東京工業大学リベラルアーツ研究教育院「声に出してシェイクスピアvol.3-喜劇編その1『ヴェニスの商人』-発表会」08/23東京工業大学大岡山キャンパス大岡山西9号館7階714教室

 5月に新国立劇場『ヘンリー五世』にまつわるシンポジウムを開催された、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院の一般向け演劇ワークショップの発表会を見学させていただきました(告知エントリー⇒)。

 「声に出してシェイクスピアvol.3」ということで、『マクベス』『ヘンリー五世』に続き3度目となる今回の題材は『ヴェニスの商人』。毎度、募集開始初日に定員(30名)に達する人気企画だそうです。

 僭越ながら、これまでの3回の発表をご覧になっている翻訳家の小田島創志さんと、最後に講評をさせていただきました。創志さんは今回の戯曲の翻訳者である小田島雄志さんのお孫さんです。

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 シェイクスピア研究者の小泉勇人さんのレクチャーの後、俳優の下総源太朗さんの指導のもと、30人の参加者が3チームに分かれて戯曲の一部をリーディング上演します。計5日間で最終日は発表会ですから、レクチャーも含めて準備期間は4日間。各回18時~20時なので発表までの稽古時間は合計8時間でしょうか。会場が16:30から空いている時もあり、早めに集まって稽古をしていたチームもあったそうです。

 今回は『ヴェニスの商人』の終盤の法廷の場面を中心にした約20分間の抜粋上演で、戯曲の同じ部分を3バージョン拝見できました。見事に全く違う作品になっていましたね。驚くほど舞台装置が凝っていたり、衣裳をそろえていたり…準備が大変! セリフを覚えてこられた方もいらっしゃいました。

建物の入り口の看板
建物の入り口の看板

 一般向けのワークショップですので、演技や演出の上手、下手は重要ではありません。初対面の人たちが集まって、チームになって協働し、結果を出す(他者に作品を見せる、皆で成果を体験・共有する、けりをつける、責任を取る)のが演劇の前提であり、醍醐味なのだと私は思っています。最終日しか拝見できていませんが、参加者の皆さんがそれぞれの目標に向かって全力で楽しんでいらっしゃるようでした。3回目ともなると、親しい仲間が集まるコミュニティーが形成されてきたようです。それも有意義で幸福なことだと思いました。
 
 最初のウォーミング・アップのエクササイズは、私も少しだけ真似させていただきました。発表会前なので10分ほどでしたが、下総さんが個人で開催されているワークショップでは、1時間ほど行うこともあるそうです。下総さんのファシリテーションは、演技者が内向きにならず、外に開くように導くものでした。よく言われることですが、コミュニケーション(=演技)の肝は(他者を)聞くことであり、私も常々そう思っています。下総さんのエクササイズはそれを心身で実践することを意図したものだったと思います。また、他者と常につながりつつも、それぞれに自由である状態を目指しながら、誰もを温かく見守る姿勢でいらっしゃるようでした。

夏のワークショップ2018「声に出してシェイクスピアvol.3-喜劇編その1『ヴェニスの商人』-」(全5回)
講師:下総源太朗(俳優)、小泉勇人(シェイクスピア研究者)
コーディネーター:谷岡健彦
日程:2018年7月19日、26日、8月2日、9日、23日(いずれも木曜日、全5回)
各回とも18:00 – 20:00。全回受講が原則。やむをえぬ事情による欠席や遅刻は、できるかぎり対応いたします。
場所:東京工業大学 大岡山キャンパス 大岡山西9号館7階714教室(土足禁止の教室です)
対象:本学学生、教職員、一般
受講料:全5回4,000円(本学学生、教職員は無料)
定員:30名(要事前予約、7月2日(月)より受付開始、先着順)
https://www.titech.ac.jp/event/2018/041761.html

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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