谷賢一さんが作・演出される劇団DULL-COLORED POP(ダル・カラード・ポップ)が、「福島三部作」の最新作である第二部『1986年:メビウスの輪』を福島県のいわきアリオスで初演しました。私はいわき湯本温泉から出発する「Fスタディツアー」に参加してから観劇しました。
iPad片手に震度を探る人の肩越しに見るふるさとは赤
三原由起子著「ふるさとは赤」より
福島県の浪江町、双葉町、大熊町、富岡町にて pic.twitter.com/II7TcCVuId
— 高野しのぶ(しのぶの演劇レビュー) (@shinorev) July 6, 2019
7月1日の通し稽古で拝見した『1986年:メビウスの輪』は、質の高い家族劇、論争劇、滑稽劇で、まるで実話をもとにした“神話”だと思いました。終盤の15分ほどの“茶番”は衝撃的で、涙が止まりませんでした(感想ツイート⇒1、2)、
5日後、福島県で現地の観客と一緒に観た時は…幕開けから会場の空気が張りつめていて、私は笑いが起こるごとにドキっとしたりホっとしたり…。照明、美術なども本番仕様ですから稽古と違って当然ですが、事実を基にしたフィクションを当事者と生で共有すること、その場の持つ力、可能性の大きさを体ごと確認できました。
DULL-COLORED POP「福島三部作 第二部『1986年:メビウスの輪』」いわきでの世界初演、約2時間弱。福島の観客とともに目撃する緊張感。稽古場の通し稽古とは全然違う。アナログ&豪華な照明の仕掛けで80年代が今ここに。郷愁も狂騒も茶番もヒリヒリ。トークもドキドキだった。https://t.co/3d1Blz8I2d pic.twitter.com/F3SjRPuVgu
— 高野しのぶ(しのぶの演劇レビュー) (@shinorev) 2019年7月6日
……何かあんだけバカ騒ぎやったのに、全然誰からも、ただの一人も怒られなかったってことに、むしろ闇と傷の深さを感じるかもしらん。達哉さんからは「演出力が上がったね」なんて言われたけんちょも、それはそれとして、忍従力高過ぎねえかな。福島県民。『1986年:メビウスの輪』。
— 谷賢一 (@playnote) 2019年7月6日
【チケット情報】「福島三部作一挙上演」大阪公演の8月31日の通し券が残りわずかとなってきました!通し券は枚数限定なので、ご予約はお早めに! https://t.co/vTDFSSSqwt (P コード 494-476)
東京公演のご予約もお待ちしています!https://t.co/ze9lqzGPwe pic.twitter.com/sqjcgiEFBw— DULL-COLORED POP (@dc_pop) July 16, 2019
以下、関連情報と観客の感想などをまとめます。後日、ミニ稽古場レポートを公開予定です。
■ニュース
【掲載情報】毎日新聞2019年7月5日 東京夕刊「福島3部作、今夏上演 原発事故問い直す 演出家の谷賢一さんに聞く」
(記事全文3481字は有料でお読みいただけます)#谷賢一 @playnote @dc_pop #福島三部作 https://t.co/1h9gGiH5U6— いわき芸術文化交流館アリオス(いわきアリオス) (@iwaki_alios) July 5, 2019
本日の毎日新聞・夕刊にでっかく載っけてもらいました。インタビューも新聞掲載のものとしては過去最長じゃないかな? 夕刊なのでコンビニとかには売ってないんだけどね! ありがとう! pic.twitter.com/UaM5270rxL
— 谷賢一 (@playnote) July 5, 2019
本日7月25日の東京新聞に福島三部作の記事が載っています!福島三部作一挙上演は8月8日から東京芸術劇場シアターイーストです!第二部から始まります!https://t.co/ze9lqzGPwe pic.twitter.com/ToFNRJ4UKo
— DULL-COLORED POP (@dc_pop) July 25, 2019
3部作で描く福島原発の半世紀~DULL-COLORED POP主宰の谷賢一インタビュー #谷賢一 https://t.co/L1cyssRWzV pic.twitter.com/J9aWwafmXX
— SPICE[舞台情報メディア]/e+ (@spice_stage) June 28, 2019
■「福島三部作」をいわきでより楽しむコツ
【ブログ更新】今週末7/6(土)7(日)いわき初演の #福島三部作 第二部『1986年:メビウスの輪』@dc_pop 。「この作品はいわきで観たい」と県外から来てくださる方へ、合わせてお楽しみいただける市内のスポットを紹介します。
■「福島三部作」をいわきでより楽しむコツ https://t.co/NRuzlTOf6k— いわき芸術文化交流館アリオス(いわきアリオス) (@iwaki_alios) 2019年7月2日
■いわきアリオス
【#福島三部作】いよいよ今週末、福島三部作・第二部『1986年:メビウスの輪』がアリオスで幕開け!今日(7/3水)から小劇場で仕込みを開始しました。ネタバレ覚悟で仕込み中の舞台写真もお届けしますが、天井からは見たことのない照明が!これが劇中にどんな効果を生みだすのかご期待ください! pic.twitter.com/BlaYe0vqgb
— いわき芸術文化交流館アリオス(いわきアリオス) (@iwaki_alios) July 3, 2019
【#福島三部作】アリオス小劇場は、昨日7/4(木)も福島三部作・第二部『1986年:メビウスの輪』の仕込みを行いました!夕方からは出演者も合流、実際の舞台で「場当たり」をしながら、場面をつくりあげていきます。まだまだご予約受付中!今週末は小劇場でお待ちしてます!https://t.co/4DUuVaNp2A pic.twitter.com/Z94YxWM7Bi
— いわき芸術文化交流館アリオス(いわきアリオス) (@iwaki_alios) July 5, 2019
【いよいよ明日、いわき初演!】#福島三部作 ・第二部『1986年:メビウスの輪』。今日(7/5金)も昨日に続いて「場当たり」を行いました。演劇的な手法で原発立地自治体の苦悩と欲望を克明に描き出す本作は、まさに「衝撃」の一言。明日は17時半~当日券を販売。お見逃しなく!https://t.co/4DUuVaNp2A pic.twitter.com/Ptm2cjEsGI
— いわき芸術文化交流館アリオス(いわきアリオス) (@iwaki_alios) July 5, 2019
【終演御礼】昨日(7/7日)、 #福島三部作 ・第二部『1986年:メビウスの輪』の2日目が無事に終演。ご来場いただいた皆さま、本当にありがとうございました。第三部『2011年:語られたがる言葉たち』のいわき大千秋楽は9/7(土)、8(日)です!(撮影:白圡亮次)https://t.co/ExgO9jcbzC pic.twitter.com/ywq3xdZC6V
— いわき芸術文化交流館アリオス(いわきアリオス) (@iwaki_alios) July 8, 2019
明日7/6にいわきで初日、DULL-COLORED POP vol.20「福島三部作」第2部『1986年:メビウスの輪』
作、演出の谷賢一さん
@playnote と平田オリザさんの対談担当しました。
観劇前後に読んでいただけましたら。
私は7(日)に観に行きます!
https://t.co/CqWDxaMVDq— 山根麻衣子@福島県浜通り移住ライター (@himawari63) July 5, 2019
セゾン文化財団が発行しているニュースレター「viewpoint」に「福島三部作一挙上演」でとてもお世話になっている、いわきアリオスの萩原さんの寄稿が掲載されています。谷との出会いにも触れています!https://t.co/bJqzy8zLwh
◯公演情報◯https://t.co/ze9lqzGPwe— DULL-COLORED POP (@dc_pop) July 13, 2019
■柳美里さんと内野儀さん
昨日、第二部『1986年 メビウスの輪』を観た。
国家(経済・政治)によって捕食された一つの町、一つの家族の咬み痕を丹念に描いた作品。
町長が「日本の原発は安全です」と断言せざるを得ない状況に追い詰められるシーンは、客席の平静さを粉砕する力を持っていた。第一部と第三部も観に行く。 https://t.co/MGHbKpnclI
— 柳美里 (@yu_miri_0622) July 7, 2019
捕食された町は、消化されて国家の血肉にはならなかったし、消化されずに吐き出されもしなかった。
血の滲んだ咬み痕だけが生々しく残る町ーー、わたしはバリケードの中を歩くといつも、正義、倫理、愛という言葉が行き止まりになるのを感じるが、谷賢一さんは第三部をどのように描いたのだろう。— 柳美里 (@yu_miri_0622) 2019年7月7日
先ほどいわきでの全ステージが終わりました。ご来場、そしてTweetまでありがとうございます! 大変な励みになりました。第三部へ向けて、より鋭く深く福島に眼差しを投げ掛けていきたいと思います。見届けて頂けたら幸いです。どうぞよろしくお願い致します!
— 谷賢一 (@playnote) 2019年7月7日
Tani Kenichi's second installation for his Fukushima Trilogy, entitled "1986: Mobius Strip," depicting how Chernobyl disaster affected people's lives in Japan. A wonderfully written solid discussion play.
— Tadashi Uchino (@hobo2010) 2019年7月7日
■Fスタディーツアーにも参加していた観客の感想
いわきアリオスにてDULL-COLORED POP 福島三部作・第二部。第一部に比べ政治的な葛藤が更に多く描かれているけど、それ以上に人間そのものを描いていると感じた。正しいと信じたことが反転し、でも実はそれは表と裏ではなく一続きなところが。政治とは、人々の営みとは、その葛藤の繰り返しなのかと。
— ヒバリ (@lerchengesang) July 6, 2019
ダルカラ「1986年:メビウスの輪」。そんな風に思ったのは人々の営みを俯瞰的に語るシーンがあったからかも。俯瞰的に語られるよく似た人々の営み~海沿いの道に車が沢山並び白い四角い建物に入っていく~は、昼間に聞いた2011年以降の街の姿にとてもよく似ている。その建物へ入る目的は真逆なのに。
— ヒバリ (@lerchengesang) 2019年7月6日
ダルカラ「1986年:メビウスの輪」。人々の葛藤は反転し捻れながら過去から未来へ永遠に続いてゆく。まさにメビウスの輪。この葛藤が今度は第三部2011年に繋がっていくのだろう。俯瞰の視線の中に、いつか捻れが解き放たれメビウスの輪が断ち切られることへの願いと祈りがあるように感じて涙が出た。
— ヒバリ (@lerchengesang) 2019年7月6日
ダルカラ「1986年:メビウスの輪」。俯瞰目線に私がめちゃ反応してしまったので(百花さんのひたむきで透明な存在感と表情がすごくよかった!)感傷的なことばかりつぶやいているけど、演劇的な仕掛けもめちゃエキサイティングで面白かった!特に古河耕史さん大変素敵!!!皆に見てほしーい。
— ヒバリ (@lerchengesang) 2019年7月6日
ダルカラ「1986年:メビウスの輪」。そしてやはり福島の地でこの作品を見ることは大きな意味がある。テーマを背負った台詞が投げかけられたとき、観客席の一人ひとりが台詞に相対してぐぐっと近寄っていくようなぴんと張りつめた空気が印象的だった。
— ヒバリ (@lerchengesang) 2019年7月6日
ダルカラ「1986年:メビウスの輪」。終演後のトークディスカッションで福島の観客の方が「言えなかったこと、言っていけないと思っていたことを、切なさまで含めて表現してくれた」というようなことを言った時の、声の中の痛みと切実さもとても心に残った。いわきまで見にきて本当によかった。
— ヒバリ (@lerchengesang) 2019年7月6日
今日は昼間の被災地ツアーでも沢山の切実な言葉を聞いた。優しい声だったな。
— ヒバリ (@lerchengesang) 2019年7月6日
いだてん観る前に、お友達各位にダルカラのダイレクトマーケティングメッセージをせっせせっせと送っております(笑)。自分の目で観たから、しっかりオススメポイントを紹介できるよ!とりあえず、あのかっとんだ眼鏡の古河耕史さんは、皆観たほうがいいと思う!
— ヒバリ (@lerchengesang) 2019年7月7日
これはいつも思う。福島の安全を伝えることが、なぜか原発推進と捉えられてしまう。今その地で生きる人を守ることと、今後同様の苦しみを負う人を生まないことは、一致するはず。反原発のために「福島は危険」と喧伝するのは、ひどい視野狭窄であるだけでなく、何か別の意図があるように感じてしまう。 https://t.co/fWc5yGoTIO
— うすべに (@usubeni1024) 2019年7月4日
いわきへ。お友だちが探してくれたスタディツアーに参加。浪江、双葉、大熊、富岡を巡る。震災後、宮城、岩手にボランティアで行った時は、津波被害の甚大さに立ち尽くす思いだったが、原発事故という『人災』を目の当たりにして、まだ上手く整理が出来ない。
— うすべに (@usubeni1024) 2019年7月6日
汚染土を運ぶトラックの列、森へと変わりつつある田んぼ、町の中心部なのに所々にある更地、防潮堤で海が見えない海岸線。自然の獰猛さと、人間の愚かさが、重くのしかかる。
その傍らで、生まれ育った土地を愛し、耕し続ける人の頼もしさを知る。 pic.twitter.com/Y4NpaHJCY3— うすべに (@usubeni1024) 2019年7月6日
帰宅困難区域を抜けると、青々と育つ田んぼが目に入る。地震と津波ももちろん大きな被害だったが、8年が経ち、震災後に建てられたであろう家や施設も、真新しい感じはなく既に馴染んでいる。その一方で、あの時のまま人の時間が止まり、草木が全てを侵食する地。まだ、何も終わってない。続いている。
— うすべに (@usubeni1024) 2019年7月6日
富岡のさくらモールで食べた浜鶏のラーメン(と親子丼)、美味しかったぁ。しばらく前からずーっと燻っていた、美味しいラーメン食べたい願望が満たされた??
終演後、米が欲しくなるなめろうと、時間切れ直前に食べたメヒカリの唐揚げも美味しかった!
次は温泉も堪能したいなぁ。また来よう。 pic.twitter.com/EBufEDc3EX— うすべに (@usubeni1024) 2019年7月6日
目にしたもの、聞いたこと、感じ考えたことを十分に消化する間もなく、DULL-COLORED POP福島三部作、第二作『1986年メビウスの輪』へ。故郷を愛する気持ちにつけ込む悪魔と、それに呑み込まれるしかない人。責められないと思う一方で、その問いは、断罪は、観ている自分に突きつけられる。 pic.twitter.com/uSreRzCciS
— うすべに (@usubeni1024) 2019年7月6日
メビウスの輪:「手に余るもの」に手を出してしまったその先を、数時間前に見てきた。原発に、東電に、国に、大きな何かに翻弄される姿は、先週訪れた沖縄と同じだ。目を瞑り先送りし続けるこの国は未だに、戦争のmourningに向き合えていないのだろう、と改めて思う。
— うすべに (@usubeni1024) 2019年7月6日
メビウスの輪:喜びによって閉ざされた言葉を語れていたら、少しは違ったのだろうか。その声を聞こうとすること、伝えること、そして、自分の内の声を消さないこと。簡単ではないけど、諦めたくはない。いわきの地で観られたことに感謝し、三部がより楽しみに。
— うすべに (@usubeni1024) 2019年7月6日
メビウスの輪:終演後、谷さんと観客のディスカッション。ある方が仰っていたように、三部作の中では政治色が強いものの、演劇の魔法が随所に散りばめられて純粋に面白い。初の岸田さんと『ペール?』で素敵だった古河さんの対峙など、戯曲の圧に挑む役者の熱が素晴らしい。多くの人に観てもらいたい。
— うすべに (@usubeni1024) 2019年7月6日
■谷賢一さん
「もう演劇やめてもいいや」と思えるような作品にしたいなあ。あと当然岸田賞が欲しいし、舞台が終わった後でドラマ化して欲しいし、映画化して欲しいし、英訳して全世界の人に読んで欲しい。福島で何が、何故、どのようにして起こったか、きちんと書きたい。演劇を目的にせず、表現を目的にしたい。
— 谷賢一 (@playnote) May 10, 2019
「原子力発電はコストが安い」というのは真っ赤な嘘だ。「コストが安い」という人の計算には放射性廃棄物の処理費用、福島やチェルノブイリのような事故の補償費用、廃炉費用が一切計上されていない。「原発は高い」、これだけでも十分に反対理由になる。
— 谷賢一 (@playnote) 2019年6月9日
しかしホントはカネの問題ではない。一度ヒューマンエラーでも天災でも事故が起こったら、二度と故郷には帰れない、そういう人の心を踏みにじる傷跡を作ってしまうのが原発だ。おらのお袋の地元の浪江町なんか、原発立地自治体でもないのに巻き込まれて再起不能になってる。人口十分の一だかんね。
— 谷賢一 (@playnote) 2019年6月9日
第二部『1986年:メビウスの輪』の後半は、ゲラゲラ笑えると思います。僕も笑える演劇が好きですし、深刻過ぎるからこそバカバカしいということを、演劇ですから描けると思います。楽しくなくっちゃ演劇じゃないし。
— 谷賢一 (@playnote) 2019年6月9日
衣裳合わせを40分巻きで終了した『1986年:メビウスの輪』座組一同。衣裳友好さんがよく80年代感を出してくれた。ぼっこのお友達から届いた福島のさくらんぼを食べつつ空き時間で台詞合わせ。左から百花亜希、椎名一浩、藤川修二、岸田研二、宮地洸成、 木下祐子、古河耕史。https://t.co/7UiQSkM5tW pic.twitter.com/xQVNclNVrR
— 谷賢一 (@playnote) June 26, 2019
■国立劇場演劇研修所の修了生が出演
新国立劇場演劇研修所の修了生からは、大先輩の古河耕史さんと、1期上の阿岐之将一さんと一緒です。
将一さんとは出演する作品が違いますが、一緒に参加出来て嬉しい限りです。新国修了生の姿も乞うご期待!#ダルカラ #福島三部作 https://t.co/Y8RJLHoVGs
— 椎名一浩 (@Chihiron17) 2019年5月10日
■戯曲『従軍中のウィトゲンシュタイン(略)』は9月に刊行
気鋭の劇作家・演出家の谷賢一さんによる、哲学者ウィトゲンシュタインの若き日を描いた戯曲『従軍中のウィトゲンシュタイン(略)』を工作舎から9月に刊行します。谷さんの「福島三部作」は明日からいわき公演、8月に東京公演。https://t.co/d1stjAL4rY
— 工作舎 (@kousakusha) July 5, 2019
※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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