Bellrings Seminarhouse『三月の5日間』03/15-24ベルリンセミナーハウス

 山縣太一さんが演出される岡田利規作『三月の5日間』を拝見。アウトレイジ版、リリックリエーションなどとも呼ばれています。上演時間は約1時間30分、途中休憩10分を含む。

 会場は民家とのことでしたが、想像していたよりもずっと劇場らしい空間でした。最前列桟敷席で腰は少々つらかったですが、至近距離で堪能できて、とても楽しかったです。小劇場演劇の愉楽ですね。

 ほぼ何もないと言える長方形の白い空間。三方から客席が囲みます。音楽、音響、照明にドラスティックな変化があって、個人的には『ホールドミーおよしお』よりもかなり好きな演出でした。

 私はこの戯曲が本当に好きなんだなぁと何度も確認。理性と野生、人間と動物をサラリと対比させる、ピュアな青春群像劇だったんだな~と今回は思いました。そしてストレートな反戦劇でもあるんですよね。先日の岡田さんによる新バージョン(若者版)もそうでしたが、いい意味で古典化したとも思います。

 パンフレットに出演者の名前が掲載されていますが、名前だけなので誰がどの役なのかわかりませんでした。役名を書いてネタバレになるのを防いでるのかもしれませんよね。できれば顔写真を載せて頂けると、一目瞭然なので助かります。

 メールで丁寧な道案内をいただきましたが、夜間は暗くて建物や標識が見えず、かなり迷ってしまいました。GoogleMapが使えないこともあり、地図を印刷して持参したんですが、その地図も文字が小さくて読めず…(老眼がはじまってるので…)。

 ここからネタバレします。

 横田僚平さん演じるミノベと大谷能生さん演じるアズマくんの冒頭。横田さんが汗だくだったのがめっちゃ可笑しかった。大谷さんのぬるっとした居方も面白い。

 ミッフィーちゃんを演じた飴屋法水さんはアングラ演劇が突然挿入されたような異物感。大谷さん、山縣さんと触れ合わなさすぎて突き抜けてる。照明が暗くなって徐々に暗転状態になる中、白い光が写真のストロボのように点滅し続ける。そこで暴れる飴屋さんは火星に向かう宇宙船で、ジタバタしてる孤独な動物(=人間)みたい。

 江口正登さんと矢野昌幸さんのデモ・コンビはメガネを取り合ってて(?)全然デモしてなかった(笑)。矢野さんは開かれた存在感で、とてもスムーズに観客と呼吸してくれているように感じて、気持ちも気分も良くなった。

 ミノベくん(山縣太一)とやりまくったユッキー役の稲継美保さんはこの座組みの紅一点。いつもながら挑発的でセクシー。

 舞台正面奥の壁を使う振付が多かったですね。長い間、逆立ちして壁に足を立て掛ける姿勢を維持したり。私にはちょっと多すぎたかも。前方にかがみがちな姿勢の人が多かったのも気になりました。いわゆる姿勢のいい人や、背後の方に反る体も観たかったです。

「インダハウス・プロジェクツ」no.1『三月の5日間』
出演・振付:大谷能生 横田僚平 山縣太一 飴屋法水 稲継美保 矢野昌幸 江口正登
作:岡田利規(『三月の5日間』[オリジナル版]白水社刊)
演出:山縣太一(オフィスマウンテン)
音響:牛川紀政
舞台美術:ツバメアーキテクツ
地図デザイン:neucitora
広報デザイン:三ッ間菖子
制作:谷陽歩 中村みなみ
企画・プロデュース:和久田賴男(Bellrings Seminarhouse)
主催:Bellrings Seminarhouse
提携:早稲田小劇場どらま館
協力:オフィスマウンテン STスポット
[当日精算]前売 4500円 当日 4800円
https://bellringsseminarhouse.tumblr.com/

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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