第23回(2007)京都賞の思想・芸術部門を受賞した故ピナ・バウシュさんのメッセージ映像です。facebookで友人がシェアしてくれたので拝見できました。舞台の作り手の皆さん、ぜひご覧ください。私は俳優さんに特に観ていただきたいなと思います。
以下、インタビューの中盤以降をテキスト化しました。句読点と改行は私が勝手につけました。
「私に分かるのはとにもかくにも修練は非常に大切だということです。感情やアイディアを何らかの形に転換させるのは簡単にできることではありませんが、私にはときどき何かとても小さなものが生まれるのが見えるときがあります。突然、小さなものが見えるのですが何なのか分かりません。いつの間にかそこにある「何か」はまるで小さな鍵のようで灯された明かりのようです。
その「何か」を理解するために自分の中で対話をします。するとそれは急にひとりでに膨らんでいくのです。まるで冒険のようです。例えようがないのです。アイディアは浮かびますがそれに基づいて仕事していても、いつのまにか消えてしまいます。
大切なのは大いに信頼する気持ちを持ち、せっかちにならないことです。まず自身の感情に耳を傾けなければならないのです。小さな明かりが灯り、エネルギーや意欲がうまれ、そして突然、次の段階へと導かれます。日常の中でこうしたアプローチを繰り返し試みるのです。非常に難しくときには恐ろしくもあります。
このような職業につく人は誰でも本当に自分がしたいことは何かを心にじっくり聴く必要があります。人は学びたいだけ学べます。基礎を持つことは大切ですが私の場合その基礎も一旦忘れ「今何が大事なのか」を自問しなければならないのです。それはひとりひとりが自分に問いかけることで誰からも助言してもらえません。自分自身の心に耳を傾け、自分が発するものを聴き、ほかの人はどう考え何を望んでいるかなど考えるべきではありません。なぜなら自分に正直であれば私たちが共通して持つ「何か」に出会えるからです。
共通する「何か」とは個人的なものではありません。それはあなたも私もみんな持っているものです。それは自分自身の中にしか見つけられないと思います。それが正しければいつかは分かるものだと思います。」
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