TOKYOハンバーグ『愛、あるいは哀、それは相。』03/30-04/10「劇」小劇場

愛、あるいは哀、それは相。
愛、あるいは哀、それは相。

 大西弘記さんが作・演出されるTOKYOハンバーグの作品を拝見するのは初めてです。「CoRich舞台芸術まつり!2016春」で「あと一歩!」だった作品に選ばれました。⇒応募内容

 『愛、あるいは哀、それは相。』は2011年初演。1度再演されて、今回は2度目の再演になります。登場人物の設定や年齢が部分的に変わっているとのこと。上演時間は約2時間。

 ⇒CoRich舞台芸術!『愛、あるいは哀、それは相。

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
生まれて初めての転校生になった次女は、もうすぐ17歳。
こっちに来た頃は毎日泣いていたけれど、最近はあまり泣かなくなった。

この街でも保母さんになった長女は、死んだ主人にそっくりで、
子供たちの話をする時は、まるで主人と同じような笑顔を見せてくれる。

母親の私はというと、親戚が経営する喫茶店で働かせてもらい、
朝早くからコーヒーの豆を挽いては、ここに辿り着いた理由を探す。

この街で暮らす人たちの優しさや思いやりが時々、本当に時々、胸を痛くして
どうしたらいいのか、どう生きてゆけばいいのか、わからなくなる時がある。
何が本当で、何が嘘だなんて、誰が教えてくれるの?
私たちが知っていること、それはあの日を生き残ったということ。

ふるさとを離れて、もうすぐ5カ月。
この街では初雪が舞い散り、それを眺めては帰りたくなる。
私たちが生まれ育った街、南相馬へ。

2016年 桜の頃 TOKYOハンバーグがふたたび織り成す
3月11日から1年の歳月が流れた喫茶ホットラインの珈琲物語。
 ≪ここまで≫

 TOKYOハンバーグは主宰の大西さんと、俳優の光藤依里さんの2人だけの劇団だそうです。毎回色んな俳優さんを集めるプロデュース形式の公演をされているんですね。俳優のアンサンブルをスムーズかつ豊かにするのは、なかなか難しいのだろうなと思いました。セリフが状況説明に聞こえることが少なくなく、ところどころ演技が拙いせいもあってか、人間関係がわかりづらかったです。転換で時間が分断されてしまうのも、工夫が欲しいところ。

 ここからネタバレします。セリフは不正確です。

 福島から避難してきた母子ではなく、伊勢の人たちが「被災地の町の復興が進んでも、心はどうなるの?」「伊勢の伝統行事を(チェルノブイリのように)今後20年以上禁止されたら(俺たちはどうする)?」と自問することによって、福島で起こっていることを自分(観客の私も含む)のこととして考えられます。そう促す説得力があると思いました。

 大晦日に伊勢の伝統の歌と踊り(木遣り?)を披露する場面は、演劇的効果を狙ったものだと思います。太い声で元気いっぱいに群舞するのは、人間の力を見せるものとして魅力がありました。福島の母子におそろいのハッピを着せてあげるのもいいですね。

TOKYOハンバーグ Produce Vol.19 10th Anniversary
出演(一部Wキャストのため、私が観た回のキャストを記載):西山水木(プリエール)、光藤依里(TOKYOハンバーグ)、岩田陽葵(ミライプロダクション)、宇鉄菊三(tsumazukinoishi)、内谷正文(Frank Age Company)、小林英樹、鷹野梨恵子(無名塾)、石本径代(ECHOES)、大石知恵、青山結実花(ミライ・アクターズ・プロモーション)、脇野祐樹、中込俊太郎(ULPS)、高畑加寿子(劇団娯楽天国)、藤原啓児(Studio Life)
作・演出:大西弘記
音源/清見雄高
舞台監督・舞台美術/大河原敦
照明/吉嗣敬介
音響/香田泉(零’sRecord)
方言指導/阿部佳代子
宣伝美術/齋藤正和・りえぞう
宣伝PV/齋藤正和 
宣伝写真・舞台写真/ありせさくら
WEB宣伝/西谷竜太
制作/J-Stage Navi(島田敦子・早川あゆ)
カンパニースタッフ/石原友武・相原奈保子
企画・製作/TOKYOハンバーグ
【発売日】2016/01/21 全席指定 未就学児童入場不可
前売/4,000円 当日/4,200円
ハンバーグ割引 前売/3,500円 当日/3,800円
学生割/2,500円(高校生以下)※要証明書
http://tokyohamburg.com/past/past201603/

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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