新国立劇場演劇『パーマ屋スミレ(再演)』05/17-06/05新国立劇場小劇場

パーマ屋スミレ
パーマ屋スミレ

 『焼肉ドラゴン』『たとえば野に咲く花のように』と続いた鄭義信さんの三部作連続上演の最後は、炭鉱労働者を描く『パーマ屋スミレ』⇒初演レビュー 東京公演の後、福岡、兵庫公演があります。予定上演時間:約2時間55分(第1幕95分 休憩15分 第2幕65分)。

 劇場ロビーで熊本地震への募金が行われていました。『パーマ屋スミレ』の舞台は熊本なのです。

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 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。
1965年、九州。「アリラン峠」と呼ばれた小さな町があった。そこからは有明海を一望することができた。アリラン峠のはずれにある「高山厚生理容所」には、元美容師の須美とその家族たちが住んでいる。須美の夫の成勲は炭鉱での爆発事故に巻きこまれ、CO患者(一酸化炭素中毒患者)となってしまう。須美の妹・春美の夫もまたCO患者となり、須美たちは自分たちの生活を守るために必死の戦いを始めた。しかし、石炭産業は衰退の一途をたどり……。
≪ここまで≫

 初演から4年。自分も日本も変わりました…。ほとんど演出は変わっていないはずなのに、それを突きつけられます。

 語り部である酒向芳さんの若い頃を演じた森田甘路さん(ナイロン100℃)は、映画「イニシエーション・ラブ」の、あの重要な役の俳優さんだったんですね!

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 ここからネタバレします。

 CO特別立法が成立して喜んだのもつかの間、実は軽症患者を切り捨てるものだったという事実。骨抜きにされていく原子力発電所の「新規制基準」のようです。

 今回もやはり須美(南果歩)の決意と行動が最も印象に残りました。決めたことをやり続ける、ということ。

 村上淳さんは義姉の須美(南果歩)に対して、もっと情欲を前面に出した迫り方をしてもいいんじゃないかな~と思いました。須美の夫(千葉哲也)がCO患者(一酸化炭素中毒患者)になったせいで性的不能になってしまったことが、より際立つのではないかと。村上さんのことは映画でよく拝見しているので、荒々しさにも期待していました。ストイックな美男子も良かったですけど。

 初演から朴勝哲さんと一緒に生演奏を担当されている長本批呂士さん(新国立劇場演劇研修所3期生)は、三線で陽気に弾き語る若者、若松役。鍛えた体でイメージ一新。セクシーだったので、根岸季衣さん演じる初美と浮気をしたエピソードに説得力がありました。

≪東京、福岡、兵庫≫
出演:南果歩、根岸季衣、村上淳、千葉哲也、久保酎吉、酒向芳、森下能幸、青山達三、星野園美、森田甘路、長本批呂士、朴勝哲
脚本・演出:鄭義信 美術:伊藤雅子 照明:小笠原純 音楽:久米大作 音響:福澤裕之 衣裳:前田文子 ヘアメイク:川端富生 擬闘:栗原直樹 振付:吉野記代子 演出助手:城田美樹 舞台監督:北条孝 プロンプ:鈴木麻美 制作:田中晶子 プロデューサー:伊澤雅子 芸術監督:宮田慶子
A席:5,400円 B席:3,240円 Z席:1,620円(当日券)
http://www.nntt.jac.go.jp/play/performance/150109_006143.html

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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