文学座『 かのような私(わたくし)―或いは斎藤平の一生―』09/07-21文学座アトリエ

 文学座9月アトリエの会は、劇団チョコレートケーキの劇作家、古川健さんの書き下ろし戯曲を文学座の高橋正徳さんが演出されます。上演時間は約2時間25分(途中休憩10分を含む)。

≪あらすじ≫ 公式サイトより
1948年(昭和23年)12月23日。
皇太子(今上天皇)の誕生日であるこの日、東条英機をはじめとしたA級戦犯が
処刑された同じ日に、東京の教育者一家・斎藤家に待望の第一子が誕生する。
平和な時代に生きて欲しいという思いを込めて平(たいら)と名付けられた。
高度経済成長、学生運動、バブル、不況、震災・・・
昭和、平成、そして未来を懸命に生きた男の一代記。
≪ここまで≫

 1948年の天皇誕生日に生まれた日本人男性の人生を、20年ごとに描きます。時代の変化を説明するために役人物に語らせているようで、発せられるセリフに人間の言葉としての必然性が感じられませんでした。セリフも、敢えてなのか、紋切型の印象が強く、残念ながら入り込めませんでした。

 プロセニアムのほぼ何もない舞台の上下(かみしも)には、色んな時代の日本の家財道具が並べられています。時を経るごとに舞台上の家具が入れ替えられ、斎藤家の変化が、時代の変化そのものとして描かれます。舞台奥の大きなスクリーンには各時代の主な出来事や事件の動画が映写され、とてもわかりやすいです。

 主人公・平(亀田佳明)の学生時代の友人で、軽薄な性格の男性役の萩原亮介さんの演技がよかったです。萩原さんはproject navakov『ヘッダ・ガーブレル』のレェーヴボルク役も面白かったんですよね。役人物を創造し、その役として舞台上の他の役と生きた交流をしながら、観客の方にも意識が開いている。そんな演技が増えて欲しいです。

 ⇒朝日新聞「(評・舞台)文学座「かのような私」 難しい設定助けた演技」(大笹吉雄)

 ここからネタバレします。

 1948年、1968年、1988年、2008年と来て、次は2028年かと思ったら、間に2018年(現在)が挟まれました。

≪東京、大阪、岐阜≫
出演:関輝雄、大滝寛、川辺邦弘、亀田佳明、萩原亮介、池田倫太朗、江頭一馬、河合耀祐、塩田朋子、梅村綾子、大野香織、田村真央
脚本/古川健 演出/高橋正徳 美術/乘峯雅寛 照明/阪口美和 音響/原島正治 衣裳/宮本宣子 映像/松澤延拓 舞台監督/黒木仁 制作/後藤久美子、梶原優、佐藤竜太郎、鈴木美幸
【発売日】2018/08/07
【全席指定・税込】
前売・電話予約:4,300円
当日:4,600円
※開演の3時間前より03-3353-3566
〈当日券申込専用ダイヤル〉で予約を承ります。
ユースチケット(25歳以下対象):2,500円※取扱いは文学座のみ
http://www.bungakuza.com/kanoyouna/index.html

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
~・~・~・~・~・~・~・~
★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。
 便利な無料メルマガ↓も発行しております♪

メルマガ登録・解除 ID: 0000134861
今、面白い演劇はコレ!年200本観劇人のお薦め舞台

   

バックナンバー powered by まぐまぐトップページへ