新国立劇場演劇『タージマハルの衛兵』12/02-12/23新国立劇場小劇場THE PIT

 12月のお薦めベスト3としてご紹介していた公演です。プレビューを経た初日(12/7)に拝見しました。

悲劇喜劇2020年1月号
悲劇喜劇2020年1月号

posted with amazlet at 19.12.24
早川書房 (2019-12-07)

 

≪あらすじ≫ https://www.nntt.jac.go.jp/play/guards_at_the_taj/
1648年、ムガル帝国のアグラ。建設中のタージマハルの前。「建設期間中は誰もタージマハルを見てはならない」と、皇帝からのお達しがあった頃。

ついにタージマハルのお披露目の日の前日、夜通しで警備についている、フマーユーンとバーブル。二人は幼い頃からの親友であり、現在は軍に入隊をしている。警備中はタージマハルに背を向け、沈黙のまま直立不動でなくてはならない。だが、空想家のバーブルは黙っていられなくなり、律儀に立ち続けるフマーユーンに話しかけてしまう。

二人の会話はまるで『ゴドーを待ちながら』の二人のように、もしくは『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』の二人のように、とりとめのない言葉の応酬のようでありながら、二人の人間の差を描き出して行く。

やがて二人は、バーブルが不用意に発した一言を発端に、あまりにも理不尽で悲劇的な状況に追い込まれていく。その先にあるのは……。
≪ここまで≫

 絶対的な支配者のもとで奴隷のような生き方を強いられる二人の若者が登場します。「個と全」というテーマにふさわしい普遍性のある物語です。アッと驚く仕掛けもある、娯楽作になっていました。

 ここからネタバレします。

 舞台から丸く切り取られるようにスライド式の床が舞台奥へと移動し、最初に見えていた床の一段下に、フマーユーン(成河)とバーブル(亀田佳明)が職人の手を切り落としていった部屋が現れる。血の海。丸みを帯びた床がタージマハルの形に見えて、巨大建造物は血にまみれていることを想起した(建築時に大勢の人間が死んでいる)。たとえば奈良の大仏もそう(参照:手塚治虫「火の鳥」)。

 無数の手を切り落とし、部屋もきれいに片づけた2人には、ハーレムで王を直接警護する役職への出世が約束された。でも自由を希求するバーブルは、王の暗殺を口にしてしまう。フマーユーンはバーブルをかばうが、(上官の)父にばれてしまった。捕まったバーブルの手を切り落とすフマーユーン(手を落とす仕掛けはマジック!)。年月が経ち(台本によると10年)、王が変わってもフマーユーンは出世しておらず、同じ衛兵の仕事を続けているようだ。2人でジャングルに入り、木の上に小屋を建てた思い出(フマーユーンの空想?)がよみがえる。

■公式

■チラシ

■その他

■感想

出演:成河、亀田佳明
脚本:ラジヴ・ジョセフ
演出:小川絵梨子
美術:二村周作 照明:松本大介 音響:加藤温 衣裳:原まさみ 演出助手:西祐子 舞台監督:福本伸生
【発売日】2019/09/14
(プレビュー公演)
A席:4,950円
B席:2,200円
(本公演)
A席:6,600円
B席:3,300円
Z席 1,650円(10%税込)
※就学前のお子様のご同伴・ご入場はご遠慮ください。
https://www.nntt.jac.go.jp/play/guards_at_the_taj/
https://stage.corich.jp/stage/103743

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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