韓国の国立劇団の「ボッコちゃん」約1時間40分。日本のSF小説を韓国人が舞台化した短編集。凄かった!俳優は会話も語りも自在で身体表現も巧み。曖昧さがなくブレない。「キーが高すぎる!」に爆笑。鏡面の装置が効果的で照明演出に息を呑み涙ぐんだ。6/2(日) 14時が千秋楽。https://t.co/PkUTt0tasL
— 高野しのぶ(しのぶの演劇レビュー) (@shinorev) 2019年6月1日
チョン・インチョルが星新一作品を脚色・演出「ボッコちゃん」来日公演https://t.co/mvdK3jNtvz pic.twitter.com/8WernA3Tf7
— ステージナタリー (@stage_natalie) 2019年4月22日
★韓国ナショナル・シアターカンパニーとは(https://www.tmt-bokkochan.com/castより)
韓国ナショナル・シアターカンパニーは、長い歴史を持つ、国営の重要なシアターカンパニーの一つである。1950年4月に創立し、2020年には70周年を迎える。ソウルに明洞芸術劇場と2つのスタジオ・シアターの3つの劇場を持ち、韓国でもっとも多くの演劇を制作しており、新作のみならず、世界の古典を現代版に蘇らせて上演し、年間に20公演以上を制作している。韓国ナショナル・シアターカンパニーは、韓国の演劇の中心として、伝統を受け継ぎ、近代演劇の新しい展望を切り開いている。
1.「ボッコちゃん」(『ボッコちゃん』所収)
知能は低いが美しい女性ロボット「ボッコちゃん」はバーの人気者。彼女と心中しようとした客が彼女に毒入りの酒を飲ませる。彼女が口から飲んだ水分は体内に溜まり、足首からそのまま取り出す仕組み。取り出した毒入りの酒を店長が客に振る舞い、ボッコちゃん以外は全員死亡。
女性ロボットの美しさ、屈強さ、空虚さを俳優が体現できていて素敵。
2.「知人たち」(『たくさんのタブー』所収)
会社の金を横領し、姿をくらました男性。誰も自分のことを知っていない、覚えていないことがわかり恐怖にかられる。「私のことを知っている人はいませんか?」とテレビに出演し、人気者に。大勢の仲間ができたが、自分のことを知っている人は皆無。孤独。
一人語りで状況を伝えられるのが素晴らしい。主人公は男性だが女性が演じていた。ジェンダーを敢えて一致させない配役も良い。
3.「おーい でてこーい」(『ボッコちゃん』所収)
底の見えない穴に、放射性廃棄物などのゴミをどんどんと捨てていたら、その穴は空につながっていた。
舞台中央で俳優が円になり、床に寝転んで穴に集まる人々を演じる。それを天井から撮影し、舞台奥の壁に映写する。天井から見る図と客席から見える体の両方を使う演出が面白い。立体と平面のコンビネーション。
4.「鏡」(『ボッコちゃん』所収)
合わせ鏡にして悪魔を呼び出した夫婦。弱っちい悪魔をいじめてうっぷんを晴らしていたが、間違って再び合わせ鏡にしてしまい、悪魔は鏡の中に逃げてしまった。はけぐちを失った夫婦は互いを攻撃する。悪魔とはその二人のことだった。
悪魔が鏡から現れ、去る場面のレーザー(?)の赤色の照明が凄い!
5.「宇宙の男たち」(『宇宙のあいさつ』所収)
宇宙船の事故で地球に戻れなくなった2人の男性。小さなロケットに遺言をたくし、地球に向けて発射する。
メッセージの内容も感動的だったけど、手のひらで光る小さな照明を使って、星空、宇宙を作りだす演出に涙した。最新の技術を使いつつ、俳優によるアナログな手法で劇空間を立ち上げる。
6.「ひとつの装置」(『妖精配給会社』所収)
ある科学者が発明した不思議な物体。人類が滅びた後にはじめて動き出し、その役割を果たす。
舞台中央に俳優たちが固まって、いろんな人物を演じつつ、解説もする。俳優がぴったりひっついている状態が発明品そのものにもなる仕掛け。動きが機敏で発語も明瞭(韓国語はわからないけど)。演技をしている状態そのものにも感動する。
韓国ナショナルシアター制作『ボッコちゃん』へ。全短編1000本をほぼ読破したという星新一ファンのインチョルが、珠玉の6本を舞台化。韓国の若い観客の圧倒的支持を集めた作品。
ラストの「ひとつの装置」だけでも、観る価値があると思う。https://t.co/KI1yu5A89m— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) 2019年6月1日
「ボッコちゃん ~ 星新一 ショートショートセレクション ~」@芸劇シアターイースト。星新一作品の中からセレクトした6篇を韓国ナショナル・シアターカンパニーが舞台化、2017年に韓国で東亜演劇賞を受賞。6篇を90分で上演と舞台もショートショート。懐かしくも新鮮な体験だった。韓国演劇面白い! pic.twitter.com/fm9Hug2HEq
— Yukiko.W (@kywatana) 2019年5月31日
『ボッコちゃん』観劇。韓国俳優の技術の高さ、スタッフワークのクオリティとセンス、演出も素晴らしかった。星新一を演劇にする事に純粋に成功してる。さすが東亜演劇賞三冠(笑)。日韓でこういう上演が行われることの幸せさたるや。いや、日韓とかでもない、良い表現への純粋なリスペクト関係。
— JunnosukeTada@JPN (@TDLTJ) June 1, 2019
ちなみに、舞台美術はカルメギと同じパク・サンボン、なんなら小道具・メイクのチャン・キョンスクさんも。字幕・コーディネートはお馴染みコ・ジュヨンさん、照明のチェ・ボユンは岩城さんを師匠と呼ぶ盟友。みんな良い仕事してるなぁ。https://t.co/Vv8pov0IVf
— JunnosukeTada@JPN (@TDLTJ) 2019年6月1日
字幕が読みにくい位置なので途中であきらめビジュアルに集中。演出は非常に洗練され、映像とムーヴメントのクオリティとアイデア、その有機的な繋がりも完璧。俳優は能力高くかつチャーミングで、全体の完成度の高さに憧憬のため息の90分?? https://t.co/knCGcoqkaq
— 伊達なつめ (@NatsumeDate) June 2, 2019
これ面白かった。そしたら演出のチョン・インチョルさんも昨日イキウメ観に来てくれて、演劇でSFもええもんやな、なんかやるか、と終演後にカフェで雑談。 https://t.co/PSlFeoVW5M
— 前川知大 Tomohiro MAEKAWA (@TomoMaekawa) June 2, 2019
韓国語上演・日本語字幕付
上演演目
1.「ボッコちゃん」(『ボッコちゃん』所収)
2.「知人たち」(『たくさんのタブー』所収)
3.「おーい でてこーい」(『ボッコちゃん』所収)
4.「鏡」(『ボッコちゃん』所収)
5.「宇宙の男たち」(『宇宙のあいさつ』所収)
6.「ひとつの装置」(『妖精配給会社』所収)
※すべて新潮文庫刊
出演:韓国ナショナル・シアターカンパニー(National Theatre Company of Korea)
Yoo Byung-hoon ユ・ビョンフン
Ahn Byung-sik アン・ビョンシク
Kim Myung-ki キム・ミョンギ
Lee Bong-ryun イ・ボンリョン
Kwon Il クォン・イル
Kim Jung-min キム・ジョンミン
Park Hee-jung パク・ヒジョン
原作:星新一
脚色・演出:チョン・インチョル
【字幕・コーディネーター】Koh Jooyong……コ・ジュヨン
【舞台美術】Park Sang-bong……パク・サンボン
【照明】Choi Boyun……チェ・ボユン
【衣裳】Kim Woo-seong……キム・ウソン
【メイク+小道具】Jang Kyoung-suk……チャン・ギョンスク
【音楽】Park Minsoo……パク・ミンス
【音響】Kim Byung-soo……キム・ビョンス
【映像】Jung Byungmok……チョン・ビョンモク
【映像テクニカル・ディレクター】Kim Sung-ha……キム・ソンハ
【振付】Keum Bae-sub……クム・ベソプ
【芸術監督】Lee Sung-youl……イ・ソンヨル
【製作】The National Theater Company of Korea……韓国ナショナル・シアターカンパニー
チラシのイラスト原画:真鍋博「ミステリマガジン 1979年1月号/早川書房」表紙(原画) 愛媛県美術館所蔵
料金(全席指定・税込)一般 4,000円
65歳以上 3,000円/25歳以下2,000円/高校生以下1,000円
https://www.tmt-bokkochan.com/
http://www.geigeki.jp/performance/theater211/
※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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