出家による俳優ワークショップ(講師:ジョナサン・マンビィ)」04/08-12昼間、04/08-13夜間実施@都内某所

 ゴーチ・ブラザーズが主催するジョナサン・マンビィさんが講師をつとめるワークショップは2017年4月で4回目(過去⇒2013年2014年2015年)。EVENING CLASS(夜間)の最終日(15時から20時)を見学させていただきました。私が見学するのは2014年、2015年に続いて3度目になります。

 夜間クラスの参加者は20名。複数回、参加している俳優も少なくなく、4回全てに参加している俳優もいました。マンビィさんが演出された『るつぼ』の出演者も複数人いらっしゃいましたね。まさに「継続は力なり」「ローマは一日にして成らず」です。地道な積み重ねこそが実を結ぶのだと改めて思います。

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 今回の題材はデヴィッド・ヘア作『ブルールーム』(過去レビュー⇒)。男女の性愛を赤裸々に描く、10個の短編から成る大人向けの戯曲です。
 ※2015年の題材はブライオニー・ラヴェリー(Bryony Lavery)作『Frozen』でした(ラヴェリーさんはナショナル・シアター・ライヴ『宝島』の劇作家です)。

 激しく体を動かす体操(エクササイズ)や瞬発力とその持続を試すゲーム(zipzapなど)を全員でひととおり終えた後、簡単な小道具や家具類をセットした舞台で、2人1組の場面を演じていきます。台本は持っていてOK。最終日は時間が足りなかったため、俳優2人が1回通した後、マンビィさんとフィードバックをして、すぐに次の組へ、という流れになりました。

 戯曲では男女のペアですが、女性同士のペアもあり、とても刺激的でした。私はこれまでに3種類の『ブルールーム』を観ていますが、演じる人によって解釈は本当にさまざまです。
 登場した2人が必ずセックスに至る戯曲なので、勇気が要るんですよね…。戯曲の指定どおり「歌を歌う」ために、自分で作曲してギターの弾き語りをしてくださった俳優もいて、想像力を駆使した勇敢な挑戦に感動しました。

 マンビィさんはとても穏やかで、ユーモアを忘れない40代の英国人男性。人格否定、存在否定などは絶対にしません。常に他者に意見を求め、素直に受け入れて、自分の意見をそれと同列のものとして語ります。
 参加者に感想を聞いてみたところ、「とてもスタンダードな稽古。こういうことが広まって欲しい」とおっしゃる方がいらっしゃいました。共感します。

 マンビィ:シーンで起こることに対して、俳優は無垢でなければならない(何が起こるかを知った状態の演技は成立しない)。
 マンビィ:演技について、(このワークショップが)今までとは違うアプローチができる助けになれたなら、嬉しい。

 『るつぼ』に出演された俳優から、マンビィさんの本番のための稽古について少し伺うことができました。(立ち稽古ではない)テーブル稽古がとても多く、台本の1行々々について、「誰が、何のために、誰に対して、この行為を行う(セリフを言う)のか」を徹底的に分析し、座組み全員で共有したそうです。

 ゴーチ・ブラザーズはマンビィさんとのワークショップを今後も継続していかれます。『るつぼ』には過去のワークショップ参加者が出演されました。ご興味を持たれた俳優さんは、次回開催にどうぞ注目してください。

<Jonathan Munby Actors’ Workshop 2017 in Tokyo>
EVENING CLASS
期間:4月8日、9日、11日、12日、13日
時間:16時~20時(最終日のみ15時~20時)
参加費:42,000円+税
http://www.gorch-brothers.jp/infomation/detail_gorch.php?no=1233&cno=1

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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