ナショナル・シアター・ライヴ2018「イェルマ」09/28-10/04 TOHOシネマズ日本橋

 欠かさず見るようにしているナショナル・シアター・ライヴ(⇒前回のレビュー)。パンフレットは800円。

 ご縁あって先日、主役の“HER”を演じたビリー・パイパーさんのテレビドラマを拝見しました。英国の人気SFシリーズ「ドクター・フー 第8話 父の思い出(原題「FATHER’S DAY」)」という1話だけです。2005年から9代目ドクターのコンパニオン、ローズ・タイラー役だったそうで、もう10年以上前ですね。いやー…当然ですが、ものすごい成長、成熟っぷりというか…俳優の仕事を見せてもらえました。

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 以下はツイッター上の感想など。下方に私のネタバレ感想が少しあります。
 

 ここからネタバレします。

 下記ブログで原作のあらすじを読ませていただきました。西村俊彦さん、ありがとうございました!
 ⇒びょうびょうほえる~西村俊彦のblog「【戯曲】『イェルマ』/作:ガルシーア・ロルカ

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 親族(夫の姉たち)の監視、子宝祈願妖術を、ブログ読者の野次と不妊治療に置き換えたと考えると、巧みな翻案だな~と思います。社会の規範や流行に過剰に適応しようとした現代人のリアルな悲劇だと解釈すると、彼女(=イェルマ)が抱く「夫の子供が欲しい、夫がだめなら他の男の精子を買って、自分の子宮から子供を産みたい」という欲望が、本当に彼女自身の内部から出てきたものなのかも、あやしいと思います。

 包丁で夫を殺すのではなく、自分の腹(=子宮)を刺すという結末も、現代的だと思いました。現代人はむやみに自分から孤立して、孤独にひたっているように思います。それは、おそらく、間違いなんですよね。

 ↑観客である私にとっては、作り手さんの嬉しいご感想です。

 舞台をご覧になった方の感想↓

原題:Yerma 1時間49分(休憩なし)
上演劇場:ヤング・ヴィック劇場 2017年8月31日収録
【出演】
彼女(新聞記者、ある部署の編集長、人気ブロガー、最初は33歳):ビリー・パイパー
ジョン(彼女の恋人、後の夫、海外出張ばかりの実業家、やがて無職に):ブレンダン・カウエル
メアリー(彼女の姉、飲んだくれの夫との間に1歳の息子あり、第二子を流産、第三子も授かる):シャーロット・ランドル
ヴィクター(彼女の元彼、彼女は23歳の時に彼の子を堕胎、4歳の娘がおり恋人の間にも赤ちゃんが。上海に転職):ジョン・マクミラン
ヘレン(彼女の母、学者、娘たちををハグできない):モーレン・ビーティ
デズ(彼女の部下、21歳の奔放な女性、フリーセックスな思想の持主):タリッサ・テイシェイラ
作:フェデリコ・ガルシア・ロルカ
演出:サイモン・ストーン
美術:リジー・クラカン
衣裳:アリス・ベイビッジ
照明:ジェイムズ・ファーンコーム
音楽&音響:ステファン・グレゴリー
ビデオ:ジャック・ヘンリー・ジェームズ
キャスティング:ジュリア・ホラン CDG
照明デザイン補&リライト:リッキー・ブラウン
演出アソシエイト:ケイト・ヒューット
演出助手:ソフィ・モニラム
料金:一般 3000 円、学生 2500 円(学生証の提示必要)
https://www.ntlive.jp/yerma

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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