ワンツーワークス『怒りの旅団 アングリー・ブリゲード』03/16-26赤坂RED/THEATER

 ジェームズ・グラハムさんの2014年英国初演戯曲を古城十忍さんが演出されます。1970年代初頭のロンドンで実際に起きたテロ事件が題材の社会派ドラマで、若いテロリスト集団とそれを追う刑事チームを同じ俳優(林田航平、渋谷謙人、岡田あがさ、クリスタル真希)が演じます。

 上演時間は約2時間40分、休憩なし。てっきり休憩があるものと思っていましたが、ぶっ続けですので開演前にお手洗いはお済ませください! 

 ≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより
「エリート大学出身の若きテロ集団」VS「選ばれし警察の若き特別捜査班」

時は、1970年代初頭。ロンドン警視庁に挑戦状のような謎の犯行声明が次々に送られ、爆破事件が立て続けに起こった。その実話をもとに、イギリスで2014年に舞台化。

爆弾で社会を変えようとする4人の若きテロ集団と、その集団の特定・逮捕に悪戦苦闘する4人の若き刑事。追う者と追われる者。双方の行動原理を丹念に、スリリングに描く。

同じ俳優がテロリストと刑事、両者を一人二役で演じる話題作。演劇ならではの趣向も満載。いよいよ、本邦初演。
 ≪あらすじ・作品紹介≫

 前半は署内、後半はテロ組織のアジトが舞台です。どちらかというと後半の方が戯曲的にも演出的にも面白かったです。若い俳優4人の降れ幅広い演技も私好みでした。テロリストたちの方が抑圧されていないからかしら。

 前半と後半で違う役を演じる際に、どんな役なのかを説明するのではなく、登場人物として存在、反応するのがとてもいいと思います。小劇場で舞台美術の大きな変化を見せてくれて贅沢でした。

 ここからネタバレします。

 【分署 The Branch】

 スミス(林田航平)をリーダーに、テロ集団を捕まえるための特別なチームが編成される。壁にロンドンの地図を貼って、爆破事件が発生した場所をマークして、線でつなげていく。ストップモーションでピタリと静止する群舞で場面転換する。

 分署の刑事たちはテロ集団を真似ることで彼らに近づいていこう(次の行動を予測しよう、隠れ場所を見つけよう)とした。彼らが聴く音楽を流し、マリファナも吸う。ハイになって男女問わずキスしたり交わったりする場面は刺激的でとても面白かった。

 【旅団 The Brigade】

 スミスに電話をしていたアンナ(岡田あがさ)はジム(渋谷謙人)を愛しており、おそらく相思相愛。しかしテロ組織(若者4人組)はあくまで個人として活動することがルール。彼らは社会、組織、家族などのあらゆる「しがらみ」「つながり」を破壊することを旨としている。

 分署で地図を貼っていた大きな壁が前に倒れて、まさに「壁を破壊」する。下手奥のトイレの便器が露出して、隔てるもの、守るものがなくなる。左右の壁も部分的になくなっていく。他者だけでなく自分自身も追い詰めるテロの本質のように思う。

●アフターイベント
3月18日(土)19:00→公開ダメ出し「ガチでやります!!」
 出演者の誰か×古城十忍
3月19日(日)14:00→バックステージ・ツアー「美術の発想」
 案内人:礒田ヒロシ(舞台美術家)+奥村洋治
3月21日(火)19:00→出演者トーク①「私の役のつくり方」
 渋谷謙人×クリスタル真希×関谷美香子
 聞き手:大堀久美子(編集者・ライター)
3月23日(木)19:00→出演者トーク②「演じ分ける秘訣」
 林田航平×岡田あがさ×奥村洋治
 聞き手:田窪桜子(演劇ジャーナリスト)
3月24日(金)19:00→19:00→劇団トーク「ワンツー四方山話」
 奥村洋治×関谷美香子×古城十忍
3月25日(土)19:00→19:00→スペシャル対談「イギリス演劇と翻訳」
 小田島恒志(早稲田大学教授・翻訳家)×古城十忍

The Angry Brigade” by James Graham
出演:林田航平、渋谷謙人、岡田あがさ、クリスタル真希、関谷美香子、奥村洋治
作=ジェームズ・グラハム 訳=竹内良太郎+古城十忍
美術=礒田ヒロシ  照明=磯野眞也  照明操作=榊美香  音響=黒澤靖博  舞台監督=尾崎裕
演出助手=白坂恵都子  衣裳=友好まり子  小道具=有坂美紀   大道具=イトウ舞台工房
舞監助手=浜辺心大朗/小山広寿  演出部=山下夕佳/増田和/原田佳世子/安田惣一   
イラスト=古川タク  デザイン=西英一  スチール=富岡甲之   舞台写真=中川忠満   票券=川井麻貴
協力=スペースクラフト・エンタテインメント/ケイファクトリー/アプル/タクンボックス/アイズ/バックステージ/アトリエトモヨシ/キャラメルボックス/Gプロダクション/久保田恵/一二の会
制作=藤川けい子 製作=(株)オフィス ワン・ツー
【発売日】2017/01/23
全席指定 
前売:4,500円/当日:4,800円
学生:3,000円
*料金はすべて消費税込み価格です。 
*「学生」チケットは当日、証明証提示が必要です。
*受付開始および当日券販売開始は開演の1時間前、開場は30分前です。
*10歳未満の児童はご入場いただけません。
http://www.onetwo-works.jp/nextstage_ikari.html

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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