CATプロデュース『スポケーンの左手』11/14-29シアタートラム

 『ピローマン』『ロンサム・ウエスト』に続いて、マーティン・マクドナー戯曲を小川絵梨子さんが翻訳・演出。来年3月に『イニシュマン島のビリー』が森新太郎さんの演出で上演されます。

 『ステージぴあ』11+12月号に小川さんと出演者である成河さんのインタビューあり。

 ※レビューは2017年4月20日に公開しました。

 ≪あらすじ≫ 劇場公式サイトより
人気劇作家マーティン・マクドナーによる2010年初演の話題作に、『ピローマン』『ロンサム・ウェスト』とマクドナー作品を手掛けてきた小川絵梨子が、豪華実力派キャストとともに挑みます。27年もの間、亡くした左手を探す男。若い詐欺師のカップルが、彼の左手を持っていると言って売ろうとするが……。
 ≪ここまで≫

 ここからネタバレします。

 ホテルマン(成河)は動物園のテナガザルが大好きで、その死を悲しんでいた。彼が語るテナガザルの死のエピソードが切ない。たっぷり時間をとった一人語りになっていたのも良かった。 
 「なぜそんなに死に急ぐ?大事な人はいないのか、家族とか?」と男(中嶋しゅう)が尋ねると、「いたけど、死んじゃった」とホテルマン。“大事な人”がすなわちテナガザル。檻の奥で死んでいることに飼育員さえ気づかなかった。命を何とも思わない世間を表している。それをホテルマンも男も理解した。

 泥棒の男(岡本健一)の祖母が大事にしていたサボテンを盗んだのはホテルマンだった。ホテルマンに「ちゃんと水をやらなきゃだめだ」と教える男(中嶋しゅう)。

 男が探し求めていた「HATE」と指に入れ墨がある左手は、男のスーツケースの中にあった。ホテルマンが見つけたのだ。大事なものは自分のすぐそばにある。「青い鳥」のような話。
 人生の目的を果たした男は、自殺を試みる。揮発したガソリンが充満する部屋の中で、たばこをくわえ、ライターに火を点けようとするのだ。しかし男がライターを擦っても、火は点かなかった。ライターのオイルをホテルマンが事前に抜いていたから…! ガソリンに引火せず、死ねなかった男が「くそ!」と小さくつぶやいて、終幕。

A behanding in Spokane
[出演] 蒼井優 岡本健一 成河 中嶋しゅう
[作] マーティン・マクドナー
[翻訳・演出] 小川絵梨子
美術:松岡泉
【チケット発売日】
2015年8月28日(金)
一般7,800円 
友の会会員割引 7,600円
せたがやアーツカード会員割引 7,600円
※未就学児童はご入場いただけません。
http://setagaya-pt.jp/performances/20150728-3426.html
http://www.stagegate.jp/stagegate/performance/2015/sponkane/

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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