Visjoner Teater(ヴィジョンズシアター)『Hedda Gabler(ヘッダ・ガブラー)』11/30-12/01シアターX

国際演劇祭 イプセンの現在
国際演劇祭 イプセンの現在

 メルマガで2か月連続(⇒)でお薦めしている、第3回東京ミドルシアターフェスティバル「国際演劇祭 イプセンの現在」の演目です。6本中、11月に上演された2本を見逃し、11/30から上演が始まった3本目をようやく拝見できました。

 ⇒CoRich舞台芸術!『Hedda Gabler(ヘッダ・ガブラー)

 ≪団体・作品紹介≫ 劇場公式サイトより
ヴィジョンズシアターは1988年に女優ユーニ・ダールにより創立され、これまでに約30作プロデュースする。創立以来さまざまな海外公演を行う。 ヴィジョンズシアターのヘッダ・ガブラーはユーニ・ダールによるコンセプトで、オリジナルのアイディアはオスロ近郊の森の中の小さな屋敷をステージに上演するものである。 だーるはこのリアリスティックな設定の中で俳優達が正る、登場人物を模索、演じるよう招いた。この物語は観客と俳優の密接した空間のなかで進んでいく。そのアイディアを元に今回は劇場空間で上演する。
 ≪ここまで≫

 劇場の壁は露出したまま。ベニヤと垂木で作った簡単な壁が舞台中央を横切るよう並べてあります。壁といっても枠だけで、舞台奥の空間はそのまま見えた状態。壁の中央は出入り口用に空いてます。

 音響はなし。照明は微妙なレベルの変化のみ。俳優の演技だけで見せます。

 ここからネタバレします。

 舞台の高さを客席の床と同じにし、客席通路や劇場への出入り口付近も演技スペースに。舞台の上下の奥から俳優が全員登場して、壁の裏に置いてあった紙袋をそれぞれに取り出し、中から枯れ葉(おそらく黄色く紅葉した銀杏の葉)を空中にまき散らします。壁の奥の床がほぼ全面、黄色い葉で埋められ、そこが部屋の「外」であることが明らかになりました。

 ある場面から立ち去った後、俳優は舞台奥の上下にある奥まった空間に待機。姿は見えたままです。銃声を紙袋を割る音で表現する際も、下手奥で俳優が紙袋を破る姿が見えていました。

 レェーヴボルグがヘッダのことを「ヘッダ・ガーブレル(旧姓)」と呼ぶのがエッチだったわ~♪ 2人の秘密(ガーブレル将軍が生きていた頃の、ベランダでの睦言)が、演技だけで観客としっかり共有できているから、説明っぽいセリフがなくても状況がくっきりわかるんですよね。あーこういう楽しみ方がしたい。

 男性はヘッダのように高飛車な女性を手に入れたいと躍起になるけれど、「インスピレーションをくれる」のはエルプステード夫人のような献身的な女性なんですよね。2人の女性の対比が鮮やか過ぎて皮肉なほど。イプセンめっ!!(笑)
 
 レェーヴボルグに「臆病だ」と言われてそれを自分でも認めていたヘッダですが、最後の最後に自分の意志で、自分の思い通りの行動を起こしたのだと思いました。あーホント納得。すっきり爽快な気分。
 死を決意した時のヘッダが美しかった…。うっすら涙を浮かべて、静かな声に強い意志をにじませる演技と言いましょうか。歩き、立ち止まる動きはいつも通り気品があるのだけれど、どこか小刻みに震えているような気配もあって、尋常ではない様子が伝わりました。俳優にしびれますね~。

劇場内の壁に貼ってあったポスターです
劇場内の壁に貼ってあったポスターです

※ノルウェー語上演・日本語字幕付
【出演】ヘッダ・ガブラー:ユーニ・ダール イェルゲン・テスマン:ラース・オイノー エイレルト・レェーヴボルグ:ハウク・ハイエルダール 判事ブラック:ビョルン・スカーゲスター エルプステード夫人:ニーナ・ヴォックスホルト 

アイデア、パフォーマンスコンセプト:ユーニ・ダール
演出:ユーニ・ダール、トニエ・ゴツカルクセン、俳優たちのコラボレーションによる
照明:マリアンネ・タラウグ・ヴェードセット
衣装:シリエ・フィエルベルグ
プロデューサー:マリアンネ・ローラン
台本翻訳:嶋野冷子
前売:5,000円
当日:6,000円
学生:3,000円
http://www.theaterx.jp/16/161130-161201t.php
http://www.nato.jp/prof/prof_2016_ibsen.html
http://www.nato.jp/topics.html#topi_2

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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