テレビ朝日『謎の変奏曲』09/14-24世田谷パブリックシアター

 1996年にフランスで初演されたエリック=エマニュエル・シュミットさんの男性二人芝居です。上演時間は約2時間30分(途中休憩15分を含む)。

 朝日新聞によると日本では1986年(仲代達也&風間杜夫、題名は『愛は謎の変奏曲』)と、2004年(杉浦直樹&沢田研二)に上演されています。今回は橋爪功さんと井上芳雄さんのペアで、演出は森新太郎さん、翻訳は岩切正一郎さんです。

 期待していたよりも面白かった~~~♪ あぁ、いい戯曲って本当にいいですね、そしてそれをちゃんと上演してくれる座組みもありがたい!

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより 
ノルウェー沖の孤島で、一人暮らしをしているノーベル賞作家アベル・ズノルコの許へ、地方新聞の記者と名乗るエリック・ラルセンという男がやってくる。ズノルコの最新作、恋愛小説「心に秘めた愛」についての取材のためだ。ラルセンは、屈折したズノルコに手を焼きながらもインタビューにとりかかる。

ある男と女の往復書簡に実在のモデルは存在するのか? なぜ突然ぷっつりと、この手紙のやりとりは終わってしまったのか? 記者嫌いのズノルコが特別にラルセンの取材に応じた理由とは? ズノルコにとっての愛とは?

すべてが謎であった。

まさに白夜が終わり、夜の季節に移り変わろうとするその日の午後、こうしたラルセンの意味ありげな質問は続き、やがて二人をめぐる衝撃的な真実が次第に明かされていくのであった。
 ≪ここまで≫

 舞台はズノルコの屋敷の応接間。ほぼ具象の美術で、中央に大きな扉。扉と同様、左右の壁が半透明の窓になっていて、向こう側が少し透けて見えます。次々に謎が解け、その都度、2人の関係性が変わったり、立場が逆転したりするのが面白い!場面転換はありませんが、緩急も強弱もくっきりと付けられた会話劇で、全く退屈しませんでした。どんどん話がひっくり返るので、さすがにもう、ここで謎も打ち止めかな…と思ったら、また謎が!(笑)

 イギリスの国民的作曲家と言われるサー・エドワード・エルガーの楽曲「ENIGMA VARIATIONS(謎・変奏曲)」から構想を得たということで、作中にもこの音楽が登場します。ただ、いわゆるBGMは非常に少なく、会話と言葉で引っ張って、魅せてくれるお芝居です。照明も抑え気味ですが、ここぞという場面でじっくり、しっかり煽って(笑)、集中させてくれます。

 ズノルコの“恋愛論”に大いに共感し、ラルセンの生活や現実に対する姿勢に深く頷き…私自身の気持ちの振り子も、激しく揺れました。

 観終わってからしみじみ思ったのですが、役柄にぴったりのキャスティングですね。気難しいアーティストで精力旺盛そうな(笑)橋爪さんと、品行方正、清廉潔白なイメージの井上さん。もちろん、演技でそう見せてくださってるのかもしれません。

 ここからネタバレします。終幕したら公開予定。

≪東京、大阪、新潟、福岡≫
出演:橋爪功、井上芳雄
脚本:エリック=エマニュエル・シュミット
翻訳:岩切正一郎 演出:森新太郎
美術:伊藤雅子
照明:佐藤啓
音響:藤田赤目
衣裳:ゴウダアツコ
ヘアメイク:宮内宏明
演出助手:城田美樹
舞台監督:村田旬作
宣伝美術:東學
宣伝写真:渞忠之
宣伝衣裳:ゴウダアツコ
宣伝ヘアメイク:Heart Magic Tomomi
主催・製作:テレビ朝日
企画・制作:インプレッション
版権コーディネイト:シアターライツ
【発売日】2017/06/17 8,800円
http://www.nazono.jp/

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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