子供のためのシェイクスピアカンパニー『じゃじゃ馬ならし』08/16-08/19赤坂区民センター区民ホール

 “男尊女卑”な内容で有名なシェイクスピア作『じゃじゃ馬ならし』を、どうやって親子向け演劇に仕立てるのか…興味津々で観に行きました。上演時間は約2時間5分、途中休憩15分を含む。

≪作品解説≫ http://www.canonkikaku.com/kodomonotameno.html
まるで正反対の姉妹は、それぞれに妻となり生きてゆくー
ふたりの女性の結婚と人生のお話。

パデュア村の金持ちバプティスタには二人の娘がいる。妹のビアンカはしとやかな器量よしで求婚者は星の数ほど。問題は、姉のキャタリーナが未婚で、しかも評判のじゃじゃ馬娘なこと。
キャタリーナが片付かないと誰もビアンカと結婚できないが、あのじゃじゃ馬に貰い手がつくとも思えない…。と思いきや、荒ぶるじゃじゃ馬の上をゆく男ペトルーチオが現れて、強引にキャタリーナを妻としたものだから、ビアンカに群がる男たちの争いはエスカレート。一方、妻となったキャタリーナは、思いもよらぬ展開へー。
恋愛や結婚というモチーフをさまざまに取り上げったシェイクスピアが、結婚や夫婦の姿をとりわけリアルに描いた異彩の喜劇。結婚にまつわる狂想曲に笑わされつつ、何だかちょっと身につまされる愛すべき作品を「子供のためのシェイクスピア」シリーズがお届けします。
≪ここまで≫

 ここからネタバレします。

 黒いマントの下にカラフルな衣装を着て、俳優が複数役を演じるいつもの趣向でした。おなじみのクラップ(手拍子)もあり。ボケ突っ込みのコントのようなやりとりでは、私は笑えないんですよね…。客席は沸いていました。
 建て込みの舞台装置はなく、大道具は木製の机と椅子のみ。机の移動がなかったような…。ダイナミックな転換が少ないのは残念でしたね。

 ある公爵(シェイクスピア人形:山崎清介)の思いつきで、乱暴な酔っ払いの若者スライ(若松力)を『じゃじゃ馬ならし』の物語のなかに放り込むという枠組みでした。目覚めるとスライは大金持ちの息子になっており、旅芸人たちが演じる『じゃじゃ馬ならし』の登場人物に乗せられて、主要人物のペトルーチオを演じていきます。

 野獣のような女性キャタリーナ(通称ケート:鷹野梨恵子)を手に入れたペトルーチオは、食事をさせず睡眠も取らせないというDV行為で彼女を手なずけていき、自分が望む通りの従順な妻へと調教します。この展開には(いつもどおり)虫唾が走ります。
 でもそれはあくまでも劇中劇であり、1人の女性が本当にペトルーチオの思い通りになったわけではありませんでした。彼女は最終的には、ペトルーチオへのキスを拒むのです。

 夢から覚めたスライは、一度去ってからまた現れたキャタリーナ(らしき女性)と、再び求婚場面を演じます。ただし前半で見せたような、けんか腰でぶつかり合うマウンティング合戦ではなく、相思相愛の男女の純粋な告白場面として。ラブラブな音楽が流れ、ロマンティックなエンディングになっていました。

 スライは、キャタリーナが自分の意のままにならなかった経験から、他者と本当の意味でつながるコミュニケーション方法を学んだのかもしれない…そんな好意的な解釈も可能だと思いました。

≪神奈川県、滋賀県、東京都≫
出演:山口雅義、戸谷昌弘、若松力、加藤記生、鷹野梨恵子、大井川皐月、川澄透子、山崎清介
作:ウィリアム・シェイクスピア~小田島雄志翻訳による~ 
脚本・演出:山崎清介
照明:山口暁 音響:角張正雄 衣装:三大寺志保美 演出補:小笠原響 舞台監督:工藤静雄 舞台監督助手:浅沼一彦 稽古場アンダースタディー:小佐々育加 Special Thanks to 松岡和子 宣伝美術:市川きよあき事務所 イラスト:100パーセントORANGE 制作:峰岸直子 制作助手:簑島風香 大川未希子(横浜) 高橋恵津子(東京) 企画制作:華のん企画
【発売日】2019/05/27
全席指定 (前売り・当日とも)
一般 4,500円
シニア 3,800円(65歳以上)
学生 3,000円(要学生証)
高校生以下 1,000円
港区web会員割引有り Kissポート財団取扱い
https://www.kissport.or.jp/event_detail.php?eventid=00003097
https://stage.corich.jp/stage/101703

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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