菅田将暉さんがカミュ作『カリギュラ』に主演されています。演出は栗山民也さん。上演時間は約2時間50分、休憩20分含む。
『カリギュラ』の過去レビュー⇒1、2
初台の新国立劇場で『カリギュラ』(中劇場)と『あの出来事』(小劇場)が上演中。偶然、両作品とも想像を超えるテロリスト(無差別殺人犯)が主軸で、彼を理解しようとする人、または彼を理解してほしいと訴える人が登場。許すか許さないかの二択ではなく、“理解”について考える。答えは…出ない。
— 高野しのぶ(しのぶの演劇レビュー) (@shinorev) November 15, 2019
翻訳の岩切正一郎さんによる翻訳本↓が発売されています。
早川書房
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岩切翻訳、栗山演出、新国立劇場中劇場といえば、2017年の『トロイ戦争は起こらない』がありました。同劇場中劇場はとても広くて、扇型の客席のどこからでもなるべく観やすくするためか、張り出す形状の舞台美術になることが多いですよね。私は幸運にも中央あたりで拝見でき、俳優の演技もよく見えました。
登場人物同士の会話以外に、観客に向かって話すこともあります。詩とは、セリフとは、詩の言葉とは…と考えながら観ることになりました。
主演の菅田将暉さんがのびのびと動きまわる姿から、心身ともに自分をさらす俳優の仕事を思わずにいられません。ただ私が観た回については、菅田さんに限らず、俳優の舞台上での移動が振付に見えることが少なくなかったです。衣装のスタイルのせいもあるかもしれませんが、家臣らの演技は蜷川幸雄演出作品に似ている気もしました。
今週2度目の初台『カリギュラ』@新国立劇場。「同じ魂と誇り高さを持っているふたりの男が生きているうちに少なくとも一度、心の底から話をするのは可能だと思うか。偏見や、個人の利害関係や,嘘といった生のよりどころを全部脱ぎ捨て、お互い丸裸になって」 という終盤のケレアとの会話が一番好き。
— Yukiko.W (@kywatana) November 15, 2019
「カリギュラ」朝日新聞の劇評、デジタル版が公開されました。簡単な無料登録で全文読めるはずです。チケットが取れなかった方にも読んでいただきたいし、これからご覧になる方にもネタバレになっていないと思います。 https://t.co/EgXILv81q5
— 徳永京子 (@k_tokunaga) November 21, 2019
『カリギュラ』きょうは18時30分開演です。
読み応えのある劇評でしたのでご紹介します。残念ながらウェブで全文読めるのは有料会員のみですが。(20日の夕刊に掲載)→ホリプロ「カリギュラ」: 日本経済新聞 https://t.co/KUridMwvbM
— 石井英明 (@hideaki141) November 21, 2019
ここからネタバレします。セリフなどは正確ではありません。
『カリギュラ』を観るのは三度目で、ずいぶんと自分のとらえ方が変わりました。もちろん加齢もありますが、おそらく日本の現状や世界各地で起こっている事件も影響していると思います。
近親相姦の関係にあった妹が亡くなり、若き王カリギュラはその傷心のため3日間も姿を消し、戻ってきた時には満身創痍の様子でした。それから彼は「不可能を欲する(月が欲しい)」と決心し、国民の財産を没収して気ままに家臣を殺すようになります。奇抜な服をまとって女神になったり、敢えて不格好な踊りを披露したり。詩人に死についての詩を作らせるコンクール(?)も開いていました。神になり、劇をやり、詩を作らせることで、世界のすべてを把握し、手に入れようとしたのかなと思いました。
彼には「時間がない」という自覚があるので、明らかな自殺行為です。こういう生き方は、今だって誰だって、選べるんですよね。やまゆり園事件(相模原障害者施設殺傷事件)や京アニ放火殺人事件などの犯人が、すぐに思い浮かびます。では、そういう人と、どうやってかかわるのか。かかわりあってしまった時、どうすればいいのか。
ケレア(橋本淳)は命がけで対話を試み、カリギュラ(菅田将暉)はそれに応えました。でも、最終的に王は計画的に殺されます。ちょうど同時期に同じ劇場内で上演中の『あの出来事』との共通点に驚きつつ、「理解しようとすること」について考えました。
自分を苦しめる他者を許せるのかどうか…。問い続けるしかないのだと思います。オリバー・ストーン監督の映画「7月4日に生まれて」のセリフを思い出しました。「私はあなたを許しません。でも神はあなたを許すでしょう」(正確性は保証できません)。
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出演
カリギュラ:菅田将暉、シピオン:高杉真宙、エリコン:谷田歩、ケレア:橋本淳、セゾニア:秋山菜津子
原康義、石田圭祐、世古陽丸、櫻井章喜、俵和也、野坂弘、坂川慶成、石井淳、石井英明、稲葉俊一、川澄透子、小谷真一、小比類巻諒介、西原やすあき、髙草量平、原一登、平野亙、峰﨑亮介、吉澤恒多
脚本:アルベール・カミュ
翻訳:岩切正一郎
演出:栗山民也
美術:二村周作
照明:勝柴次朗
音楽:金子飛鳥
音響:山本浩一
衣裳:前田文子
ヘアメイク:鎌田直樹
アクション:渥美博
振付:八子真寿美
演出助手:坪井彰宏
舞台監督:加藤高
【発売日】2019/08/17
10,800円
Yシート:2,000円(※20歳以下対象・当日引換券・要証明書)
(全席指定・税込)
※本公演のチケットは主催者の同意のない有償譲渡が禁止されています。
https://caligula.jp/
https://stage.corich.jp/stage/103028
※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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