チーム夜営「衛星の兄弟」①約1時間15分。脚本(大竹竜平)がとても面白かった。宇宙に浮かぶ衛星を擬人化したSFで意外にロマンティック。演劇らしさ及びレトロ感を敢えて狙うアナログ風の映像使いにも技術とセンスを感じる。イスも衣装も可愛かった。美大出身のメンバーが揃う集団ならではかも。
— 高野しのぶ (@shinorev) 2016年8月11日
チーム夜営「衛星の兄弟」②どんでん返しもあり、最初から振り返ると味わいが更に増す。偏屈な演劇オタクの私は俳優の演技には少々不満。でも俳優で魅せるのが目的の芝居ではないと思う。大竹さんの近作をまとめた戯曲集がロビーで発売中。先行予約特典の短編小説を開演前に読めて楽しかった。
— 高野しのぶ (@shinorev) 2016年8月11日
⇒CoRich舞台芸術!『衛星の兄弟』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
“ 猛烈な槍の雨。所により、衛星。”
未来。
「神の杖」と名付けられた3機の人工衛星が地上から打ち上げられた。
彼らは仲の良い兄弟で、宇宙の誰よりも勤勉で、
長い長い大戦を終わらせるための最終兵器だった。
打ち上げから5年間。兄弟たちは休むことなく働き続けた。
彼らが飛ばした無数の鎗が地形を変えて、国や人を分断させた。
時が過ぎると、人間たちは地図を塗り替える根気も失い、
兄弟たちへ通信を送ることをやめてしまった。
そんなある日、仕事を失い暇を持て余した兄弟たちの元へ、
「胡蝶」と名のる中国の小型気象衛星がやってくる。
≪ここまで≫
進化した人工知能同士の会話で物語は進みます。最新鋭の殺りく兵器たちの無邪気さは、どこまでが内臓されたプログラムで、どこからが彼ら自身の「意志」なのか。
ここからネタバレします。
連合軍と革命軍との25年に渡る戦争において、連合軍は宇宙から“槍”を落として都市を破壊する衛星を開発。一発で都市が丸ごと消滅し、400万人を殺傷。漫画「AKIRA」の「SOL」のイメージとのこと(わかりやすい!)。
人工知能(AI)が搭載された3つの衛星は、兄、妹マイア、弟エルメスの3兄弟。兄の名前が終盤で「ゼウス」と明かされるのがいいですね。
衛星の寿命が見える兄は妹と弟の行動(弟は大気圏に突入し消滅、妹は軌道を離れデブリに衝突して爆発)は予定どおりだったと、中国の小型気象衛星「胡蝶」に言います。「胡蝶」は古い衛星であると装っていましたが、実は革命軍側が打ち上げた偵察衛星でした。3兄弟の末路を見届けるのが彼のミッション。
舞台奥の壁一面と、舞台中央にある丸いテーブルがスクリーンになり、映像が映されます。ハイセンス。中央と左右に設置された3兄弟用のイスもシャープなデザインでかっこ良かったです。弟が地球や地上の地図が映写されたテーブルを的にして、ダーツを投げます。そのダーツが武器の“槍”であるという…おもちゃのような手軽さが、最新兵器の実情をよく表していると思います。
≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
出演(左から)山﨑健太(演劇研究・批評)、小林弘樹(演出)、大竹竜平(脚本)
チーム夜営は2014年に旗揚げ。小林さんと大竹さんは20歳の時に出会って、8年のご縁になるそうです。
・『XとYの事情』は数学がテーマ。『タイトルはご自由に。』はAIと脳がテーマで、宇宙船に脳みそがいっぱい入ってる話。
・今回のテーマは思考実験。「中国語の部屋」。
・落語「死神」がモチーフ。のげシャーレだし。
・同じ場所でやりたくないので、次はまた違う会場になると思う。
vol.4
≪出演≫ゼウス:馬場太史(俳優座) マイア:萩原優奈 エルメス:高澤聡美 胡蝶:小林弘樹
演出:小林弘樹 脚本:大竹竜平
舞台美術=小林峻也
音楽・音響=熊谷秀哉
照明=竹元楓
映像=内田圭、いしいこうた
衣装=生田志織
イラストレーション=寺本愛
宣伝美術=大竹竜平
舞台監督=湯浅美穂里
制作=灰原千晶
中国語翻訳、声の出演:奥家偉民
英語翻訳:内田有
声の出演:Parker Biehn
椅子制作:北川陽史
スペシャルサンクス:兵藤芽衣、武蔵野美術大学
前売一般2300円
前売学生1800円
当日(一般・学生)2500円
8月11日20:00公演は、ゲストに山﨑健太さんをお招きしてのアフタートーク、
8月12日20:00公演は、チーム夜営メンバーによるアフタートークを開催します。
公演と合わせてぜひお楽しみください。
★8月11日(木・祝) 20:00公演
トークゲスト:山﨑健太(演劇研究・批評) 登壇:大竹竜平(脚本)・小林弘樹(演出)
山﨑健太 プロフィール:SFマガジンで「現代日本演劇のSF的諸相」連載中。早稲田大学文学研究科表象・メディア論コース博士課程。
★8月12日(金) 20:00公演
小林弘樹(演出)+小林峻也(舞台美術)+内田圭(映像)
http://team-yaei.com/
※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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