2013年4月に初演された三人芝居『木の上の軍隊』(⇒レビュー)が約3年振りに再演されます。演出は栗山民也さん。井上ひさしさんが遺した構想をもとに、蓬莱竜太さんが書き上げた話題作で、その年の私のNo.1戯曲でした(⇒2013年しのぶの観劇ベストテン)。↓「すばる 2013年5月号」に掲載されています。
舞台は戦争中のある島。大きな木の上に逃げ込んだ2人の兵士と、木の精霊である「語る女」が登場します。上官役は山西惇さんが続投し、新兵役は藤原竜也さんから松下洸平さんにバトンタッチ。「語る女」役は片平なぎささんから歌手の普天間かおりさんになりました。
稽古は13時から16時半までだったのですが、私は最初の1時間で既にボロ泣き…。顔を拭おうにも、今度は吹き出し笑いが抑えられず、涙が流れっぱなしに。アイメイクは全部取れちゃいましたね(苦笑)。以下、稽古場写真とレポートです。
●こまつ座『木の上の軍隊(再演)』 ⇒公式サイト
期間:11月10日(木)~27日(日)
会場:紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
出演:山西惇 松下洸平 普天間かおり ヴィオラ演奏:有働皆美
原案:井上ひさし 作:蓬莱竜太 演出:栗山民也
一般:6,500円 夜チケット:6,200円 U-30:4,500円(観劇時30歳以下)
⇒CoRich舞台芸術!『木の上の軍隊』
終戦知らず2年樹上生活 「木の上の軍隊」再演 https://t.co/tYntuckL2R pic.twitter.com/gFbPbS0EP9
— 琉球新報 (@ryukyushimpo) 2016年9月13日
こまつ座『木の上の軍隊』山西惇さん&松下洸平さん対談インタビューを掲載中!https://t.co/GB8wBj9MET「『理解したい気持ちがあった』という、それだけが残った」という話など、深いお話をしてくださっています。ぜひお読みください。11月10日(木)初日です! pic.twitter.com/m55xuP2foM
— アンファン/オモシィ (@anfan000) 2016年10月26日
≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより
実話から生まれたいのちの寓話が今、語りかける。
ある南の島。
ガジュマルの木に逃げ込んだ兵士二人は、
敗戦に気づかず、二年間も孤独な戦争を続けた――
人間のあらゆる心情を巧みに演じ分け、観る者の心に深く刻みつける山西惇が、再び本土出身の”上官”を演じる。
注目の新キャスト・松下洸平は、柔らかく、おおらかな存在感で島出身の”新兵”に挑む。
歌手・普天間かおりをガジュマルに棲みつく精霊”語る女”に抜擢。琉歌に乗せて島の風を吹き込む。
≪ここまで≫
初日まであと約2週間。稽古場には大きな舞台美術が建て込まれていました。ヴィオラ奏者の有働皆美さんも、音響オペレーターさんもいらして、本格的なシーン稽古を拝見できました。
新兵(松下洸平)は元・牛飼いで、生まれ育った島を守るために志願兵になりました。彼はさまざまな戦場を経験してきた上官(山西惇)にとても忠実です。上官も新兵の前では軍人らしい振る舞いを続けますが、飢えを伴う極限状態下では、互いの本音が飛び出します。
恥の概念を徹底的に教育された上官は、欲深で強情っぱり。みっともない姿をさらけ出す山西さんが、とにかく愛らしくて仕方がない!やや強面な風貌とのギャップに萌えます!(笑) 松下さんの誠実な演技からは、若者らしい純粋さがあふれ出すよう。生意気な悪ガキに見えてくるのも魅力的です。
お二人とも、役人物としてライブ感のある心の交流をしてくださいます。観客に言葉を伝えようとする意志の力も強く、私は単語の一つひとつを大切に味わうことができました。
兵士2人のかみ合わない会話はしばしば笑いを誘いますが、「基地」「犠牲」といったセリフは、突然に粒立って、際立って響き、胸に突き刺さります。
栗山:たとえば「今日までアイツらを、あの基地を睨み続けてきた」というセリフをとっても、今の沖縄そのもの。(過去の戦争が題材の芝居だけれど)これは現代史だね。
沖縄出身の普天間かおりさんは初舞台ですが、可憐な立ち姿で語り部役を担い、戦場を俯瞰する神(=木の精霊)の視座を自然に成立させます。今回は女役のセリフが一部カットされ、歌が増えたとのこと。空間にふわりと馴染む歌声が素晴らしいです。芯のある琉歌が、沖縄の匂いと風を誘い込んでくれました。
兵士たちを見ていれば自ずとわかるのですが、上官は“本土”、新兵は“沖縄”を象徴しています。2人の関係性から今、現在の本土と沖縄、更には日本と米国が見えて来るのです。
栗山:初演の取材で沖縄に行った時は、ちょうど嘉手納に11機のオスプレイが配備されたころだった。今は高江が無理やり切り拓かれている。「戦後は終わった」なんて、軽々しく言っちゃいけない。全く終わってないからね。
題材は沖縄ですが、戯曲では島の具体名は示されません。ある時代の特定の場所に限らず、世界中のどこででも起こり得る(現に起こっている)ことが描かれているのだと思います。
自分を支配する者を憎み、それでもすがる状態は、誰の日常でもあり得ることですよね。支配と被支配、差別と不理解など、木の上にいる2人の軍隊のありさまから学ぶことは、とても大きく、そして重いです。
栗山:客席で議論が起こるのはいいこと。芝居は(上段から)教訓を与えようとしているんじゃないから。
チラシ裏面にある蓬莱竜太さんの文章から一部引用します(公式サイトにも掲載)。
蓬莱:この作品が再び上演されることを嬉しく思う。何故なら2人の兵士が木から下りることが依然叶わない状況だからである。これは依然「今」の物語である
■追加イベント
このところ時間があれば「木の上の軍隊」の台本を読んでおるのです。初演では、只管頑張って覚えた記憶しかないですが、今回は焦らず、じっくりと時間をかけて読み込んでやろうと思っているのです。読めば読むほど、普遍的でいて、深い中身のある、尚且つ極めて現代的な、とても良い本だと思います。
— 山西惇 (@8024atc) 2016年9月24日
これを、再演のメンバーと、どう立ち上げていくのか。今から稽古が楽しみで仕方ありません。
2016年版の「木の上の軍隊」も沢山の人に見ていただきたい、と心から思っています。
どうぞよろしくお願いします。— 山西惇 (@8024atc) 2016年9月24日
「木の上の軍隊」再演、顔合わせからの初読み合わせ。身の引き締まる思いとは、まさにこのこと。栗山さんのもとに日本の演劇を代表するスタッフの皆さんが勢揃い、そして途轍もなく凄い戯曲が既に目の前にある。
これはもう、死ぬ気で頑張るしかないじゃない。— 山西惇 (@8024atc) 2016年10月11日
これ、とても共感できる。
何故なら、「木の上の軍隊」の稽古に立ち向かっている自分の心境にとても近いから。
初参加の二人は、無我夢中、必死だと思う。自分はそれに輪をかけて、初演より必死に稽古しております。 https://t.co/G0S2Jafk7T— 山西惇 (@8024atc) 2016年10月20日
『木の上の軍隊』
初代新兵と二代目新兵がっ!!
現在上演中、藤原竜也さんご出演『鱈々』をご覧になられた時のお写真です。https://t.co/ThJmVpX2ic#こまつ座#木の上の軍隊 #松下洸平 #藤原竜也 #鱈々— こまつ座 (@komatsuza) 2016年10月9日
『木の上の軍隊』掲載情報☆
朝日新聞・デジタルスターファイルに松下洸平さんのインタビュー記事がアップされました。
フォトギャラリーには素敵なお写真がたっぷりです!https://t.co/ielk72AXIa#木の上の軍隊 #松下洸平 #こまつ座— こまつ座 (@komatsuza) 2016年10月21日
『木の上の軍隊』
二日間の“読み稽古”を終えて、現在は“立ち稽古”に入っています。仮の美術セットが組まれて、役者は実際の動きを確認しながらの稽古です!
資料としてガジュマルの木や沖縄の地図なども貼り出しています!#こまつ座#木の上の軍隊#山西惇#松下洸平#普天間かおり pic.twitter.com/7PeVE8GpRR— こまつ座 (@komatsuza) 2016年10月15日
「木の上の軍隊」稽古中!
2013年公演よりもさらに深く、物語が紡がれようとしています。普天間さんの歌声により、沖縄の空が見えてくる、そんな気がします♪
ぜひ、劇場で感じてください。 pic.twitter.com/qQaJcpJwg9— こまつ座 (@komatsuza) 2016年10月26日
■沖縄関連ツイート
沖縄県と東京都、ほぼ同じ面積とのこと。基地の大きさがわかる。 pic.twitter.com/SowQpjyFGx
— 壱花花 (@18787cartoon) 2016年6月12日
「どこつかんどんじゃボケ。土人が」 沖縄で機動隊員が発言 ヘリパッド反対の芥川賞作家にhttps://t.co/W0n5ONietM#沖縄 #高江 #高江の機動隊員 pic.twitter.com/OZ1Qj0JAdU
— 沖縄タイムス (@theokinawatimes) 2016年10月19日
記者拘束や監視…「沖縄での報道の自由懸念」 国境なき記者団が異例声明https://t.co/S0rG7nyaBK 国境なき記者団は1985年にフランスで創設された国際非政府組織(NGO)。 「「安倍晋三氏が再び首相に就任して以来、報道の自由への配慮は大幅に後退している」と指摘」
— 高野しのぶ (@shinorev) 2016年10月25日
第115回公演
出演:山西惇 松下洸平 普天間かおり/有働皆美(ヴィオラ演奏)
原案:井上ひさし 作:蓬莱竜太 演出:栗山民也 音楽:久米大作 美術:松井るみ 照明:小笠原純 音響:山本浩一 衣裳:前田文子 ヘアメイク:鎌田直樹 方言指導:今科子 宣伝美術:藪野健 演出助手:坪井彰宏 プロンプター:安藤ゆかり 舞台監督:加藤高 制作統括:井上麻矢 制作:長山泰久 若林潤 嶋拓哉 主催:こまつ座
前売開始日 2016年9月3日(土)
入場料6,500円(全席指定・税込み)
夜チケット6,200円(全夜公演対象)
U-30 4,500円 ※観劇時30歳以下・枚数限定・こまつ座のみ取扱い
【スペシャルトークショー】
11月14日(月)2:00公演後 蓬莱竜太
11月18日(金)2:00公演後 宮沢和史(音楽家)「沖縄への思い~島唄から24年~」
11月19日(土)6:30公演後 山西惇、松下洸平、普天間かおり
※アフタートークショーは、開催日以外の『木の上の軍隊』のチケットをお持ちの方でもご入場いただけます。ただし、満席になり次第、ご入場を締め切らせていただくことがございます。
※出演者は都合により変更の可能性がございます。
http://www.komatsuza.co.jp/program/index.html#254
※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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