映画監督の吉田大八さんが『ぬるい毒』に続いて、お芝居を演出されます。今回はオリジナル戯曲ですね。吉田監督の映画『クヒオ大佐』のスピンオフになるのでしょうか。上演時間は約1時間45分休憩なし。
宮沢りえ、“伝説の詐欺師”の妻になる! 『クヒオ大佐の妻』【今月のイチオシ★STAGE】 https://t.co/5pKnWUMBcx
— MORE/モア (@MORE_magazine) 2017年5月2日
映画↓はラストの予想外の演出が良かったです。
宮沢りえさんが300席弱の小劇場に出演されるのは『THE BEE』以来かしら? 個人的にはハイバイの岩井秀人さん、川面千晶さんの出演も嬉しいです。
とても面白く拝見しましたが、たぶん、私は意味を受け取れていません…。作品の意図が知りたくて公演パンフレット(1500円)を購入。載ってるかどうかわかりませんが(笑)。
↓宮沢りえさん主演。とても面白いです。
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↓喜安浩平さんとの共同脚本。これも面白いです。
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↓本谷有希子さんのお芝居の映画化。これも見ました。
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Wikipediaから拝借したところ、クヒオ大佐とは「1970年代から90年代にかけて、「アメリカ空軍パイロットでカメハメハ大王やエリザベス女王の親類」と名乗り結婚話を交際女性に持ちかけ、約1億円を騙し取った実在の結婚詐欺師で自称を「ジョナサン・エリザベス・クヒオ大佐」と名乗った日本人」です。今回はその妻である早川夏子(宮沢りえ)のお話。
宅配業者を演じた岩井秀人さんが素晴らしいです。もう、登場した時から可笑しくって、それでいて、常にうっすらと暴力的で怖くって。
川面千晶さんは、“ちょっとオツムが弱そうな女子”を演じてらして、巧いな~~と思いました。ツッコミも良い。
宮沢りえさんは、役柄的にそうなのでしょうが、つかみどころのない存在の仕方でした。いつもながら言葉が粒だって聞こえて、長いセリフも良いです。
水澤紳吾さんは映画でよく拝見してたのに気づきませんでした(「ぼっちゃん」「怒り」など)。細い体を活かした配役でしたね(笑)。
赤い下着に真っ赤な唇… 宮沢りえ「クヒオ大佐の妻」に https://t.co/f9YbfJPgR3
— 朝日新聞(asahi shimbun) (@asahi) 2017年5月18日
ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。間違ってたらすみません。
時は2003年ごろ。舞台は自宅のミシンで洋装の仕事をしている夏子(宮沢りえ)の古びたアパート。床がいびつにとがっていて、壁も扉も斜め。下手奥の電信柱も傾いている。ある日、やってきた宅配業者がなんと偶然、高校時代の同級生の今井(岩井秀人)だった。彼はなぜだか夏子の家に上がり込んで根掘り葉掘り彼女のことを聞く。ストーカーのようで怖い。
夏子の部屋の押し入れに猿ぐつわをされた若い女性、佐知江(川面千晶)が閉じ込められていた。夏子が睡眠薬を入れたお茶を飲ませて眠らせ、縛ったのだ。飛び出してきた佐知江は夏子の夫に騙された、結婚詐欺に遭ったと言う。夏子の夫、クヒオ大佐は1980年代に何度も逮捕されている結婚詐欺師の日本人なのだ。夏子はそれを知っているはずなのに、「イラク戦争が始まり、夫はサウジアラビアにいます」と真顔で答える。夏子になついている同じアパートの少年シンイチ(水澤紳吾)の母もまた、クヒオ大佐と関係を持ち、シンイチが1歳の時に夫(水澤紳吾)を捨てていた。ちなみにクヒオ大佐はどう見ても60代らしい。
夏子にはクヒオ大佐から電話がかかってくるタイミングがわかる。「プルルル~」という音が鳴る前に電話の受話器を取ると、彼からなのだ。ほぼ一方的に話し続ける夏子は、喜びで興奮状態。しかし、どうやら一人芝居のようだ。
佐知江は同じ男に騙された者同士である夏子と、ある程度の和解をして地元、石川県に帰った。今井は夏子とクヒオ大佐のことを最初から知っており、自分の処女小説の題材にしようとしていたのだ。夏子に無理やりインタビューを始める今井だが、徐々に立場が逆転し、夏子に問い詰められるようになる。
今井は佐知江にアメリカ人が嫌いだと公言していた。「お前がエディー(クヒオ大佐の偽名)に惚れたのはアメリカ人だからだろう」「この(アメリカへの)呪いは1世紀や2世紀では解けない」など。そんな今井に対して夏子は、アメリカを擁護して日本と日本人を批判する論調に。夏子は今井の服を脱がして、自分も脱いでいく。
~このあたりから、私の頭は混乱…よくわかってません~
今井:なんであいつなんだ、俺じゃなくて
夏子:そうよ、その調子
今井:まるでお前がクヒオ大佐みたい
夏子:あの人を理解するにはあの人になるしかない
~KERAさんのツイートの通り、私も憂国を意味しているのかなと思いましたが…~
自分の服を見つけられず、今井はクヒオ大佐の軍服を着る。今井が移動させたミシンとともに床がせり上がり、夏子とクヒオ大佐(ここでは今井)が初めて出会ったテーラーが再現される。
客席後方から大きな布が迫ってきて客席上部を覆う。配色は白、赤、青で、アメリカの星条旗と日本の日の丸がまざったデザインだ。暗転後、幕は消えていて、冒頭と同じように、夏子がミシンで仕事をしている。終幕。
・感想
「日米地位協定」「日米合同委員会」、そして「集団的自衛権行使の容認」など、アメリカと日本の関係について描いているのかなと想像しました。
今井は「自分が小説にしたら映画化だってされるかもしれないし」と偉そうなことを言っていました。このお芝居が映画「クヒオ大佐」の原作だと匂わせていて、面白いです。
「クヒオ大佐の妻」を東京芸術劇場シアターウエストで観劇。奇妙なバランスのヘンテコリンな舞台を楽しんだ。良くも悪くも、演劇をよく知らないからこそ作れた芝居だと思う。宮沢りえ、岩井秀人はじめキャスト全4名善戦。それにしてもヘンな本。これは憂国論なのか?
— ケラリーノ・サンドロヴィッチ (@kerasand) 2017年5月23日
宮沢りえさんが第40回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞されました!おめでとうございます!!こちらの『妻』もますます楽しみですね。『クヒオ大佐の妻』について宮沢さんりえさん、吉田大八さんに語って頂いたインタビューも公開中です → https://t.co/GAD8GlelIR
— 舞台『クヒオ大佐の妻』 (@LadyKuhio) 2017年3月5日
そして同じくシアターガイド6月号で、2作目の舞台『クヒオ大佐の妻』を演出する吉田大八さんにインタビューしています。かつて世間を賑わせた実在の結婚詐欺師に想を得て、結婚詐欺師の妻という矛盾に満ちた人物を通して何を描こうとしているのか、3ページに渡ってたっぷり聞きました!
— 徳永京子 (@k_tokunaga) 2017年5月10日
出演 早川夏子(今の姓は平岡):宮沢りえ、今井(早川の高校の同級生、宅配業者):岩井秀人、佐知江(クヒオ大佐[彼女にとってはエディー]に騙された石川県の女性):川面千晶、シンイチ(5歳の少年)・河端(シンイチの父):水澤紳吾
脚本・演出:吉田大八 美術:伊藤雅子 照明:佐藤啓 音響:加藤温 衣裳:髙木阿友子 ヘアメイク:二宮ミハル 演出助手:草光純太 舞台監督:南部丈
宣伝美術:加藤秀幸(グラインドハウス) 宣伝写真:オノツトム(tass) 宣伝衣裳:小山田孝司(The VOICE)
宣伝ヘアメイク:佐々木貞江 公式サイト制作:アクトゼロ
宣伝:ディップス・プラネット/浅生博一 票券:脇本好美 制作助手:市瀬玉子 制作:寺本真美
主催:ヴィレッヂ/WOWOW 制作協力:サンライズプロモーション東京 企画・製作:ヴィレッヂ
【発売日】2017/03/25
<全席指定>
前売:7,600円
当日:8,000円
http://www.kuhiowife.com/
http://stage.corich.jp/stage/81565
※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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