シーエイティプロデュース『フリー・コミティッド』06/28-07/22 DDD青山クロスシアター

 成河さんが38役を演じる一人芝居、『フリー・コミティッド』の公開ゲネプロを拝見しました。女性劇作家ベッキー・モードさんによる、1999年、米国ニューヨーク初演の戯曲で、演出は千葉哲也さんです。

 DDD青山クロスシアターは180席の小劇場ですので、客席から舞台までは至近距離!前方席がお薦めです♪ 上演時間は約1時間50分。

≪あらすじ≫ 公式サイトより
失業中の俳優サムを演じながら
金持ちの社交界夫人、レストラン支配人、日本人観光客、カリスマ・シェフ、
サムの父親、変り者のボーイ長、ドミニカ共和国出身のコック、
大柄でタフなフランス女、医者、優しい性格のウェイトレス、下っ端のマフィア etc・・・・
全38役に挑戦!
≪ここまで≫

 豪勢に建て込まれた舞台美術で、具象の大道具・小道具に囲まれながら、成河さんがじゃんじゃか鳴る電話に応えていきます。

 プロの俳優に対して失礼であることを承知の上で言わせていただきますと、初日を明日に控えたゲネプロで、セリフや段取りの危うさが全くありませんでした。成河さんは舞台上でたった一人で闘うわけですが、観客とのコミュニケーションも積極的に取ってくださいます。25日間、30ステージというロングランで、観客とともに劇的な変化を遂げそうですね!

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 ここからネタバレします。

 成河さん演じる売れない俳優サムは、2か月先まで予約が満杯というニューヨークの人気レストランの電話予約受付係。店の地下でたった一人、次々に鳴り響く電話に対応していきます。38役ってどうやって演じるのかしら…と思っていたら、電話をかけてくる他人も、その場で成河さんが演じるんですね。客だけでなく同僚、ボス、俳優仲間、父親なども、素早く、軽やかに演じ分けていきます。

 同じ客が何度も電話をかけてきたり、同僚が頻繁に連絡してきたりします。声色や口癖、仕草などで特徴を作り、今、誰と話しているのか(成河さんが誰を演じているのか)がわかるようになっています。どれだけの試行錯誤があったのかと想像すると、気が遠くなりますね…。

 サムはある婦人の予約を優遇することでコネをつかみ、リンカーン・センターの最終オーディションに進むだけでなく、ディレクターとの直接面会のチャンスもゲットしました。他の客から賄賂として渡されたドルの束を床に放置して、ボス(シェフ)からの電話も取らずに、軽やかに店を去って終幕します。彼は俳優の仕事が得られると見込んで、店を辞める決意をしたのかしら。あの婦人の予約のメモを取っていなかった(予約が伝達されていない)気がするのですが…私には真相はわかりませんでした。

 題名の“fully commited”は「目一杯、手一杯」と訳されていたようです。レストランの予約が満席であること、サムが目がまわるほど忙しいこと、それを演じる俳優(=成河)もまた全力投球であるという意味だと思います。
 電話予約受付係サムと、客やその他の色んな人物が登場し、あるレストランの一日を物語るお芝居ですが、実際は舞台上に俳優が一人いるだけです。俳優の仕事そのものを見せる作品とも言えるのかもしれません。

出演:成河
作:ベッキー・モード
翻訳:常田景子
演出:千葉哲也
美術:原田愛 照明:吉川ひろ子 音響:長野朋美 衣裳:関けいこ ヘアメイク:大宝みゆき 演出助手:松本予右介 舞台監督:村田明 舞台製作:クリエイティブ・アート・スィンク 加賀谷吉之輔 宣伝美術:永瀬祐一 宣伝写真:西村淳 版権コーディネート:シアターライツ 票券:インタースペース 制作デスク:渡辺葵 制作:武冨佳菜 山本涼子 プロデューサー:江口剛史
企画・製作/主催:シーエイティプロデュース
チケット発売日 2018年3月24日(土)
一般 6,900円(全席指定・税込)
※未就学児入場不可
https://www.stagegate.jp/stagegate/performance/2018/free_committed/
http://stage.corich.jp/stage_main/75093

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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