文学座『中橋公館』06/30-07/09紀伊國屋ホール

 文学座創立80周年記念公演として、文学座創立メンバーである真船豊の戯曲を、上村聡史さんが演出します。上演時間は約3時間(休憩含む)。

 ≪作品紹介・あらすじ≫ 公式サイトより
1937年(昭和12年)、文学座創立。脚本部として小山祐士らと並んで創立メンバーの一人であった、真船豊。
真船豊は久保田万太郎に師事し、戦中から戦後にかけて文学座でも数多くの作品が上演されました。農民の生活をむき出しの欲望のぶつかり合いの中に描いた『鼬』で一躍注目され、その作品は新劇団だけではなく、新派や前進座などジャンルを超えて取り上げられてきました。『中橋公館』は、北京で終戦を迎えた日本人家族が何とかして新しい時代を生きていこうとする様を痛烈に描いた作品です。世界中にナショナリズムがくすぶっている今、日本の敗戦と日本人の精神の葛藤というテーマに、劇団内外で活躍著しい旬の演出家上村聡史が挑みます。望郷の念と利己主義に引き裂かれる日本人の姿をシニカルな喜劇の手法で描いた、上演機会の稀な傑作に、気鋭の演出家が現代の視点でどう切り込むか、どうぞご期待ください。

・あらすじ
北京で終戦を迎えた中橋家に、父・徹人が遠方から久々に帰宅する。今なお医療奉仕に中国大陸を駆けまわる徹人とは対照的に、病弱な長男・勘助は母・あや、妹たちと共に異国の地に暮らしながら、中橋家の支柱の役を担ってきた。勘助のひとり息子・良助は熱烈に予科錬を志願して、今、内地で終戦を迎えている。家族が不安と焦燥に駆られるなか、徹人だけは現実離れした認識しかもたず、周囲をあきれさせていた。
晩秋になり、一家は引揚船で帰国することになったが…。
 ≪ここまで≫

 父・徹人(石田圭祐)が半世紀にわたり医師として中国にいたので、「北京で生まれ育ったから内地(日本)を知らない」子供たちがいたんですね。その人たちにとっての「帰国」「引き揚げ」とはどういうものなのか。舞台を観ながら想像できました。

 ここからネタバレします。

 日本敗戦の日から始まりました。いきなり舞台奥一面に日の丸がドンと出ているオープニングは強烈です。旭日旗の枠だけが描かれた薄い幕が被さっているのも、それがところどころ破けていて、穴の周囲がうっすらと赤く色づいている(血の色?)のも雄弁でした。ボロボロになってしまった日本・日本軍のイメージが一瞬で伝わりました。「君が代」と玉音放送をミックスした音響も凄かった…。

 場面転換時に当時のヒット曲(?)を女性陣が歌うのがとても良かったです。

 印象に残った俳優は最終的に両親と北京に残った末妹・愛子役の吉野実紗さん。母あや役の倉野章子さんの終盤の独白もさすがの迫力、魅力でした。

文学座創立80周年記念
≪東京、兵庫≫
出演:石田圭祐、浅野雅博、木津誠之、相川春樹、越塚学、倉野章子、名越志保、浅海彩子、吉野実紗、福田絵里、前東美菜子、内堀律子
脚本:真船豊 演出:上村聡史 美術:乘峯雅寛 照明:阪口美和 音楽:国広和毅 音響:藤田赤目 衣裳:宮本宣子 振付:新海絵理子 方言指導:大原穣子 舞台監督:北則昭 演出補:五戸真理枝 制作:友谷達之、山下悠 宣伝美術:チャーハン・ラモーン 宣伝写真:宮川舞子  
【発売日】2017/05/27
<全席指定>
一般:6,000円
夜割:4,000円
夫婦割:10,000円
ユースチケット(25歳以下):3,800円
中高生:2,500円
http://www.bungakuza.com/nakahashi/

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
~・~・~・~・~・~・~・~
★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。
 便利な無料メルマガ↓も発行しております♪

メルマガ登録・解除 ID: 0000134861
今、面白い演劇はコレ!年200本観劇人のお薦め舞台

   

バックナンバー powered by まぐまぐトップページへ