Antikame?『じくりじくりと蝕まれていく』10/24-28シアター風姿花伝

 吉田康一さんが作・演出されるAntikame?(アンチカメ?)の作品を初めて拝見しました。上演時間は約1時間50分。

 

≪あらすじ≫
 愛する女性が海外に行ってしまった。学生時代の恋人の面影がちらつく。なぜなら彼女の夫が突然、連絡してきたからだ。
≪ここまで≫

 ほぼ素舞台で、4人の若い男女がそれぞれの心情を饒舌に吐露する、現代の恋愛物語でした。登場人物は4人いますが、ほとんど全てが独白で構成されていたような印象です。

 言葉や意味の重複が多いこともあってか、1時間50分という上演時間の必然性が感じられませんでした。たとえば「深い深淵」というセリフなど、日本語が吟味されていない気がしました。

 ここからネタバレします。セリフなどは正確ではありません。

 物語はシンプルで、どこの誰がなぜ今、その言葉を発するのか、または行動を起こすのかをはっきりさせれば、1時間未満で示し終えられる内容だっただろうと思います。いろいろと引き延ばす意図があったのかなと想像しました。

 私には登場人物の行動の根拠が不明でした。たとえば“生きてるのか死んでるのかわからないような男性”をなぜ愛するのか、など。

 演出家の栗山民也さんは「戯曲には日常よりも事件が多い」という意味の指摘をされています(⇒2015年の稽古場レポート)。リアル、自然、ありのままを日常に近い時間経過で上演すると、退屈する観客が増えると思います。なにしろ観客は、そんな日常を経験済み(実体験や芸術鑑賞も含む)ですので。

 小説家の磯﨑憲一郎さんによる文芸時評から、以下を引用します。
 磯﨑:芸術は自己実現ではない、芸術によって実現し、輝くのはあなたではなく、世界、外界の側なのだ。

出演:川口龍、今井由希(柿喰う客)、大塚由祈子、梶野稔(劇団民藝)
作・演出:吉田康一
作曲・サウンドデザイン・音響:山口紘
照明:渡辺隆行
舞台監督:丸尾聡
演出助手:吉田雅人
宣伝美術:吉田康一 田中寛人
宣伝映像:米田浩章
宣伝文筆:真柄茂和 杉原敏行 
記録映像・ゲネ写真:米田浩章 
HP:西有志郎 
当日運営:奥田英子
制作:藤崎麻里
協力:柿喰う客 /グッドラックカンパニー/オフィス3〇〇 /劇団民藝/
演劇ユニットG.com / 演劇設計局コミュニケ/ 演劇ネットワーク@丸尾/ 劇団きのこ牛乳 / speech /Theater Company UniquePoint /杉原敏行 /こいけ / 俊 えり
企画・製作:Antikame?
【発売日】2018/09/09 未就学児童入場不可
前売り ¥3,500  
当日券 ¥4,000
ペア割 ¥6,600  
3人割り ¥9,000  
学割 ¥3,300(要証明書) 
高校生割 ¥1,300  
フライデーナイト割 ¥3,000(10/26 19時)
※全席自由席
※受付開始、当日券販売、開場は、開演の30分前です。
※*フライデーナイト割(10/26 19時)
https://stage.corich.jp/stage/94681

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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