東京ドイツ文化センター『同時代演劇リーディングシリーズ「ロッコ・ダーソウ」』07/30-31ドイツ文化会館ホール

ロッコ・ダーソウ
ロッコ・ダーソウ

 ⇒CoRich舞台芸術!『ロッコ・ダーソウ

 3日間という短い稽古期間だし、リーディングだし、高望みしちゃダメよね…とは思いますが、朗読の技術の低さがセリフの理解の妨げになっていることには、少々不満でした。俳優の演技に対する私の許容範囲の狭さは、自分でも驚くほどです…。

 終演後に舞台上で出演者全員のトークと質疑応答コーナーがあり、司会はドラマトゥルクの横堀応彦さん。木内みどりさんが明るく堂々と政治的発言をされていることに、驚いている自分がいました。あぁ飼いならされているよ私……。「俳優は政治的発言を避けるものだ」という日本ならではの悪癖に。木内さんのおかげでそこにも気づけました。

 ポレシュさんは約25年にわたりドイツの公立劇場で活躍し続けているアーティストです。原さん曰く「権威主義が大嫌いな、とても繊細で優しい人」。誰もが平等であることを重視し、たとえば俳優のセリフの量を均等にするほど徹底しているそうです。

 ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。

 同じセリフを何度も繰り返してくれるので、少しずつ自分の頭の中で言葉が積み重なって、意味を成していきました。終盤は出演者が中庭に移動し、朗読する様子を劇場内のスクリーンにスカイプ中継しました。このバーチャル感覚で腑に落ちました。さっきまで舞台上にいた4人の俳優が、中庭で話している…と観客は思っていますが、それを確認できるのはスカイプの映像だけ。つまり彼らの存在の証明にはなりません(録画かもしれませんからね)。自分が真実と思っていることの頼りなさが歴然です。

 「永遠の愛より行きずりのセックス」に共感しました。今、ここで、互いに触れていること、時間を共にしていることより尊いことなんて、ないよねって思うからです。言葉や思いだけじゃ足りません。行動、そして直接的に接することこそ、人間の恵みだと思います。

“Rocco Darsow”
出演:木内みどり、古舘寛治、安藤玉恵、原サチコ
作:ルネ・ポレシュ 翻訳・朗読演出:原サチコ ドラマトゥルク:横堀応彦 主催:東京ドイツ文化センター
全席自由/前売一般=1,500円
前売学生・ドイツ語講座受講生=1,000円
https://www.goethe.de/ins/jp/ja/sta/tok/ver.cfm?fuseaction=events.detail&event_id=20770876
http://www.cinra.net/event/20160730-roccodarsow
http://mash-info.com/others/news-1437.html
http://rd0730.peatix.com/?lang=ja

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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