東京工業大学リベラルアーツ研究教育院主催シンポジウム「AIとヒューマニティ」10/17東京工業大学大岡山キャンパス西9号館2階ディジタル多目的ホール

 東京工業大学のシンポジウム(無料)を拝聴しました。テーマは「AIとヒューマニティ」。池上彰さんが司会で、パネリストは國分功一郎教授、調麻佐志教授、俳人の大塚凱さんです。

 予約不要、全席自由で整理番号配布制。250席のホールは満席で補助席を出し、入れなかった約100人は他の部屋で中継映像をご覧になっていたとのこと。

●調麻佐志氏

・AIにレンブラントの贋作は描けても、フェルメールの贋作は無理。なぜならサンプル(本物の枚数)が少ないから。
・人間にできてAIにできないことは、「いい質問をすること」、「文脈や意味を理解すること」など。
・賃金の安い仕事はAIに取って代わられない可能性が高い。なぜなら人間の方が安上がりだから。このことについては、我々はしっかり考えないといけない。

●國分功一郎氏

・AIは立派に生長した計算機(に過ぎない)。
・対象の中で私が見ていない部分を、私は同時に、他者には見えるものとして●くからである(ドゥルーズ「意味の論理学」河出文庫)。※●は漢字。失念。
・人間は他者を内面化することで、世界をぼんやりと想像している。
・人間は他者感覚を獲得しているから、見えないものを想像できる(例:人間は壁の向こうの空間を想像できる)。他者感覚がなくなると、世界は目に見えているものに還元されてしまう(ドゥルーズより)。
・想像力が根っこ(ハイデッガー)。
・想像をするには、個別具体的な他者が必要。時間をかけて多数の他者と出会っていくことが必要。
・「他者一般」や「知識一般」は存在しない。
・AIは「他者感覚」、「奥行き(壁の向こうの空間)の認知」、「想像力」を持てるのか?

●大塚凱氏

・俳句をつくるAI「AI一茶くん(えーあい・いっさくん)」の開発にかかわる。
・俳句の良い/悪いの判断がAIには困難。
・AIの俳句には作中主体の作者がいない。
・既存の俳句を内面化して俳句を作っている。それは人間もAIも似ている。
・たとえAIが大量に俳句をつくれているとしても(1分間に何万句もつくれる)、自分は俳句をつくるのをやめない(楽しいから)。
・私自身も、AIも、同様に、ブラックボックス。

20181017_AI

○クロストーク

・俳句は句そのものだけではない。文脈や背景も含まれる。PUREじゃない。作者の家族のエピソードが感動を呼ぶこともある。
・量は質に転化する(弁証法)。果たして量(AIのディープ・ラーニング)が質を乗り越えられるのか。そもそも、人間が人間を知り尽くせていないのに。
・我々が人間そのものをわかっていないことを、AI研究によって、突きつけられる。
・人間には途方もない受け取り能力がある。まだわかっていないことが多すぎる(國分功一郎)。
・言葉を自分で作り出すことによって、自分の中に新たに内面化される(大塚凱)。
・AIは欲望を持てるのかどうか(國分功一郎)。
・AIが持てはやされている。ITのことを思い出してほしい(何度もブームが起こり、消えて、今に至る)。一歩引いて見た方がいい(調麻佐志)。

■しのぶの感想

・「人間の途方もない受け取り能力」とは、演劇で言うところの「聞く力」だと思う。一観客として、一人の人間として、私自身がとても大切にしていること。

・情報を大量にインプットして、そこから何かを選び、抽出することが創造活動なのだとしたら、AIも人間も同じ。選び方に個性が出てくる。大量に浴びて、そぎ落としていくこと。演劇と同じだと思った。

・AIのおかげで人間の能力がわかりそう。AIが人間の想定外の活動をした時などは特に。

・「AIは計算機に過ぎない」という見方は理解できる。「欲望がない」は、「限界がない」と同義だとも思う。「AIは人間によってつくられるのだから、人間が制御できる(暴走しない)」とは、私には思えない。つまり、人間が人間をわかっていなくても、AIが人間を知る可能性は否定できないと思う。

・理系の大学、それも日本の5指に入る国立大学で、リベラルアーツ(※人間を自由へと解き放つ人間形成のための学問)の授業が必須であることはとても良いことだと思った。
 ※2016年5月16日 朝日新聞夕刊1ページ(東京本社)より。

10月17日(水)18:00 – 20:00 (開場17:30)
パネリスト:池上彰 調麻佐志、國分功一郎、大塚凱
無料、予約不要。
https://www.titech.ac.jp/event/2018/042414.html

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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