DULL-COLORED POP『丘の上、ねむのき産婦人科』08/11-08/29ザ・スズナリ

 「8月の気になる舞台」でご紹介していた、谷賢一さんが作・演出される劇団DULL-COLORED POPの新作公演。テーマは妊娠・出産です。私の娘がモデルになった役も登場していました♪

 女性キャストが女性役、男性キャストが男性役を演じる[A]と、男性キャストが女性役、女性キャストが男性役を演じる[B]の2本立てで、両方をオンライン配信で拝見しました。
 Aキャスト:https://v2.kan-geki.com/live-streaming/ticket/385
 Bキャスト:https://v2.kan-geki.com/live-streaming/ticket/406
 ※配信期間は8/27(金)17時~9/26(日)23時59分までです。

≪あらすじ≫ http://www.dcpop.org/vol23/
駅の北側、商店街を抜けた先、丘の上にある「ねむのきさん」は、昭和のはじめ、古くから続く産婦人科で、私も私の母も祖母もここで産み、生まれたらしい。今日のロビーは少し混み合っていて、私たちを含めて12人の男女が座っている。年齢も服装も表情もバラバラ。みんな一体何を考えているのか。しかし決して会話は起こらない。6組の悩み、いや12人の別の考えが、誰も喋らない静かなロビーにぽっかり浮かんでいる。

少子化・晩婚化・ジェンダーロールやジェンダーギャップ・若者の貧困・不妊治療・中絶・ひとり親など、妊娠・出産をとりまく様々なテーマを、数十名の実在の声に取材しつつ、とある架空の地方都市を舞台に描くDULL-COLORED POPの最新作。「自分と異なる性/生を想像する」というテーマに基づき、男女入替えA/Bキャスト2バージョン上演します。
≪ここまで≫

 約30名弱への取材をもとにした、ほぼオムニバス形式のお芝居でした。産婦人科にやってくる7組の男女の生の声がストレートに届きます。鑑賞体験としては、市民劇『地域の物語』に似ていたかもしれません(私は2019年に出演しました)。
 設定はフィクションでも取材が土台なので、ほとんどドキュメンタリーのように受け止めました。悩み、悲しみ、怒りが怒涛のように押し寄せて、次々に暴発していくようで、観ていて息苦しくなる場面が多かったですね。とんでもなく切実なのです。

 男性が妊婦を演じているのを見ると、最初は少しくすぐったいような、恥ずかしいような気分だったのですが、徐々に「ざまあみろ!女性の痛みを、恐怖を、苦しみを知れ!」といった怒りが噴き出してきて(ごめんなさい)、やがて「知ろうとして、体験しようとしてくれて、ありがとう…!」という感謝の気持ちが湧いてきました(忙しいな私)。女性役を演じた俳優は、上っ面の社交辞令ではなく、心と体を丸ごと使って、妊娠・出産に命がけで向き合う女性の立場に立ってくださった…。私が男性に求めているのは、こういう行動なのだと確認できた気がします。

 コロナ禍において城崎での試演会、東京公演、大阪公演を完了させたこの公演では、劇団がリアルとオンラインでできることに、とことんチャレンジしてくださっています。

・城崎国際アートセンターで稽古と試演会
 http://kiac.jp/jp/artists/7537
 http://kiac.jp/jp/events/7554
・上演映像&特典映像のオンライン配信
 A公演:https://v2.kan-geki.com/live-streaming/ticket/385
 B公演:https://v2.kan-geki.com/live-streaming/ticket/406
・コロナ支援チケット(一般券の2倍の金額)
・ギフトチケット(劇場鑑賞用)
・ギフトチケット(オンライン配信用)
・戯曲、パンフレットのKindle販売
 ノウハウ公開:https://www.playnote.net/archives/1469
・舞台&俳優写真データ販売
・公演グッズのオンライン販売(パンフレット、Tシャツなど)
・ブログ記事有料販売(稽古場の記録)
 https://www.playnote.net/archives/1675
 https://www.playnote.net/archives/1714
・上演に合わせたネット記事公開(「論座」前編、後編)
 https://webronza.asahi.com/culture/articles/2021081900001.html
 https://webronza.asahi.com/culture/articles/2021081900007.html
・オンラインアフタートーク(観客からの質問受付あり)
 https://www.youtube.com/watch?v=7Y2SaY4cPlQ
・上演作を題材にしたワークショップ
 https://www.dcpop.org/school-2021-09/
・配信期間中にオーディション告知
 https://www.dcpop.org/vol24/
 …など。

 あとは、公演情報が公式サイトの1ページ(1つのURL)にまとまっているのが、大変素晴らしいと思いました。新情報を発表するごとに新しいページを増やされるのは、観客にとっては不便なんですよね。

 ここからネタバレします。

 湯舟すぴかさん演じる会社員の「なめられてたまるか!」に涙しました。そうなんです、その怒りが、悔しさが、ずっと消せないのです。
 1971年の、女性の命と権利を軽視する、同調圧力地獄の妊娠・出産を描いてから、2071年の産婦人科ロビーを想像させて終幕。

≪東京都、大阪府≫ 第23回本公演
【キャスト】東谷英人、内田倭史(劇団スポーツ)、大内彩加、倉橋愛実、塚越健一、
宮地洸成(マチルダアパルトマン)(以上DULL-COLORED POP)、
岸田研二、木下祐子、冨永さくら、湯舟すぴか、李そじん、渡邊りょう
【スタッフ】脚本監修:北村紗衣 医療監修:稲田美紀(医師)
美術:土岐研一 照明:松本大介 音響:清水麻理子 衣裳:及川千春
舞台監督:竹井祐樹(StageDoctor Co.Ltd.)配信映像監督:松澤延拓、神之門隆広
照明操作:和田東史子 舞台監督助手:澤田万里子
宣伝美術:平崎絵理 制作助手:佐野七海、柿木初美(東京公演)、竹内桃子(大阪公演)
制作:小野塚 央
助成:芸術文化振興基金、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
協力:城崎国際アートセンター(豊岡市)
主催:合同会社DULL-COLORED POP
【発売日】2021/07/03
・一般チケット(劇場で観劇する)
 全席指定 一般:4000円 学生:3000円 コロナ支援チケット:8000円
・配信チケット(オンライン配信で視聴する)
 通常:3300円 特典付き:5000円
【上演時間(目安)】約2時間
【アーカイブ視聴期限】10月5日(火)23時59分
【チケット販売終了日時】10月4日(月)23時59分
https://www.dcpop.org/vol23streaming-date/
『ねむのき』ダメ出し・演出ノート公開<前編>:https://www.playnote.net/archives/1675
『ねむのき』ダメ出し・演出ノート公開<後編>:https://www.playnote.net/archives/1714
http://www.dcpop.org/vol23/
https://stage.corich.jp/stage/113043

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