新国立劇場演劇研修所(⇒facebookページ)の第10期生試演会『ロミオとジュリエット』の稽古場に伺いました。演出は同研修所コーチの田中麻衣子さんです。田中さんは9期生試演会①『血の婚礼』も演出されています。
シェイクスピア作『ロミオとジュリエット』は超~有名な英国古典戯曲。十代の男女の生死をかけた恋を描きます。20代前半の研修生たちが汗だくになって、涙を流しながら稽古する様子を見つめ、あらためて「血と肉(血縁、流血、生死、肉欲…)」の物語なのだと思いました。
●新国立劇場演劇研修所10期生試演会『ロミオとジュリエット』 ⇒公式サイト
11/09-13新国立劇場小劇場 THE PIT
A席3240円 B席2700円 Z席1,620円 学生券1000円(予約なくても1000円)。
※現段階では、上演時間は約2時間、休憩なしを予定(あくまでも予定です)。
⇒「2016年・秋のオープンスクール」11/26-27実施※11/15〆切
⇒「13期生募集(2017年4月入所)」願書受付期間は12/05-20(郵送のみ)
⇒修了生の活躍状況(2016年8月)
⇒CoRich舞台芸術!『ロミオとジュリエット』
【演劇研修所】来月9日(水)初日を迎える10期生試演会「ロミオとジュリエット」の残席状況。初日19時/10日(木)19時/11時(金)14時 A席B席とも有。12日(土)14時 A席有、B席完売/19時A席B席有。13日(日)14時 A席完売、B席僅少 03-5352-9999
— 新国立劇場<演劇> (@nntt_engeki) 2016年10月20日
稽古場に伺ったのは初日まで約2週間という時期です。栗山民也演出・9期生修了公演『嚙みついた娘』の稽古(⇒稽古場レポート)もそうでしたが、田中さんは演出だけでなく丁寧な指導もされます。たとえば「今、どういうシーンで、何を目的にしてるのか。どういうつもりで(そのセリフを)言ってるの?」と研修生と会話をしながら進めていきます。
演じた場面のダメ出し(=演出家による指摘)をしてから、同じ場面を繰り返すのですが、さらにダメ出しをして合計3~4回演じることもありました。1度のダメ出しで終わらず、どの場面も必ず、再度演じるチャンスがあるんですね。
田中:頭で考えてやろうとしたことは合ってるんだけど、実際には出来ていないことがある。(研修生は)やって、ダメ出しを受けて、またやってみて、出来ていないこと(そして出来たこと)を確認する時間が要るんです。
まだ立ち位置や振付は確定しておらず、同じ場面を繰り返しても演技は様変わりします。相手の頬にキスしたり、抱きついたり、勝手に寝転がったり、とっても自由! 毎度新しいことにチャレンジするのが、現段階でのルールのようです(※そういえば、こちらの稽古場もそうでした)。
ロミオ(田村将一)が友人のマキューシオ(中西良介)とベンヴォーリオ(永田涼)にバッタリ出会い、3人でだじゃれ合戦をする場面にて。マキューシオ役の中西さんが少し緊張されていたようで、田中さんがサラリと提案されたのがコレ。
田中:中西くん、ずっと飛んでて。
なんと、会話の最中ずっとジャンプしてみよう、とのこと。やってみたらこんなことに…(笑)↓
当然ですが、演じ終わると中西さんは激しく息切れされていて、咳こんだりも…。そこで田中さんが中西さんに一言。
田中:大丈夫? 自分の体は自分で守ってね。誰も守れないから。
……き…厳しい!確かに、演技をしている俳優を他人が止めるのは難しいんですよね…俳優は心身を自己管理しなければなりません。これも指導ですね。この後、中西さんの演技はずっと柔らかいものになりました。
十代の男女が一目惚れして、いきなり結婚して、引き裂かれて、多くの人の血が流れて…。幸福の絶頂から不幸のどん底へと急速で堕ちるし、感情の沸点も高くて、絶望も深いんですよね。大っぴらな猥談はたくましい生命讃歌とも受け取れます。若者が“草食系”などと形容される現代の日本で、若い俳優が取り組む意義が大いにある戯曲だと思いました。
田中:ロミオもティボルト(岩男海史)も、一生に一度、受けるか受けないかの侮辱を受けてる。血が煮えたぎるような何かがあるはず。
田中:ジュリエットには同時に起こるはずないことが、いくつも起こってる。もう一生、こんなこと起きないよね。自分がどうなるかなんて、全然わからない。(俳優は)そこに飛び込むしかない。周囲との関係性も保ちながら、現在形でやること。
田中さんは頭ごなしに命令するのではなく、セリフの一つひとつについて解説をした上で、提案をされます。特に研修生に対しては演技指導に言葉を尽くしていらっしゃいました。
田中:まだ(自分を)守ってる(=飛び込んでいない)。演じる時の心の幅をなんとなく決めてしまってる。
田中:言葉の音ばかり使い過ぎちゃってる。セリフの音を決めてしまってる。もう一度、(自分のセリフを)全部疑った方がいい。
私は『ロミオとジュリエット』関連の舞台を10種類以上は観ていますが、今回は恋する2人が「ナイチンゲール」「ひばり」と言い合う場面に驚かされました(色んな解釈がありますね~!)。天国と地獄を瞬時に行き来するジュリエットの独白に涙したりも。また、彼女が両親に追い詰められていく過程には胸が締め付けられました。国広和毅さんのオリジナル楽曲と歌、ダンス(近藤良平さんの振付)、殺陣(渥美博さんのアクション場面がかっこいい!)なども見どころですね。
もうすぐ新国立劇場バレエ団の『ロメオとジュリエット』(10/29-11/05@新国立劇場オペラパレス)が開幕しますし、11月後半には英国の舞台の映画館上映(ブラナー・シアター・ライヴ『ロミオとジュリエット』11/18-24@各地のTOHOシネマズ)もあります。観比べるのも一興かと思います♪
※そのまま上演すると休憩込みで約3時間と予想される戯曲ですが、今回は4分の1ほどカットし、休憩なしで約2時間になる予定だそうです(あくまでも予定です)。
■他の稽古場写真
■関連ツイート
研修所公演ロミオとジュリエット、ヘンリー4世二部作、そして新国立バレエ団ロメオとジュリエット、地下の稽古場は言葉に踊りに愛に策略にシェイクスピアでいっぱいです!(*^^*)ぜひ!ご来場くださいませ! pic.twitter.com/nB8yctwR7j
— 田村 彩絵 (@SayakaTamura) 2016年10月15日
10月22日発行の産経新聞に「ロメオとジュリエット」公演紹介記事が掲載されました。産経ニュースのWEBサイトでもご覧いただけます。(産経ニュース)https://t.co/17khSE24MT
— 新国立劇場バレエ団 (@nntt_ballet) 2016年10月24日
11/18(金)日本公開BTLive「ロミオとジュリエット」
"RICHARD MADDEN AND LILY JAMES HAVE UNMISTAKABLE CHEMISTRY ON-STAGE"
★★★★The Upcoming pic.twitter.com/iaFFuWUyye— BTLiveJapan (@japan_bt) 2016年8月20日
11/4?「冬物語」
11/18?「ロミオとジュリエット」
12/2?「エンターテイナー」
がTOHOシネマズ 日本橋ほかにて公開!”「ロミオとジュリエット」では初めて泣いてしまった作品!素晴らしい!” pic.twitter.com/jkqB2XF74W
— BTLiveJapan (@japan_bt) 2016年10月18日
※写真の人名は敬称略。
【出演】田村彩絵、塚瀬香名子、角田萌香、岩男海史、高倉直人、田村将一、永田涼、中西良介、原一登(4期修了生)、川口高志(5期修了生)、堀元宗一朗(8期修了生)、岡崎さつき(9期修了生)
【配役】
エスカラス(ヴェローナの大公):原一登
マキューシオ(大公の親戚、ロミオの友人)中西良介
パリス(若き伯爵、大公の親戚):堀元宗一朗
モンタギュー(ヴェローナの名家の長):中西良介
モンタギュー夫人(その妻):岡崎さつき
ロミオ(その一人息子):田村将一
ベンヴォーリオ(モンタギューの甥、ロミオの友人):永田涼
エイブラハム(モンタギューの郎党):堀元宗一朗
バルサザー(ロミオの従者):永田涼
キャピュレット(ヴェローナの名家の長):川口高志
キャピュレット夫人(その妻):田村彩絵
ジュリエット(その一人娘):塚瀬香名子
ティボルト(キャピュレット夫人の甥):岩男海史
乳母(ジュリエットの乳母):角田萌果
ピーター(乳母の召使):岩男海史
サムソン(キャピュレット家の郎党):髙倉直人
グレゴリー(キャピュレット家の郎党):田村将一
ロレンス(フランシスコ派の修道僧):髙倉直人
ジョン(同じ教団の修道僧):原一登
薬屋:岩男海史
ほか小姓、楽士、夜警、召使、序詞役など
【作】ウィリアム・シェイクスピア 【翻訳】河合祥一郎 【演出】田中麻衣子 【美術】香坂奈奈 【照明】林之弘 【音楽】国広和毅 【音響】黒野尚 【振付】近藤良平 【アクション】渥美博 【衣裳】西原梨恵 【ヘアメイク】片山昌子 【演出助手】早坂彩 【舞台監督】瀬崎将孝 【研修所長】宮田慶子 【チラシデザイン】荒巻まりの(8期修了生)
【発売日】2016/10/06 A席3,240円、B席2,700円、学生券1,000円、Z席1,620円
※就学前のお子様のご同伴、ご入場はご遠慮ください。
http://www.nntt.jac.go.jp/play/performance/160705_008849.html
※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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