ホリプロ『娼年』08/26-09/04東京芸術劇場プレイハウス

娼年
娼年

 三浦大輔さんが石田衣良さんの小説(「娼年」・「逝年」)を演出される新作です。脚本も三浦さんが手掛けられています。松坂桃李さんと高岡早紀さんの意味ありげなチラシで、なんとなく内容は想像できると思いますが、現代の「男娼」を描いた作品です。約3時間10分弱(途中15分の休憩を含む)。

 「R-15指定」ですが…。もうよくわからないですね、ここまで大っぴらな「セックス・ショー」だと…。何歳までNGで何歳からOKかなんて…。共に疑似体験してうっとり(しっぽり)するのか、面白がる(笑っちゃう)のか、「勉強になるな~」と感心して凝視するのか、人間の生態として冷静に観察するのか、「松坂桃李かっこいい♪」とミーハー気分を徹底するのか…。心構えをしておいた方がいいのではないかと、個人的には思います。

 私はもう、最初のアノ場面で、辛くて劇場を出ようかと思ったんですが、ストーリーも知りたいし変化も見届けたいし…という欲を燃料にエンジンを吹かせて、途中休憩も乗り越え、最後まで拝見。体がガチガチに固まってしまった…。フラフラになって帰宅しました。

 ある意味、一般9800円は安すぎるのかもしれません。「1万円以下は不合格」ですしね(笑)。

 ⇒「松坂桃李が娼夫を演じる舞台『娼年』。脚本・演出の三浦大輔の挑戦について、佐津川愛美、猪塚健太も交え話を訊く。

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 ⇒CoRich舞台芸術!『娼年

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
森中領(松坂桃李)は、ごく普通のフリーター。毎日を無気力に送っていた。
ある日、友人の進也(米村亮太朗)が40代半ば綺麗な女性を連れてきた。御堂静香(高岡早紀)である。「女性なんてつまらない」という領に静香は“情熱の試験“を受けさせる。それは静香が経営するボーイズクラブ“クラブパッション”に入るための試験であった。最初こそ戸惑うが、領は娼夫の仕事にやりがいをみつけていく。それは、女性ひとりひとりのなかに隠されている原始的な欲望を見つけ、それを心の陰から実際の世界にひきだし実現していくこと。領と出会い、彼との時間を過ごすことによって、彼を買った女性たちは自分を解放していけるのだ。
領と静香は次第に惹れあっていく。静香に褒められたくてずっとこの仕事を頑張ってきたという領。
その思いを受け止めることを決めた静香であったが…
 ≪ここまで≫

 ど真ん中にベッド。その周囲、三方を客席が囲みます。中央の大階段がいいですね。

 パンフレットをある程度読んでから拝見したので、それなりに覚悟はしてたんですけどね。共感、納得するところも多々ありました。原作を読んでみたいとも思いました。ああいうタイプの“濡れ場”さえなければ…(って、それじゃぁ意味ないですね・笑)。以下、勝手ながらパンフレットより一部抜粋します。

 石田衣良:映像でも舞台でもなかなか冒険しなくなっている時代に、こうした際どい題材を選ぶという勇気が嬉しいですね。
 石田:もともと性に大らかだった日本人の中に隠れているラテン性が、もう一度復活するといいと思います。

 三浦大輔:僕自身はこれまで性的な内容を題材にした作品をわりと多く創ってきました。ただそれはセックスに至る過程や、欲望に振り回される人々の姿を描いたのであって、セックスという「行為」そのものはあまり重要視してこなかった。今回、石田衣良さんの小説を読んで、舞台表現として性的描写を避けては通れない、避けてはいけないと思いました。エロではなく、肉体の触れ合いによるコミュニケーションとしての人間のぶつかり合いは、もしかしたら演劇の新しい可能性を拓くのではないか。ちょっと大仰ですが、そんな期待もしています。

 三浦:性描写もなるべく小説の描かれていることをそのままやりたかった。原作からなるべく変えず、演出でオリジナリティを出していけたら、と。生身の人間がセックスする姿(もちろん“振り”ですが)を、お客さんがナマで観て何を感じるのか、極限まで突き詰めたいと思っています。

 ここからネタバレします。

 原作を知らないのでどういう抽出をされたのかはわかりません。私はあからさまな女性上位というか、女性から男性(=娼夫の領)を導く(もしくは襲う?)ようなタイプの性行為も観たかったなと思います。

 たとえば映画「ベティ・ブルー」のオープニングの場面だと、1組の男女が本気で、ともに快楽を探り求め、静かにむさぼる様子が、対等に見えたんですよね。

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≪東京、大阪、福岡≫
出演:松坂桃李(領・大学生・下北沢のバーテンダー) 高岡早紀(静香・元娼婦・HIVポジティブ) 佐津川愛美(静香の娘・ろう者) 村岡希美(最初の大人の女) 安藤聖(暗闇に逃げるそばかすの女) 樋井明日香(領の大学の友達・領を買う) 良田麻美(出産以来、夫とセックスレス) 遠藤留奈(車いすの夫とプレイ) 須藤理彩(失禁を見てもらいたい女) 猪塚健太(ボーイズクラブのナンバーワン娼夫・痛みが快感) 米村亮太朗(領の友人・ホスト) 古澤裕介(車いすの初老の男性) 江波杏子(70歳の婦人) 鈴木葵椎(子役Wキャスト) 楢原嵩琉(子役Wキャスト) 尾藤亜衣(領の母役)
その他、アンサンブルの女性多数。
原作:石田衣良 集英社刊「娼年」・「逝年」 脚本・演出:三浦大輔
美術:島次郎 証明:大島祐夫 音響:熊野大輔 衣裳:春樹 ヘアメイク:佐野裕子 映像:冨田中理 演出助手:五戸真理枝 舞台監督:北条孝 中西輝彦 手話指導:井崎哲也(日本ろう者劇団) ステージング:青木美保 カラミ指導:山内大輔 企画・製作:ホリプロ
6月11日(土)一般発売 R-15公演 9800円 学生席、高校生以上:6500円(当日引換)
http://hpot.jp/stage/shonenn
http://www.shonen.jp/
http://www.geigeki.jp/performance/20160826p/

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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