新国立劇場演劇研修所のオリジナル作品『朗読劇「ひめゆり」』が3度目の上演を迎えます(感想など:2016年、2017年、2017年の稽古場レポート)。2017年に続き、稽古場に伺いました。
同作は「ひめゆり学徒隊」の3冊の手記を舞台化した、1945年の沖縄戦ドキュメンタリー・ドラマです。今年は初めての沖縄公演が実現します。
※沖縄公演:8月21日(水)19時~ 会場:国立劇場おきなわ
●新国立劇場演劇研修所『朗読劇「ひめゆり」』
08/09-12新国立劇場小劇場 THE PIT
≪東京都、沖縄県≫
出演:新国立劇場演劇研修所第13期生&修了生
脚本:瀬戸口郁
『私のひめゆり戦記』(宮良ルリ著)
『ひめゆりの塔 学徒隊長の手記』(西平英夫著)
『ひめゆりの塔をめぐる人々の手記』(仲宗根政善著)より
構成:道場禎一
構成・演出:西川信廣(新国立劇場演劇研修所副所長)
A席2,160円 B席1,620円 学生は半額。Z席(通常の当日券)の販売はなし。
※9日、10日は前売り完売で、当日券を若干枚数販売。
※予定上演時間:約1時間50分
ひめゆり学徒隊の手記を舞台化した新国立劇場演劇研修所「朗読劇『ひめゆり』」の稽古場へ。3演目の今回はメインの13期生に加え『ひめゆり』経験者の10、11期生が助演&演出助手で参加。長さを感じさせない“娯楽作”に!
8/9-12東京公演:A席2160円 B席1620円
8/21沖縄公演ありhttps://t.co/dkLKAMD0FR pic.twitter.com/AAnC4WKYwp— 高野しのぶ(しのぶの演劇レビュー) (@shinorev) July 29, 2019
≪作品紹介≫ 公式サイトより
2017年に入所の第13期生が舞台実習としていよいよ小劇場に登場いたします。演劇研修所では、研修生が過去の歴史に向き合う機会として、毎年夏に広島あるいは沖縄をテーマにした朗読劇を上演してきました。朗読劇「ひめゆり」は、2016年、演劇研修所で新制作した作品で、太平洋戦争末期の沖縄戦における「ひめゆり学徒隊」がテーマの沖縄戦ドキュメンタリー・ドラマです。本年は、新国立劇場に加えて物語の舞台である沖縄での公演も行います。ANAからの支援により国内研修も実施し、心新たに語り継ぐべき記憶と、あの時代への思いを紡いでいきます。
≪ここまで≫
午前中から始まる通し稽古を拝見しました。全体像については2017年の稽古場レポートでどうぞ!
物語の中心となるのは、沖縄本島から約440km離れた石垣島出身の少女たち。無邪気な幼少時代と、名門師範学校である「ひめゆり学園(通称)」での規律正しい寮生活を、くっきりと対比させていきます。
むごたらしい戦場を再現する際、演劇という虚構(フィクション)はとても有効です。今作は特に“朗読”という制限があるため、激しい感情表現も受け止めやすくなっていると思います。
出演者は複数人を演じます。優しい少尉役だった俳優が厳しい軍医役になって登場すると、人間は豹変するものだと思い知らされます。
横暴で無慈悲な軍人と、もがき苦しむ負傷兵を同じ俳優が演じることもあります。立場の逆転もまた人の世の常ですね。
この作品では当時の歌がいくつも紹介されます。美しい歌声に癒されますが、その歌の意味を考えると恐ろしくなります。祈るように合唱する軍歌「海ゆかば」には、今回も胸がかきむしられる心地がしました。
演出は初演、再演に続いて同研修所副所長の西川信廣さん。演出助手は中西良介さん(10期修了)です。
通し稽古の後に西川さんのダメ出しがありました。「発散せず慎重に」「自分を責める気持ちを強くして」などと、セリフと演技について細かく指摘をしていきます。
西川さんは声を荒げたり叱責したりすることが全くなく、軽い冗談を交えて空気を和ませていらっしゃいました。ほどよい緊張感のあるリラックスした雰囲気です。
ひめゆり学園は当時のエリート校で、学内では通常、標準語が採用されていたそうです。今回は沖縄公演があるので、標準語と沖縄本島の方言に加え、石垣島の八重山方言も使われることになり、特別に、伊良皆髙吉さんが八重山方言協力として参加されています。
方言指導は初演から引き続き長本批呂士さん(3期修了)、下庫理ゆきさんです。長本さんは標準語と方言が混ざったセリフのバランスを慎重に考えて、発音の指導をされていました。
今回は過去に『朗読劇「ひめゆり」』に出演した修了生(10、11期修了生)が4人出演しています。演出助手の中西さんも含め、経験者である先輩の影響は大きいようで、自発的、主体的に稽古に臨むチームとしての一体感が見て取れました。
写真でおわかりいただけると思いますが、台本を読む“朗読劇”とはいえ、動きがとても多いです。中西さん曰く、「座組全員で、最初からすべて作り直した」とのこと。
そういえば約1時間50分という長さを感じなかったのは、テンポよく見せ場が続いたからかもしれません。3演目を迎え、“娯楽作”としての充実がとても喜ばしいです。修了生と研修生が協働する場は、同研修所が十数年かけて育んできたものだと思います。
【チケット予約はこちら】
『朗読劇「ひめゆり」』:公式サイト
電話予約:新国立劇場ボックスオフィス 03-5352-9999
Web予約:Webボックスオフィス
※9日、10日は前売り完売で、当日券を若干枚数販売。
★沖縄公演:8月21日(水)19時~ 会場:国立劇場おきなわ
【ひめゆり】13期生朗読劇『ひめゆり』、日本芸術文化振興会のサイトでも紹介されています!沖縄公演は国立劇場おきなわ小劇場にて、8月21日(水)19:00~。新国立劇場の演目を国立劇場おきなわで上演するのは実はこれが初めて?お見逃しなく!https://t.co/sc1nlrAS3Z pic.twitter.com/yeUYxuBejd
— 新国立劇場演劇研修所 (@nnt_dramastudio) July 22, 2019
7月26日の東洋経済日報に「ひめゆり」の宣伝を載せて頂きました(o^^o)今日で7月が終わりですね^ – ^個人的に山場のようにも感じましたが、こうして元気に過ごせる事が一番かなと?当たり前なんて無いですね?。あ、ひめゆりのまだお取り出来ます!ぜひご連絡ください??#ひめゆり pic.twitter.com/ZH8CFVSo5w
— 聖香 songhyang (@songhyang0826) July 31, 2019
有難いことにサイトにも記事がアップされていますので是非ご覧になってください
愛媛新聞ONLINE https://t.co/XkOlDl7RuT
— こりさ (@_ramune_k) August 5, 2019
【出演】
新国立劇場演劇研修所 第13期生
今井仁美 大久保眞希 島田恵莉 松内慶乃 松村こりさ ユーリック永扇
河波哲平 河野賢治 宮崎隼人
髙倉直人(10期修了) 永田涼(10期修了) 聖香(11期修了) 小比類巻諒介(11期修了)
【脚本】瀬戸口郁
『私のひめゆり戦記』(宮良ルリ著)
『ひめゆりの塔 学徒隊長の手記』(西平英夫著)
『ひめゆりの塔をめぐる人々の手記』(仲宗根政善著) より
【構成】道場禎一
【構成・演出】西川信廣(新国立劇場演劇研修所副所長)
【美術】小池れい
【照明】塚本悟
【音楽】上田亨
【音響】黒野尚
【衣裳】中村洋一
【ヘアメイク】前田節子
【歌唱指導】伊藤和美
【八重山方言協力】伊良皆髙吉
【方言指導】長本批呂士(3期修了) 下庫理ゆき
【演出助手】中西良介(10期修了)
【舞台監督】米倉幸雄
【チラシデザイン】荒巻まりの(8期修了)
【演劇研修所長】宮田慶子
【主催】新国立劇場
【制作】新国立劇場
一般発売日:2019年6月25日(火)10:00~
A席2,160円 B席1,620円 学生券:各チケット料金の半額
https://www.nntt.jac.go.jp/play/himeyuri/
沖縄公演:
https://www.nt-okinawa.or.jp/performance-info/detail?performance_id=2014
【主催】新国立劇場 国立劇場おきなわ
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