三度目の選考委員をつとめさせていただきました、高校生劇評グランプリの表彰式が行われました(⇒第1回、第2回)。受賞作はすべて公式サイトで公開されています。 ⇒高校生劇評グランプリ公式ツイッター
高校生劇評グランプリの入賞者が次世代発信舞台芸術サイト「NeSTA(ネスタ)」を立ち上げ、活動しています。高校を卒業した人だけでなく、現役高校生も参加可能です。
公式サイト⇒ https://www.nesta5.jp/
公式ツイッター⇒ https://twitter.com/nesta_geki
扇田昭彦さんのご遺族より、入賞者の皆さんに扇田さんの本「こんな舞台を観てきた: 扇田昭彦の日本現代演劇五十年」がプレゼントされました。この催事が今後も続くことを強く願っています。
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【講評】観客は十把一絡げにできない(高野しのぶ)
開催時期が変更されたせいもあってか、第3回目は応募数が減少して残念でしたが、継続して作品を発表する方もいらして喜ばしく思いました。
私の場合、事実誤認や個人の想像に依拠した断言、そして、たとえば「誰もが絶賛した」などという観客を没個性化する表現があると、劇評の言葉を信じられなくなります。これは文章力の良し悪しではなく、書き手自身の生き方にかかわることだと思います。なぜか今回はそのような例が少なくない劇評で見受けられました。
事実なのかどうかが曖昧な事柄は、まずその真偽を調べましょう。考察に不確定要素があるなら断言は控えましょう。人間は十人十色で、1000席の客席では1000通りの感想が生まれます。自分が舞台から受け取ったものは自分だけの宝物であることを、劇評執筆の基本姿勢にしてもらえたらと願います。
グランプリ受賞作にもわずかながら上述の傾向があり、他の選考委員ほど積極的には推せませんでしたが、舞台の主な構成要素について満遍なく記述されており、観劇経験を基にした意見にも説得力がありました。現代の高校生ならではの感性および視点も高評価につながりました。
優秀賞の「日常と芝居の毒」は、ある舞台を観て自分に変化が起きたことを素直な言葉で告白するもので、大変胸を打たれました。いつの時代も人間は「変化」を求めており、それを「奇跡」と呼んだりします。筆者に起こった「奇跡」を信じられました。「あらすじ」がなかったことだけがマイナス点でしたので、過去の受賞作や当サイトで公開されている劇評レクチャーの記録を参考に、これからも書き続けて頂きたいです。
批判であれ賞賛であれ、その舞台に興味が沸き、実際に観たくなるような劇評を読みたいと、常々思っています。歴史に敬意を払い、自分の感性を信じて正直な言葉を綴り、あなたの作品を研ぎ澄ましてください。
選考委員を務めております。評価が分かれたことがわかる講評になりました。受賞作も読めますので是非。高校生がどの舞台を観て劇評を書いたのか、それだけでも覗いてみて下さい! https://t.co/4dgkYzkbQD
— 高野しのぶ (@shinorev) 2016年11月30日
高校生劇評グランプリの講評、大事な論点が含まれているので、劇評講座のメンバーにはぜひ読んでほしいです。https://t.co/bLaM5El9ja
— 藤原ちから (@pulfujiko) 2016年12月2日
鈴木寛さんの祝辞によると、2020年から日本の教育(小学校から大学)はガラリと変わるそうです。劇評を書くことは有利になるのでは…(と匂わせちゃう)。
森山直人さんが、2027年は築地小劇場創立から100周年、2028年は本格的なミュージカルが米国で誕生してから100周年、と教えてくださいました。
【最優秀賞】
久留原有希「フレンチミュージカルの可能性」(東宝/帝国劇場『1789-バスティーユの恋人たち-』)
【ライブパフォーマンス・レビュー部門】 (※50音順)
内田万遊「母と子の赤い糸」(ロロ『あなたがいなかった頃の物語と、いなくなってからの物語』)
円城寺すみれ「私たちに訴えかけるもの-いま、ここにある武器」(シアター風姿花伝『いま、ここにある武器』)
大竹緑「自分の人生の本当の意味」(こまつ座『紙屋町さくらホテル』)
小川竜駆「哀しいおかしみ」文学座『何か いけないことを しましたでしょうか? と、いう私たちのハナシ。』)
髙橋理紗「時を超えた黙阿弥からのメッセージ」(松竹『團菊祭五月大歌舞伎「三人吉三巴白浪 大川端庚申塚の場」』)
中村彩美「戦争と平和-技術と武器」(シアター風姿花伝『いま、ここにある武器』)
畠山宙林「日常と芝居の毒」(こまつ座『紙屋町さくらホテル』)
峯岸優太「「忠義」に埋もれた「女」の叫び」(松竹『團菊祭五月大歌舞伎「寺子屋」』)
【映像作品・レビュー部門】
牛尾 玲「命の火」(THE HOT TICKETS/Nederland Theatre『RENT:FILMED LIVE ON BROADWAY』)
鶴巻碧衣「映画館でバレエを上映するということ」(K-BALLET COMPANY『ドン・キホーテ』)
Bunkamuraオーチャードホール
【団体賞】
大阪市立咲くやこの花高等学校
■関連ツイート
【第3回高校生劇評グランプリ受賞式】3月27日に東京芸術劇場シンフォニースペースにて開催いたしました。今回の受賞者および関係者の皆様、そして第1,2回の入賞者達からも参加があり、これまでの歩みも感じられる晴れやかな会となりました。ご出席いただいた皆様に御礼を申し上げます。 pic.twitter.com/ja5Hn1scuc
— 高校生劇評グランプリ (@hs_trgp) 2017年4月5日
第三回高校生劇評グランプリ、表彰式に出席。ゲストで来場された元文部科学副大臣鈴木寛氏の話が面白かった。さすが大学時代、駒場小劇場で芝居をされていただけある。もっと大きな視野で演劇と社会の関係を考える示唆、いただく。高校生が劇評する意味も明らかにして下さった。深謝。
— 林 英樹 (@forest829) 2017年3月27日
高校生劇評グランプリ表彰式が終わった後の懇親会。審査員の方の堅苦しくないコメント、受賞した高校生やかつて受賞した先輩も挨拶。大阪や神戸からも受賞者駆け付ける。とても心暖まる会だった。運営、さぞ事務仕事大変だったろう。ご苦労様でした。 pic.twitter.com/Go4yhG45KZ
— 林 英樹 (@forest829) 2017年3月27日
今日の高校生劇評グランプリ表彰式で挨拶された全国高等学校演劇協議会事務局長の阿部先生の話も興味深かった。高校演劇、何故、昔はそんなに関心無かったのに最近は面白いと感じ始めたのか、何か理由、腑に落ちた感。人の話、聞くと学べるわ。
— 林 英樹 (@forest829) 2017年3月27日
こちらで高校生による劇評、読めます。面白い!→https://t.co/X4dWQDkOh6
— 林 英樹 (@forest829) 2017年3月27日
本日東京芸術劇場にて第三回高校生劇評グランプリ授賞式に出席してきました。今回僕は審査員として関わらせて頂きました。審査員の森山直人さん、最優秀賞の久留原さん、僕は京都の縁。
非常に楽しく読ませて頂きました。心揺さぶられる劇評に出会うことができ幸せです。皆さんおめでとうございます! pic.twitter.com/7X0f57ZnoX— 藤井颯太郎(FUJII Sotaro) (@tatukaze753) 2017年3月27日
【選考委員】(50音順)
阿部 順 (全国高等学校演劇協議会事務局長)
高野しのぶ(現代演劇ウォッチャー、しのぶの演劇レビュー主宰)
田中綾乃(三重大学准教授、演劇評論家)
森山直人(京都造形大学教授、演劇評論家)
山内佳寿子(『ミュージカル』誌副編集長)
【主催】公益社団法人 国際演劇協会日本センター
【実施運営】高校生劇評グランプリ(GP)実行委員会
-公益社団法人 国際演劇協会日本センター
-公益社団法人 日本劇団協議会
-東京都高等学校演劇研究会
-NPO法人日本学校演劇教育会
-ワンダーランド(小劇場レビューサイト)
【後援】関東高等学校演劇協議会
https://www.hs-theatrereview-gp.jp/result03/index.html
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