壱劇屋は大阪の枚方市を拠点に活動する劇団です。『SQUARE AREA』は2013年初演の同劇団の代表作で、今回の公演は大阪、愛知、東京の3都市ツアーでした。
物販コーナーが充実していて、1000円の脚本と1200円の有料パンフレットを購入。ディスプレイで過去公演のDVD映像も流していました。
「CoRich舞台芸術まつり!2016春」の審査員として拝見しました(⇒109本中の10本に選出 ⇒応募内容)。※レビューはCoRich舞台芸術!に書きます。下記にも転載しました。
劇団の制作さんが「CoRich舞台芸術まつり!2016春」に参加し、CoRich舞台芸術!を活用した成果をツイートしてくださいました。そのツイートもまとめて記録しています。
⇒CoRich舞台芸術!『SQUARE AREA』
CoRch舞台美術まつり!2016春最終選考作品の壱劇屋「SQUARE AREA」を拝見。https://t.co/Bm3Cg2LuOl 劇場で大々的に宣伝してくれてます…泣けるっ。入口ののぼりに気分アガる!4/10まで王子小劇場。 pic.twitter.com/P5X4jvm1WA
— 高野しのぶ (@shinorev) 2016年4月8日
壱劇屋が追加公演を決めました。演出と空間による増席の難しさ、当日券の問い合わせの数から、出来るだけいい環境で観てもらいたいという劇団の方針です。
はたして朝10:30の公演にどれくらいお客さんが来てくれるのでしょうか。… https://t.co/eZf4zGmf5e— 若旦那家康 (@wacadanna) 2016年4月8日
壱劇屋「【緊急追加公演決定】SQUARE AREA【4/10日10:30開演】」予約https://t.co/nQRO1lmd2M
ハシゴ観劇派、ぜひ!— 高野しのぶ (@shinorev) 2016年4月8日
【拡散希望】
壱劇屋「SQUARE AREA」追加公演
ステージゲスト発表!北川大輔(カムヰヤッセン)
王子小劇場芸術監督の北川さんが、この緊急事態に一肌脱いでくださることに!
真裏のカムヰヤッセン開演前に登場!お見逃しなく!https://t.co/PDZ3qLq5vk— 壱劇屋 (@ichigekiya) 2016年4月9日
↓朝10時半からの追加公演を決めた大阪の劇団壱劇屋もカッコえーけど、ゲスト出演する王子小劇場・芸術監督の北川大輔さん、漢やね!『SQUARE AREA』『レドモン』両作ともCoRich舞台美術まつり!2016春・最終選考作品。ライバル同士!
— 高野しのぶ (@shinorev) 2016年4月9日
≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより
四方囲み舞台からの奇妙な脱出劇。
2013年に上演した壱劇屋の代表作、待望の再演。
真四角の部屋に閉じ込められた四人の男女。
謎の少女がカウントダウンを告げる。
四面の壁に貼ってある意味不明の紙面。
四角から出るための資格とは。
無いはずの死角から襲ってくる視覚できない刺客たち。
謎の四角い空間に追いつめられた人々の世にも不思議な脱出劇。
≪ここまで≫
■サービス満点!体験型の娯楽演劇パッケージ
真四角の謎の閉鎖空間“SQUARE AREA(スクエアエリア)”に閉じ込めらた、見知らぬ人々の攻防を描くSFサスペンス・ドラマでした。壁のない舞台の四方に客席があり、床の高さは60cm。角には4本の支柱が建っていて、最上部に全支柱を横につなぐ四角い枠があり、柱だけの立方体になっています。
作・演出・出演の大熊隆太郎さんはパントマイマーのいいむろなおきさん、小野寺修ニさんに師事し、京都でロングラン中のノンバーバルパフォーマンス『ギア-GEAR-』にも出演されています。シンプルな抽象舞台と伸び縮みする紐を使った身体表現が見どころで、パントマイムの群舞による空間の七変化もスリリングです。通路を走る役者さんから風が届いて、小劇場ならではの臨場感も味わえました。
私は関西出身ですが東京に住んで20年以上になります。普段は耳にしない関西弁の方がフィクションの世界に入りやすいだろうと思い、全編関西弁のスペシャルステージを選びました。それが功を奏したのかどうかは確認できませんが、終演後のワークショップも含めて、サービス満点の娯楽イベントとして楽しむことができました。
上演が1時間30分で、終演後に約30分のイベント(ワークショップなど)があり、計2時間の娯楽パッケージにしているところが素晴らしいです。劇場入り口の壁には俳優の名前ののぼりが何枚も貼られていて、導入部からわくわくしました。劇場階段の踊り場には、観客が自由に感想を書き込める色紙とカラフルなペンが置かれていて、なんと色紙は6枚貼り合わせた立方体(=SQUARE AREA)になっていたんです。観客が作り手とともに作品と公演に参加して、一緒に楽しめる仕掛けをたくさん準備してくださっていることに感動しました。
東京公演は3都市ツアーの最終地でした。東京公演専用のチラシを作成し、劇場への折り込みも活発に行っていました。劇場に入ってすぐ突き当りにあった黒い壁には、愛知公演、三重公演を観たリピーター観客が違う角度の客席を選べるように、ステージの向きを明記した各地の座席表が掲示されていました。なんて親切なんでしょう!
終演後に大熊さんと制作の西分綾香さんにお話を伺いました。西分さんからは「CoRich舞台芸術まつり!の最終選考に残ったおかげで東京公演にお客さんが大勢来てくれました」という言葉をいただきました。終演後のロビーでは、売り子の皆さんが観客に対してあまりに熱心に商品をお薦めされていたので、購入して応援したい気持ちになりました。強い意志を伴う行動は実を結びますね。
※東京公演では千秋楽の4/10(日)朝10:30開演の追加公演が決まり、ステージ替わりゲストは王子小劇場・芸術監督の北川大輔さん(カムヰヤッセン)でした。「CoRich舞台芸術まつり!2016春」最終選考のライバル同士で、なんと公演期間も丸被りだったにもかかわらず、壱劇屋を王子小劇場に呼んだ劇場職員として一肌脱いだ北川さん…男前!しかも前売り完売という成果を上げました。
ここからネタバレします。
開演前に大熊さんがどしどし観客に話しかけ、そこまでしなくてもいいのでは…と思うほど(笑)和ませてくださいました。でも開幕してからは空気が一転。5分で神妙かつダークな雰囲気の異世界へと連れて行ってくれました。
見ず知らずの人々が突然“スクエアエリア”に放り込まれ、閉じ込められます。壁にある目に見えないノブを回し、ドアを開いて次の部屋に行くと、また同じスクエアエリアに戻ってしまうなど、観客に劇中のルールをわかりやすく説明し、少しずつ物語へと誘導していくのが巧み。短いセリフの応酬がリズミカルで、ギャグが沢山ちりばめられているので、大仰さや深刻さは控えめになり、軽やかに進行します。「残り50分」「残り10分」などと制限時間をカウントダウンしたり、謎の手紙を降らせたり、スリルを感じさせる仕掛けが周到です。
スクエアエリアの中で白いゴム紐を使って立方体を作り、人が入ったり出たりして変形させていくパントマイムは、大道芸、群舞として見ごたえがあり、物語とリンクしているのもとても面白かったです。白い紐をスクエアエリアに巻き付ける演出も良かったですね。ただ、俳優の演技およびパントマイム中の表情や動きについては、まだまだ改善、洗練の余地が大いにあると思いました。パントマイムは、役柄を演じたまま、さらりと、華麗に見せて欲しいです。
登場人物は皆、私生活で何かしらに追い詰められており、その原因が解消されるとスクエアエリアから脱出できますが、全員が脱出できなければ、また元に戻ってしまうという設定でした。彼らをつなぐ接点は病院に入院中の少女、小町(小刀里那)。どうやら入院中にお世話になった人々に恩返しをしたいという彼女の思いが、人々をスクエアエリアに召喚したようですが、そのあたりは上演中にはあまり理解できませんでした。最終的には相互に助け合いをすることで、全員が脱出します。他人を差し置いて自分だけ助かろう、自分だけ得をしようという生き方はみっともないです。誰一人置いてきぼりにせず、全員で幸せを目指す姿を描いたことが素晴らしいと思います。
強盗役とジャガー役を演じる、ステージ毎に異なるゲスト出演者は、塩原俊之さん(アガリスクエンターテイメント)でした。セリフと演技の両方で下ネタ炸裂…。私はもう40代の観劇オタクですから(苦笑)、慣れたものとはいえ、ドン引きしました。大熊さんに「20ステージ中、“最低”のジャガーでした!」と紹介されていて、さもありなんと思いました。ゲストの当たりハズレは運ですので気にしません(こりっち審査員の余裕をかましておくぜっ)。
俳優の中で動きにキレがあると思ったのは、幾度となく押し寄せる便意に困りまくる河村役の河原岳史さんでした。
■制作・出演の西分綾香さんのツイート
初めての追加公演が東京の地でになるなんて、夢にも思っていませんでした。
— にしぶん (@bubububun) 2016年4月8日
大阪凱旋公演を、との有難い声が本当に多くて、嬉しい限りです。できることならやりたい。でも、様々な理由もありまして、今のところ全く未定です。
ただ、今作品はCoRich舞台芸術まつり!2016春の参加作品。
グランプリを獲れたら2年以内に再演。
届きますように。— にしぶん (@bubububun) 2016年4月9日
壱劇屋「SQUARE AREA」
三都市すべてのステージが終わりました。
たくさんのご来場、本当にありがとうございました。正直に書きます。
三都市で動員2000を目標に掲げていましたが、小屋入りした時点でこれは無理だろうなと、半ば諦め掛けていた自分がいました。— にしぶん (@bubububun) 2016年4月10日
実際、ほんの数日前までは、2000動員なんて夢のまた夢なご予約数でした。連日の残席表示、一切嘘偽りはありません。少しも盛ってはいませんでした。
でも、劇団初の追加公演まで決まって、最後は連日満員のお客様に観ていただけて、こんなこと、数日前は本当に予想できていませんでした。
— にしぶん (@bubububun) 2016年4月10日
特別なコマーシャルを流したわけではなく、誰かが一人で100人呼んだわけでもなく、ただひたすらに、皆さんのクチコミのお陰でした。
CoRich!でのクチコミが、感想ツイートが、たくさんの人を巻き込んで、形となっていく様は、他人事のように書いてしまうと、感動的ですらありました。
— にしぶん (@bubububun) 2016年4月10日
大阪からも、愛知からも、東京からも、毎日たくさん背中を押していただきました。
壱劇屋にとっても大切な作品である「SQUARE AREA」が、たくさんの方に観ていただける結果となって、本当に幸せです。
本当にありがとうございました!— にしぶん (@bubububun) 2016年4月10日
これでひとまず、壱劇屋「SQUARE AREA」はおしまいです。次にスクエリをできるのがいつになるのか、まだなんにも決まっていません。
一番のチャンスはCoRich舞台芸術まつり!2016春でグランプリを獲って再演、ですが、取らぬ狸の皮算用になってしまうので何とも言えません。— にしぶん (@bubububun) 2016年4月10日
またいつか「SQUARE AREA」を上演できる日が来たらいいなと、そう思います。またその時は今回以上にたくさんの方に観ていただけるよう、力を付けていきます。
今はまだ、滅多に遠征公演のできない劇団です。
愛知・東京の皆さん!
どうか、壱劇屋を覚えていてくださいね!— にしぶん (@bubububun) 2016年4月10日
「SQUARE AREA」を経て、改めて学んだこと。
①ツイッターは広報ツールたりうる
②CoRich!は積極的に使った分だけ比例して効果がある①は、否定されることも多いけど、この説を提唱していきたい。
②は、もっと関西でも広まったらいいなと思う。劇団とお客様の双方で。— にしぶん (@bubububun) 2016年4月11日
壱劇屋の大半がツイ廃、っていうのも大きな要因だと思うので、そこがちょっと汎用性を下げるというか一筋縄ではいかないポイントかもですけれども。
何が良くて悪いのか自分でもまとめきれてないから、誰かとこういう話をしたい。ツイッター広報作戦会議。
— にしぶん (@bubububun) 2016年4月11日
壱劇屋「SQUARE AREA」
全26ステージ、無事に終演しました!大阪・愛知・東京、三都市合計2081名様にご来場いただきました。
次回壱劇屋本公演は、9月・10月を予定しています。
今後とも壱劇屋をよろしくお願いします! pic.twitter.com/z9JHDHqBEk— 壱劇屋 (@ichigekiya) 2016年4月10日
総動員、もう一度数え直したら2085名様でした……コッソリ訂正………。
— 壱劇屋 (@ichigekiya) 2016年4月10日
SQUARE AREA東京公演ページへの
☆観てきた!☆大募集!お礼動画として大阪公演のオープニング動画(上からver)をお送りします!
ご観劇後の感想、一言でも大歓迎です!https://t.co/PDZ3qLHGTU pic.twitter.com/uvELkDkMQs
— 壱劇屋 (@ichigekiya) 2016年4月10日
■その他
大阪・壱劇屋が勝負をかけた3都市ツアーでやった10のこと、公演企画とTwitterの相乗効果で動員目標達成 https://t.co/prAIJtNgqv
— fringe (@fringejp) 2016年5月1日
≪大阪、愛知、東京≫
【出演】
安達綾子:安部…謎の部屋に迷い込んだ看護師の女性(ヤクを外部に流す)
大熊隆太郎:大沢…気付くと謎の部屋に居た作家の男性(売人からヤクを買っている)
河原岳史:河村…謎の部屋に迷い込んだニートの男性(ぶんこちゃんのファン/便意に困っている)
小刀里那:小町…部屋の回りを徘徊する謎の女性(入院中の少女)
竹村晋太朗:竹田…気付くと謎の部屋に居た会社員の男性(小町の父)
坪坂和則:坪内…謎の部屋に迷い込んだ社長の男性(無人島に逃亡してジャガーと闘う)
西分綾香:西野…気付くと謎の部屋に居たOLの女性(ネットアイドルぶんこちゃん)
丸山真輝:丸井…謎の部屋に迷い込んだ医者の男性(体中が痛くてヤクが必要)
山本貴大:山下…気付くと謎の部屋に居た無職の男性(ヤクの売人/病気持ち)
※各回にご当地ステージゲストあり(強盗役&ジャガー役)
企画・制作/劇団壱劇屋
脚本・演出/大熊隆太郎
照明:小野健(フリースター)
音響:椎名晃嗣(劇団飛び道具)
舞台監督:新井和幸
制作:【大阪】ハシクミ・【愛知】佐和ぐりこ(オレンヂスタ)・【東京】若旦那家康(コトリ会議/ROPEMAN(38))
企画協力:水口美佳
宣伝美術:河野佐知子
写真撮影:河西沙織(劇団壱劇屋)
【ステージゲスト】
4月6日(水)19:30:菊池祐太(ゲキバカ)
4月7日(木)15:00:黒田勇樹(しぃぼるとぷろだくしょん)/19:30:立川こしら(落語立川流 真打)
4月8日(金)15:00:塩原俊之(アガリスクエンターテイメント)/19:30:小玉百夏
4月9日(土)14:00:猪俣三四郎(ナイロン100℃)/18:00:奥田ワレタ(クロムモリブデン)
4月10日(日)10:30:北川大輔(カムヰヤッセン)(追加公演!)/14:00:おねだり豊(松竹芸能)/18:00:中川晴樹(ヨーロッパ企画)
※4月8日(金)15:00は関西弁スペシャル(全編関西弁でお届けするスペシャルステージ!)
全席自由席
一般 前売3000円/当日3200円
学生(要証明書)前売2500円/当日2700円
高校生以下(要証明書)前売・当日共通1000円
http://ichigekiyaoffice.wix.com/squarearea
※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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