KAAT神奈川芸術劇場『ビビを見た!』07/04-07/15神奈川芸術劇場・大スタジオ

 大海赫さんの絵本の舞台化です。上演台本と演出を手掛けるのは松井周さん。約1時間45分。

 盲目の少年ホタルが主人公です。観客が彼の立場になれる演出でした!ホタル役の岡山天音さん、ビビ役の石橋静河さんも素敵でした。

 終演後のトークは時間の都合で断念。衣裳を手掛けている濱田明日香さんのブランド「THERIACA テリアカ」のグッズに惹かれたのですが、そちらも断念(お洋服はお値段が高くて…)。あー靴下買っておけばよかったな~。

ビビを見た! (fukkan.com)
ビビを見た! (fukkan.com)

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大海 赫
ブッキング
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≪あらすじ≫ https://www.kaat.jp/d/vivi
盲目の少年・ホタルに突然7時間だけ目が見えるようにしてやろうという声が聞こえた。ホタルの目が見えるようになると同時に、彼のまわりの人々は光を失ってしまう。突如、町が正体不明の敵に襲われ、人々はパニックに陥る。ホタルは盲目となった母とのりこんだ列車で、やぶれた羽と美しい触覚を持った緑色の少女・ビビと出会う。天津爛漫で無邪気なビビに振り回されるホタル。そして、ホタルたちの乗り込んだ列車を巨人が追ってくる
≪ここまで≫

 ここからネタバレします。セリフなどは正確ではありません。

 突然、敵が襲ってきた。7時間だけ目が見えるようになったホタルは、目が見えなくなった母親と逃げていた。女性、子供、年寄りは列車で街を脱出する。大人の男性は敵と戦うため無理やり街に残されるが、全滅した。

 列車で出会った緑色の少女(緑色のミニ・ワンピが可愛い!)にホタルが優しくすると、彼女は心を許した。ホタルは彼女をビビと呼ぶことにし、彼女もそれを承諾する。列車には様々な家族が乗っていて、父親から息子を定期的に誘拐する母親もいた。息子はそれを知りながら母親と同行している。親から子供への無理解と暴力は、ホタルと母親、ビビとその父親(後で登場)にも当てはまる。

 列車が何かに衝突して止まり、脱線する。列車から放り出された乗客の何人かは、追いついた大男(=敵)に踏み潰される。その大男はビビの父親だった。ビビは父親に片方の羽をちぎられて、逃げていたのだ。自らの体や力の大きさを自覚していない父親が、娘を自分のもとに置いておきたい一心で暴力を振るってしまっていた。ビビは一旦逃げるが、ホタルを助けるために戻ってくる。

 ホタルと一緒にいたいビビは、大男(=父親)を操縦して、どこにでも連れてって、何でも見せてあげると言う。ホタルは大男のおかげで海を見た。でもあと一時間でまた盲目に戻るのだ。ホタルが本当に見たいのは、ビビだった。ビビとホタルは互いに触れ合い、見つめ合う。

 すぐに時はきた。ホタルは盲目に戻り、ホタル以外の人々は視力を取り戻す。ホタルは再び訪れた暗闇の中で、「僕は1番きれいなものを見た、ビビを見たのは僕だけだ」と母親に告げた。

 以上が詳しい目のあらすじです(お粗末様でした)。

 大きな布を装置に掛けたり、全体に被せたり、俳優がその中に入り込んでいろんな形を作ったりして、巨人の動きを想像させるのがとてもよかったです。久ヶ沢徹さんの声の工夫も楽しかった。照明が全体的に暗い目でしたね。前半が少々単調な気がしました。俳優の表情も観たいので、もう少し明るくしてもいいのではないかしら。

 盲目になった人々は目隠しに赤い布を巻いていました。ホタルの母親は自分が盲目になったことで、初めて蛍のことがわかった、いや、蛍のことを全くわかっていなかったことに気づきます。このお芝居を体験することで、観客が初めて気づくこともあるのだと思います。たとえば最初と最後の長い暗転で。

 とんでもなく不条理な世界の、時間のリミットも迫る極限状態において、発見される愛。それは一瞬の出来事で、持続することはないけれど、記憶に深く刻まれます。先日観たばかりの『ガラスの動物園』がすぐに思い浮かびました。映画「眺めのいい部屋」のキスシーンも。

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出演:岡山天音、石橋静河、樹里咲穂、久ヶ沢徹、瑛蓮、師岡広明、大村わたる、熊野晋也、岩岡修輝、長尾純子、中島妙子、小林風花
原作:大海赫(おおうみあかし)
上演台本・演出:松井周
美術:杉山至
衣裳:濱田明日香(THERIACA)
音楽:宇波拓
照明:Yoann Tivoli
音響:牛川紀政
ヘアメイク:谷口ユリエ
ステージング:下司尚実
演出助手:吉中詩織
舞台監督:福澤諭志
プロダクション・マネージャー:安田武司
技術監督:堀内真人
制作:富田明日香
プロデューサー:小沼知子
制作統括:横山歩
宣伝美術:服部一成
宣伝写真:大森克己
宣伝衣裳:濱田明日香(THERIACA)
宣伝ヘアメイク: 茅根裕己
企画製作・主催:KAAT神奈川芸術劇場
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業) 独立行政法人日本芸術文化振興会
【発売日】2019/04/20
【全席指定席・税込】
一般(平日前半割)
前売 4,800円/当日 5.300円 
*対象日:7/4,5,8,10
一般(前半割以外)
前売 5,300円/当日 5,800円
U24(24歳以下)2,650円
高校生以下   1,000円
※U24、高校生以下チケットは前売りのみ/チケットかながわのみでの取扱/枚数限定、要証明書
*未就学のお子様のご入場はお断りしております。
*車イスでご来場の方は、事前にチケットかながわにお問い合わせください。
https://www.kaat.jp/d/vivi
https://stage.corich.jp/stage/100389

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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