【コロナ禍17】ミュージシャンのYOSHIKIさんとノーベル生物学・医学賞授賞者の山中伸弥教授の対談(3月13日)

 今から1週間前の3月13日、ミュージシャンのYOSHIKIさんとノーベル生物学・医学賞授賞者の山中伸弥教授が対談をされました。映像が無料公開されています。
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 動画全体は約1時間44分ですが、約17分後から山中さんが登場し、1時間3分あたりで退場されますので、2人の対談自体は約46分です。

 以下は気になったところをメモした、ざっくりとした記録です。間違いがあると思いますので、よかったら動画をご覧ください。ただし、3月13日時点のお話であることをお忘れなく。

YOSHIKI:ロスでもマスク不足。アメリカは半パニック状態。

山中(部分的にYOSHIKIかも):正しく対応しないと生命と経済に、非常に(大きな)損害が生じる。正しく対応すればかなり抑え込める。人類の対応が今、非常に大切な局面。ビル・ゲイツ氏が100年に1度の災害の可能性あり(スペイン風邪以来)と。でも医学も公衆衛生も進歩している。国際間の連携、インターネットも進化。みんなが正しく行動して世界が協力すれば、数十分の1に抑えられる。油断は禁物。パニックは不要。正しい、冷静な行動を。

山中:楽観視しすぎると大変な被害になる。いったん被害が出ると元に戻れない。怖がり過ぎる方がいい。社会全体の脅威だから、みんなで我慢して最初の一撃を切り抜ける。ビル・ゲイツ氏と同じ。最悪なことを考えた上で行動。

YOSHIKI:防げるものなのですか? 私は努力すれば感染の速度を遅らせられる、対策を練ることができると解釈した。
山中:同意見。ただし十分に注意が必要、用心すべき。でも人類は100年前より進歩している。世界で正しい判断と行動を。被害を少なくできる。負けることはない。
YOSHIKI:私たちがウイルスに試されている状況。人類とウイルスの戦いですね?
山中:そうです。

YOSHIKI:のちのち、長いタームで共存していくことも含めて(考えるべき)。
山中:そうです。これまで存在していなかったウイルスだから。新型だから、人類が出会ったことがない。入ってきたら防ぐ方法がない。でも1~2年経てばワクチンもできて治療法もできる。対応ができるまでの1年が大事。ここで爆発的な感染を防ぐことができるかどうか。それが最大の問題。
YOSHIKI:日本であろうがアメリカであろうが、一人ひとりの行動が影響すると。
山中:病気は誰にとっても脅威。

山中:今回は二面性のあるウイルス。感染しても8割は、若くて元気な人は、風邪ぐらいの症状。何も症状も出ない人もいる。個人への脅威は大きくない。気づかないから、どんどん普通に生活して、周りの人にうつす。そのなかに、家庭に、おじいさん、おばあさんがいるとしたら。子供から高齢者にうつる。突然、(ウイルスが)二重人格のように牙をむいて重篤な肺炎などの病気を起こす。だから自分が大丈夫でも周りの高齢者には脅威。

山中:病院が患者であふれて、人工呼吸器がなくて、治療してもらえない。コロナの肺炎で病院がいっぱいになると、他の病気の患者が病院に行けない。社会への脅威になりえる。二面性があることを理解して。

YOSHIKI:フランスは5000人規模の集会を中止。それを1000人に。イタリアは国そのものが閉鎖。(自分のことで言えば)スペインでは(仕事が)キャンセル。テキサスもロックフェスも秋に延期。僕の考えは(自分に)多少余裕があるからかもしれないが、一日も早く解決策を見つけることが、経済的にもいいのではないか。目先の利益のために将来的な大きなものを失うべきでないという思いがある。賛否両論(になって当然)。ライブハウスの経営が倒れてしまう。心配でしょうがない。

山中:難しい。緊急事態でウイルスは待ってくれない。今、大切なのは早く対策をすること。待たないこと。「エビデンスはあるのか?」という議論はあるが、エビデンスを待ってたら、対策できない。初めてのウイルスだから証拠はない。やりすぎじゃないかと、大げさじゃないかというぐらいの対策をして、「これはやりすぎだった」となるのを(メモできず)。

山中:リアクティブでなくプロアクティブ。先手でやること。いったん感染が広まると本当に大変なことになる。そのうえで、ライブ活動で生計を立てている方や、ジムのインストラクターの方、明日の生活に困っている方々に対して、国を中心に補償と支援を。待ったなしです。一日も早く対策を。考えてからやると遅い。緊急的にやっていただきたい。

YOSHIKI:尊敬するアーティストに対し、今はコンサートは危険ですとツイートしたら、賛否巻き起こった。私は自分なりに収集した知識を基に発信していた。さらに発信していきたい。

山中:データが重要。韓国はドライブスルー検査している。アメリカは保険の問題があって検査に何十万円もかかる。日本も(感染者は)もっと大勢いるのではないか。私は専門家ではない。推測になるが、日本の検査数が少ないのは間違いない。韓国とイタリアの10分の1も行われていない。

山中:インフルエンザとは全然違う。インフルエンザはもっと長く前から人類の脅威でしたから、色んな抗体もいっぱいある。入手できる。非常に簡単に、お医者さんが患者さんの目の前で検査をして、結果が出る。簡易検査がある。でもコロナはそれがない。抗体も入手できないので。PCR検査はウイルスの遺伝子を~(メモできず)~する方法。これはいくらがんばっても、全員に行うことは不可能。全員は絶対に無理。1割にできるかどうかもわからない。議論は必要。病院がいっぱいになってしまうから。1~2割が入院したくてもできなくなる。

YOSHIKI:一番うつりやすい場所はどこなのか。またはここは安全なのか。今考えるなかでのガイドラインが欲しい。
山中:3つの条件が揃うとリスクが高い
・人がたくさん集まる
・換気が悪い
・声を出したり、激しい息遣いをする場所
2つが揃うとリスクはそれなりに上がる。

山中:個別の議論をし出すと、線引きは難しい。エビデンスがない。大阪のライブハウスは100人規模で何十人も感染者が出た。だから最初は厳しい目にやって、急激な感染者の数をおさえる。パニックを抑えるのが大事。

山中:安倍首相なりは、非常につらい決断をしないといけない時。エビデンスがない。専門家によって言うことは違う。そのなかで何もしないのが一番だめ。行動をしないのが一番だめ。それぞれに決断しなければならない。

山中:批判は必要。批判に基づいて解決する必要はある。批判は大切だが、敬意を持った批判にして欲しい。リスペクトをもった批判をすべき。いまの事態ではマイナス面が大きすぎる。

山中:首相も自分も組織のトップとして、意地にならないで、今までのことが間違いだと気づいたら、手を返して、柔軟性が本当に求められている。人類が試されてる。スペイン風邪は第一次世界大戦で大変だった。今は賢くなっているはず。おたがいに健全な批判をして、勇気を持った決断をするリーダーには敬意を払う。

YOSHIKI:時間との闘いでもある?初動で今、できることは?

山中:1か月後にやるより、早くやるべき。1か月違うと致命的な違いになる。2月11日の時点で、自分は予想してなかった。僕は17日にマラソンに出た(知らなかったから)。日本がここまでになるとは予想していなかった。1か月なんてとでもない。明日、何ができるか。

山中:子供が我慢している。自分も観たかった演劇がキャンセルになってショックだが、ここで我慢すれば乗り切れる。みんながわがままを言い出して、自主規制をしなくなって、適当なことをやりだすと、大変なことになる。

山中:国も、リスクが少ないというエビデンスが出たら、変えればいい。責任ある人が国民に向かって発信してもらいたい。

YOSHIKI:クラスターについて。インフルエンザとは違う感染経路なのか?
山中:インフルエンザでクラスターは聴いたことがなかった。インフルエンザは5人が集まって1人患者がいれば、5人全員にうつる。家に帰ると、それぞれの家庭でもう1人ぐらいにうつす。じわじわと広まる。コロナは違うらしい。今のエビデンスにもとづいた専門家の意見だと、それぞれ家に帰ると4人はうつさない。でも残りの1人だけが他の人に移す。たまたま他の人に移す人が、症状が出ないと、仕事に行く。ライブハウスにも行く。何十人にもうつすことになる。インフルは均一にじわっと。でもコロナは局所的にドカンと感染。ばん!と花火のように。大量にうつる。

山中:インフルはじわじわ拡がるから抑えにくい。コロナはバーンとうつるので、それを見つけて、そこにいた人を追跡して、ほかのクラスターをつぶしていけば、インフルよりも抑えやすいのでは。対策の方法、戦略がたてられる。

YOSHIKI:年齢について。健康だとしてもコロナをうつすから、うつらない方が大事。では、どのくらいの年齢が危険か?

山中:中国だと感染者が多いのは30~50代。20代以下は極端に少ない。高齢者だと感染者は減るが、致死率がぐっと上がる。50代は低い。60代は(メモ取れず)、80代になると十数%。インフルも同じ。

山中:インフルと違うもう一つの点。インフルは毎年1万人死ぬ。いわゆる「関連死」。インフルによって持病が悪化したり、細菌性の肺炎になったり。きっかけはインフルでも違う病気で死ぬ。でもコロナウイルスは、そのものが肺を攻撃する。一週間もしない間に呼吸ができなくなって重篤になって死亡。高齢者には脅威。

YOSHIKI:夏になれば収束という噂がある。
山中:期待はしたいが。インフルはほとんどが季節性。コロナもそうなってほしい。ありがたい。でもWHOも期待できないと言っていた。常夏のシンガポールで100人以上患者いる。国内感染が続いている。期待をしない。ないこととして対応続けるのが賢明。

YOSHIKI:ウイルス対人類の闘い。早期なら勝てる?
山中:勝つのは難しい。ウイルスに勝つというのは、天然痘のように撲滅を意味することが多い。症状が強いと撲滅を目指すが、コロナは二重人格だから、ごく一部の人に牙をむく。ある意味、このウイルスと共存していくかどうか。突然感染者があらわれて、医療崩壊になることを防ぎ、だらだらと患者が増えていて、気づいたら多くの人間が抗体を持っていることに。もちろん重傷者は出てしまうが、医療体制がしっかりしていれば治療できる。日本はしっかりしてる。今のベストシナリオ。それができる力はある。国際協力が必要。今は我慢。韓国などとの情報交換が重要。

YOSHIKI:情報交換してる?
山中:たとえばビザの発給を止める方向で、お互いに避難し合ったりしてる。ぜひ今は、色んな意味で日中韓はぎっくしゃくしているが、共通の敵に襲われているから、これをきっかけに協力しないと、乗り越えられない。ウイルスに対しして何やってんだと言われる事態。

山中:韓国に頭を下げて情報提供してもらうべき。小学生に感染したら、どれぐらいうつるのかが、わかっていない。今、僕はわからない。そういうところがはっきりしないと、4月からの休校をどうするのか。韓国のエビデンスは揃いつつある。お願いしてそういう情報をもらうべき。

YOSHIKI:今、この時点の話。2週間したらエビデンスが出てきて、また変わる。今日の時点で、一人ひとりができること、気を付けることは?

山中:普通はいかに自分を守るか。普通はそう。今は他の人に移さないこと。社会を脅威にさらさない。それが重要。特に若い方は、何をされてもたいして重篤にならない。他の人にうつさない、社会のために今は我慢する。でもみんなの我慢には限界がある。国はここまでやっていい(と基準を示すべき)。国は我慢している人への補償を担保する必要がある。

山中:IPS細胞の研究はコロナに役立てたい。いまは生活、芸術活動、研究ができるように戻すこと。

YOSHIKI:コンサート開くべきかどうか(ずっと頭を悩ませてきた)。解決した後に、おもいっきりやれば(いいかと思う)。今はインターネットも発達してるから、違う形で配信とか、有料配信とか、いろんな形がありえる。私たちが劇場にいなくても、いろんな方法で返せる。人間の工夫の見せ所。知恵を出すところ。その力がある。

山中:大人数の集まりは避ける。できるだけ少人数で広い部屋で行う。ビデオ会議を行う。これ、今が大事だろうと。様子を見てる場合じゃない

YOSHIKI:今の時間が大事。スタッフから(このような意見表明をすることを)かなり止められてます。なんでやるのと。やめてと。スクリーニングがかかる。でも問題提起するだけでも意義があるだろう。黙ってられなくなった。良心というか。コマーシャルもあるのにと。この数週間。僕みたいな人が混乱させたら良くない(のだけれど)…ファンの皆さんは家族だと思っているので。

■2月26日~3月13日のYOSHIKIさんのツイート

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