土田英生さんが作・演出・出演される京都の劇団MONOの新作。毎年新作ツアーで東京に来てくださっています。私は久しぶりに伺えました。
本当に、弥生時代が、舞台でした。上演時間は約1時間55分。劇場に入るなり美術を見て気分がアガる!竪穴式住居が!高床式倉庫が目の前に!!そして、幕が開くなりゲラゲラ笑い、終盤はめちゃくちゃ泣かされました…。
⇒舞台写真
⇒梁塵日記「劇団MONO「裸に勾玉」」
※レビューは2020/02/28に公開しました。
≪あらすじ≫
兄たちは疑問に思っていた。なぜ三男はモテるのに自分たちには妻がいないのか…(まあ周囲から見れば理由は明白なんだけど)。
ある時、働き者の妹が不審者を発見。のどかな暮らしに暗雲到来? 奴は邪馬台国のスパイかもしれない!
≪ここまで≫
MONO『裸に勾玉』①約1時間55分。劇場に入るなり美術を見て気分がアガる!本当に弥生時代の話だった(笑)。冒頭からゲラゲラ笑って、終盤はめっちゃ泣いてしまった…。土田英生さんの戯曲は「排斥」を描くものが多いと思う。たとえば自己保身のために他者を簡単に犠牲にする。(続く)
— 高野しのぶ🌹(しのぶの演劇レビュー) (@shinorev) March 10, 2016
MONO『裸に勾玉』②その他者とは弱者、少数者であり、つまり私のことなのだと優しく伝えてくれる。人間の幸せについては、アドラー心理学の本「嫌われる勇気」とも重なった。シアタートラムで3/13まで。名古屋、大阪公演あり。舞台写真:https://t.co/MR9hNWhFCo
— 高野しのぶ🌹(しのぶの演劇レビュー) (@shinorev) March 10, 2016
@shinorev 高野さんの感想より「裸に勾玉」観劇しました。誰だって皆に優しくしたいのに感情や状況が邪魔することってあるなとか、それを覆す言葉の持つ力とか、大切にしたい人達のことを考え、また前を向いて生きていこうと思える作品で大感激でした。ありがとうございます!WE制作
— ワタナベ演劇公式 (@watanabe_engeki) March 25, 2016
謝罪のあるべき形とその意外な効用を、謝罪する側、される側の変化で見せてくれた。人間は金や名誉を得て幸福になれるとは限らない。だったら人生の目的って何?という問いへの1つの答えもあったように思う。
≪あらすじ≫ http://www.c-mono.com/magatama/story.html
ここは狗奴(くな)の国
邪馬台国との戦さに備え
なんだか周囲は殺伐としている
そんな中、ある集落のはずれに
間抜けな三兄弟を中心にした家族が住んでいた
彼らはとても愉快に暮らしている
ある日、不思議な男が紛れ込む
追っ手から逃げてきたらしい
「うわ、早く追い出さないと 」
「あいつは仲間じゃないんだから」
「……だけどあの人、泣いてたよ」
弥生時代を舞台にした“現在”のお話
私たちは……誰に優しくしたらいいんだろう?
≪ここまで≫
ここからネタバレします。
サクライ(尾方宣久)は同僚キモト(土田英生)、妻サヤ(もたい陽子)の合計3人でタイムスリップして、現代から弥生時代にやって来ましたが、半年前に2人とはぐれ、1人ぼっちでサバイバルをしてきました。再会した時にはキモトは出世していて、サヤはなんと村の長の妻になっていたのです。
現代での夫婦の日常生活についてサヤが立て続けに言う文句が正論過ぎて、ぐうの音も出ないサクライ。これは女性の私としてはスッキリしましたね(笑)。もたい陽子さんの演技も良かったです。論点をくるりと反転させたり、スルリと反論をかわしたりして、議論が空転するのが滑稽でスリルもあります。議論そのものや2人の関係性が、まるで生き物のように変化するのです。会話劇の醍醐味ですね。
金替康博(長男)、水沼健(次男)、奥村泰彦(三男)はダメ男三人衆と言っていいぐらいのダメンズとして描かれます。でも最後は女たちを守るために、敵の盾となる(そして散る)ことを選びます。初めてMONOを観た『錦鯉』と同様に、土田さんの“男の美学”を感じ取りました。これが「かっこいい」ってことなんだよ、と。個人的な考えですが、たぶん女なら選ばない手段だとも思うんですよね…。だからより「男の子らしさ」を感じます。
※性別(ジェンダー)についての個人的偏見に基いた文章です。当時の自分の感想としてこのまま掲載します(2021/02/28)。
≪東京、愛知、大阪≫
出演:水沼健(次男)、奥村泰彦(三男)、尾方宣久(タイムスリップしてきたサラリーマン・サクライ)、金替康博(長男)、土田英生(タイムスリップしてきたサラリーマンの同僚キモト)、山本麻貴(三男の妻・占い師)、もたい陽子(タイムスリップしてきたサラリーマンの妻サヤ)、高橋明日香(三男の妻・ダンサー)、松原由希子(三人兄弟の妹)
脚本・演出:土田英生
舞台美術:柴田隆弘
照明:吉本有輝子
音響:堂岡俊弘
衣裳:正金彩
演出助手:磯村令子
舞台監督:青野守浩
イラスト:川崎タカオ
宣伝美術・宣伝写真:西山榮一 大塚美枝[PROPELLER.]
制作:本郷麻衣 小山佳織 谷口静栄 垣脇純子
撮影協力:尼崎市教育委員会 田能資料館
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(トップレベルの舞台芸術創造事業)
企画・製作・主催:キューカンバー 京都芸術センター制作支援事業
[一般] 前売4,000円 当日4,500円
[早期観劇割引] 前売3,500円 当日4,000円
U-25 2,000円(前売りのみ 対象=25歳以下)
※未就学児童の入場はご遠慮ください。
http://www.c-mono.com/magatama/
https://spice.eplus.jp/articles/39961
※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
~・~・~・~・~・~・~・~
★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。
便利な無料メルマガ↓も発行しております♪