市川猿之助さんが主演・演出されるスーパー歌舞伎II(セカンド)第二弾、『ワンピース』を拝見(⇒第一弾のレビュー)。原作は尾田栄一郎さんの有名漫画。作・演出は横内謙介さんです。ゆずの北川悠仁さんが主題歌「TETOTE」を提供(歌はRUANさん)。第一弾に続いて今回も浅野和之さん、福士誠治さんら、現代演劇の俳優が出演されています。上演時間は約4時間30分(途中40分と25分の休憩あり)。
⇒シアターガイドの記事に舞台写真多数あり
スーパー歌舞伎II「ワンピース」4時間半休憩2回込み。原作知らず筋書のみの知識で鑑賞。1幕は解説と助走、2幕で一線を超えた見せ場を連発して観客と一体化(泣いたわ〜)。3幕でドラマのクライマックスへ。疲れちゃったけど観て良かった! pic.twitter.com/Y2LbZdecDa
— 高野しのぶ (@shinorev) 2015, 10月 14
歌舞伎「ワンピース」続。まさか「ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ」「ロッキー・ホラー・ショー」が思い浮かぶなんて!空と海、舞台と客席の境界を取っ払い、人種、性別を超えて融合するアナログ空間の至福。世界に向けたメッセージと思う。 pic.twitter.com/6Jnfivx829
— 高野しのぶ (@shinorev) 2015, 10月 14
演出助手の1人である杉原邦生さんのツイート↓
まだ演出助手の仕事は続きますが、ひとまず、僕が今回関わって一番印象に残っている猿之助さんの言葉は、公演初日1幕目終了後の幕間に楽屋に行った時の第一声です。
「どう?お客、喜んでる?」
やっぱりこれがすべてで、これが一番なんだなー、と。
— 杉原邦生 Kunio Sugihara (@kuniooooooooo) 2015, 10月 10
⇒CoRich舞台芸術!『ワンピース』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
大秘宝ワンピースを探す大いなる航海の次なるステップ、新世界への入り口となるシャボンディ諸島での海軍との戦いの中で、麦わらの一味は散り散りになってしまう。一人になったルフィは兄エースの処刑宣告の知らせを聞き、救出に向かう。侵入不能の海底監獄を突破するルフィだが、エースは海軍本部に移送されてしまった後。そしてついにその海軍本部を舞台に、エースを救おうとする海賊団やルフィと、海軍との間で壮絶な決戦が繰り広げられる!!
≪あらすじ≫
いいお話ですね~…。1幕まで観た時点で、「日本の政治家は全員「ワンピース」読んだ方がいいよ!」と思いました。
伸びる手や炎、覇気(?)などを映像でダイナミックに表現し、紙吹雪や群舞などのアナログな方法もまた魅力的で、次々にいろんな工夫で楽しませてくれました。着物が基調となった衣装ですが、中華風、西洋風、現代風(警察や女子高生の制服とか)など、何でもアリ!(笑) 派手で豪華で嬉しいです。
出演者の中ではおかまのボン・クレー役を演じた坂東巳之助さんが良かったです(他にゾロとスクアードも演じてらっしゃいますが)。
最初の幕間で、かべす茶屋のカツが載ってるおそば(1,000円)をいただきました。名前は「まんぷく蕎麦」だったかな…本当にお腹満足でした(笑)。
ここからネタバレします。
「誰よりも自由に生きて、絶対に悔いのない人生を送る」のは、誰もが望むことだと思います。お互いがそのために協力し合うのが理想ですよね。馬鹿にせず、真剣にそれを信じていいと私は思います。
1幕は世界観を見せるための解説と助走で、少々スローペースな印象。市川猿之助さんが主人公ルフィと彼に恋する女王ハンコックの2役を演じ、早替えを披露しますが、あまり効果的とは思えず。
2幕の舞台はインペルダウンという監獄島。囚人たちが全力で花道を走って脱走するところから、スピードを感じました。監獄の奥にある“ニューカマーランド”に住むおかまのイワンコフ(浅野和之)たちは、極彩色のドラァグクィーンの衣装です。虹色のちょっと卑猥な装置をバックに、女を演じる“歌舞伎者”が、ボンデージファッションでノリノリに踊ります。まるでレインボーパレード!超感動!
そして本水の殺陣はやっぱり面白いですねー!ボン・クレー(坂東巳之助)とイナズマ(中村隼人)の見せ場でした。兄のエース(福士誠治)を助けるためにルフィ(市川猿之助)が監獄島から船で旅立つ場面で、ルフィが宙乗りをします。大きなくじらの形の風船がルフィとともに舞台と客席を舞い、他の俳優が通路にも大勢出てきて、主題歌「TETOTE」を歌いながらダンス。観客も手拍子で応えます。海と空が同化して、人種や性別の差、舞台と客席の境が消えて、漫画と歌舞伎、流行と伝統、今と昔が共存する至福のカオスでした。最後に2度目の休憩を示す「to be continued」というパネルが出てきて2幕が終わります。その文字も七色に光っていました(LEDかしら?)。「続く」の意味は「3幕に続く」だけでなく、「この幸せは未来にも続く」という希望も含んでいるように思いました。
3幕で「家族」「兄弟」「仲間」が強調され、他者のために生きる幸せに胸打たれましたが、違和感も少しありました。一時停戦のエピソードから協調、共存のメッセージを受け取り、今、上演する意義を感じました。
ワンピース、初日が無事に終わりました!T_T
歴史的な一瞬に立ち会えて本当に幸せです!これから二ヶ月、皆んなと一緒に一生懸命がんばります!
「誰よりも自由に生きて、絶対に悔いのない人生を送ろう!乾杯っー!」
麦わらの一味のセリフより pic.twitter.com/BzUrbT882t
— 市川蔦之助 (@IvyThe3rd) 2015, 10月 7
↓2015/12/27加筆。
あ、浅野さんが送ってきたスーパー歌舞伎の画像。クオリティ高過ぎだろ!!ww pic.twitter.com/ep7iZjiiPd
— 林田 航平 (@thunderogisan) 2015, 12月 9
こちらは激シブ浅野師匠。レイリーね。 pic.twitter.com/WPULR0P6bg
— 林田 航平 (@thunderogisan) 2015, 12月 9
松竹創業120周年 平成27年度(第70回)文化庁芸術祭参加公演
出演:市川猿之助(ルフィ/ハンコック/シャンクス)、市川右近(白ひげ)、坂東巳之助(ゾロ/ボン・クレー/スクアード)、中村隼人(サンジ/イナズマ)、市川春猿(ナミ/サンダーソニア)、市川弘太郎(はっちゃん/戦桃丸)、市川寿猿(アバロ・ピサロ)、坂東竹三郎(ベラドンナ),市川笑三郎(ニョン婆)、市川猿弥(ジンベエ/黒ひげ(ティーチ))、市川笑也(ニコ・ロビン/マリーゴールド)、市川男女蔵(マゼラン)、市川門之助(つる)、福士誠治(エース)、嘉島典俊(ブルック/赤犬サカズキ)、浅野和之(レイリー/イワンコフ/センゴク)、井之上チャル、ほか
原作:漫画『ONE PIECE』(尾田栄一郎)
脚本:横内謙介
演出:市川猿之助、横内謙介
スーパーバイザー:市川猿翁
美術:堀尾幸男 照明:原田保 音楽:藤原道山 作調:田中傳左衛門 衣裳:竹田団吾 ヘアデザイン:宮内宏明 映像:上田大樹 音響:小寺仁 振付:尾上菊之丞 穴井豪 特殊効果:田中義彦 演出助手:則岡正昭 杉原邦生 舞台監督:井口祐弘 林和宏 製作:松竹株式会社
主催:スーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』パートナーズ
後援:朝日新聞社
協賛:株式会社セブン-イレブン・ジャパン、大鵬薬品工業株式会社、日本生命保険相互会社、ショウワノート株式会社
【休演日】10月16日(金)、28日(水)、11月6日(金)、16日(月)【発売日】2015/08/20
1等席:16,500円
2等A席:9,500円
2等B席:5,000円
3階A席:5,000円
3階B席:3,000円
桟敷席:17,500円
[10月分]8月20日(木)、[11月分]9月20日(日)10:00より受付開始
http://onepiece-kabuki.com
http://www.onepiece-kabuki.com/
http://www.kabuki-bito.jp/news/2015/10/post_1495.html
http://www.kabuki-bito.jp/theaters/shinbashi/2015/10/ii_1.html
http://www.kabuki-bito.jp/news/2015/08/post_1457.html
http://www.kabuki-bito.jp/news/2015/07/ii_1.html
http://www.kabuki-bito.jp/news/2014/12/one_pieceii.html
※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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