東京芸術劇場「カントールと演劇の二十世紀・作品上映+展示+レクチャー+シンポジウム「死の教室」「愛と死の機械」」10/08-18東京芸術劇場シアターイースト

カントールと演劇の二十世紀
カントールと演劇の二十世紀

 ポーランドの演出家、タデウシュ・カントールの生誕100年を記念したイベント「カントールと演劇の二十世紀」が東京芸術劇場で開催されています。メルマガ10月号で少しご紹介しました。映像上映、絵画展示、シンポジウムなど多彩です。⇒公式サイト

 初日は「死の教室」「愛と死の機械」の2本立て映像上映でした。有名演劇関係者(演出家、振付家、俳優、ライター・編集者など)がたくさんお見えでした。私は恥ずかしながら名前を聞いたことがある程度でして、カントール作品の映像を初めて見ました。これは…若い作り手の方はひとつでも観ておいたらいいんじゃないかなぁと思いました。

 ・12月17日(木) ~24日(木)【タニノクロウ作・演出 ワーク・イン・プログレス
 ・12月18日(金) ~20日(日)【ワークショップ カントールの舞台の俳優術

 「死の教室」は映画(監督:アンジェイ・ワイダ)もあるんですね(関連サイト⇒)。今日拝見した映像作品は鴻英良さんの朗読と解説付きで、いくつかのステージを合わせて編集したものでした。死者たちの乱舞…(?)。わけもわからず見ていたら、なぜか終盤になってお酒をがぶ飲みしたくなりました…「放蕩の限りを尽くしたい!」的な気持ちがムクムク湧いてきて(笑)。

 「愛と死の機械」は木偶人形と黒スーツ&黒帽子の男たちのムーブメントを眺めてて、めいっぱい想像できました。岡田利規さんが『わたしたちは無傷な別人であるのか?』で(今も?)おっしゃってた「コンセプション(受胎)」のような感覚。メーテルリンク作『タンタジールの死』がもとになっているようで、シンプルな言葉が私には響きやすかったのだと思います。

 ここからネタバレします。

 カントールさんって上演中もずっと舞台上にいらっしゃるんですね!何やら指示も出している様子で、全体が最初から劇中劇なんですね。うーん、劇というよりはパフォーマンスと言った方がいいのでしょうか。場面の反復や意味不明のアンサンブルが、きちんと再現可能な表現として連続していき、ある情景が立ち上がっていくように感じました。ある世界がぐっと立体化するというか…。革命アイドル暴走ちゃんのパフォーマンスみたい!と思いました(二階堂瞳子さんが客席後方でずっと舞台を見てメモを取っていることもあり)。あと、庭劇団ペニノの『黒いOL』も思い出しました。

以下、公式サイトより引用。

【作品上映】
作・演出=タデウシュ・カントール、出演=Teatr Cricot²いずれも日本語字幕付き
協力=京都市立芸術大学

<死の教室>
1976-1990年 Change Performing Arts制作
字幕翻訳=荒川いづみ 朗読テキスト翻訳=鴻英良 上映時間=90分
1975年11月15日、クラクフのクシシュトフォリ・ギャラリーにて初演。奇怪な死を巡るアラベスク。古びた教室の机の周辺で、狂おしくも演じなおされ、反復される絶望と歓喜。愚行の輝かしさ。こうして死を現前化させる空間が奇妙な透明感に満ちてくる。これは死の演劇。日本ではアンジェイ・ワイダ監督による劇場映画版が公開されているが、これは初演の数ヵ月後の希少な映像を中心に世界各地の上演映像を、カントールのテキストを最も忠実に再現することを目的に構成し、日本語朗読を加えた特別版。

<愛と死の機械>
1987年 Change Performing Arts制作 字幕翻訳=荒川いづみ 上映時間=34分
カントールは、1938年、クラクフ芸術アカデミーの学生の時、メーテルリンクの象徴主義的作品『タンタジールの死』を、構成主義的、バウハウス的方法とぶつけて上演した。それから50余年、この舞台を再構築し、「演劇的機械」のなかに新たにはめ込み、それをクリコタージュと呼んだ。1987年、カッセルのドキュメンタにて初演。

(全席自由席・税込)
【作品上映+展示】
一本=1,500円
映画セット券=2本:2,800円 3本:3,900円 4本:4,800円
※セット券は前売のみ取扱い(枚数限定)
※シンポジウム、レクチャーはセット券の対象外です。
【レクチャーまたはシンポジウム+展示】前売・当日=1,000円
http://www.geigeki.jp/performance/theater104/104-1/

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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