【書籍】津島佑子著「寵児」(講談社文芸文庫)

 石原燃著「赤い砂を蹴る」の感想を読んでくださった知人(日本文学者で新国立劇場オペラ『紫苑物語』に協力していた方)から、津島佑子著「寵児」を推薦されました。今から約42年前の1978年に発表された第17回女流文学賞受賞作です(“女流”という言葉に時代を感じますね)。哲学者の柄谷行人氏が彼女を非常に高く評価していたことも伺いました。
 ⇒朝日新聞「虐げられたものへ愛と共感 津島佑子さんを悼む 哲学者・柄谷行人」(2016年2月)

 そういえば「赤い砂を蹴る」が芥川賞候補となり、著者を“太宰治の孫”と紹介する記事が大変多かった時期に、「石原さんは“太宰治の孫”というより“津島佑子の娘”だよね」と言った人もいたのです。2人に背中を押されて早速「寵児」を読んだところ、超、超、超~~~面白くて、夢中になって読み終えました。

 小説って…いいですね…(何を今更)。私はこのコロナ禍で観劇に行けないので(涙)、味気ない暮らしに彩りと奥行きを与えくれる芸術に積極的に触れようとしています(家の中で)。自分が好きな世界にばかり耽溺して不勉強な私には、信頼する人の助言が本当にありがたいです。