出演者12人中、11人が新国立劇場演劇研修所の修了生という公演です。主役も修了生なのが個人的にはとても嬉しいです(同研修所試演会と修了公演でしかなかったことなので)。
有名なシェイクスピア戯曲『マクベス』を「分不相応な地位に手を伸ばしてしまった“若者の疾走”」に仕上げいたのが面白かったですね。何かに似てる、どこかで見たことがある…と思っていて、ようやくピンときました。映画「俺たちに明日はない」だ!
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ラゾーナ川崎プラザソルで西沢栄治演出「マクベス」2時間。対面客席で装置はほぼなし。真摯な演技と雄弁な音楽、照明で見せきる。明るい若さと疾走感が小気味良い。紅一点のマクベス夫人の山﨑薫さんはイメージが豊かで機敏、しかも可愛い!マクダフ(寺内淳志)&マルカム(薄平広樹)の対話が白眉。
— 高野しのぶ (@shinorev) 2015年10月1日
⇒CoRich舞台芸術!『マクベス』
※2016/08/24に公開しました。
≪作品紹介≫ CoRich舞台芸術!より
シェークスピア四大悲劇の一つである「マクベス」。奇しくも今年は各地で上演されていますが、新国立劇場 演劇研修所修了生を主体とした若い俳優陣と演出家・西沢栄治氏による新しいマクベスを、ラゾーナ川崎プラザソル9周年記念公演としてお届けいたします。
≪ここまで≫
私が拝見した10月1日(木)19:00の回という2ステージ目でしたが、よくいわれる「2日落ち」ではなかったようです。俳優の演技をしっかり楽しめました。
劇場に入るなり、何もない黒い空間が広がっていました。一観客の浅知恵でしかないのですが、少ない予算の中でがんばっている公演なのだろうなと思いました。結果的に、何もない空間で、演技と音楽だけであそこまでわかりやすくできたのは、演出の西沢栄治さんの手腕なのかもしれない…とも思いました。
紅一点の主役、山﨑薫さん(5期生)は可愛らしくてコケティッシュ!小動物や虫みたいに見えることもあって(笑)、私にとって新しいマクベス夫人でした。イメージが豊かで瞬発力があって、徘徊場面のアイデアも凄かった~。
男性No.1はマルカム役の薄平宏樹さん。修了したばかりの8期生ですね。演技の組み立てが緻密!冷静にコントロールしてる感じが嫌みにならず、痛快。
魔女などを演じた頼田昂治さん(6期生)が渋くて素敵でした。立ち姿がズシっと安定していて、殺し屋役も医師役も声が良かった。最初に出てくるコミカルな門番役(?)も頼田さんだったのかしら。
寺内淳志さん(7期生)が演じるマクダフは、最初は繊細で感じやすそうな若者でしたが、周囲にかまわず激昂する兵士に変貌します。その変化が自然で、かつ、鮮やかでした。火傷しそうな熱さが、誠実さゆえのものに見えたのもよかったです。
ここからネタバレします。
オープニングの戦闘場面で、赤いひもが多数、いきなり天井から落ちてきました。幕開けの演出として効果があったと思いますが、赤いひもの処理が雑で、見栄えが良くなかったです。衣装も全体的に簡素なんですよね。スタッフワークにはあまり期待しないようにしました。
3人組の魔女を男性が演じていました(白川哲次、大里秀一郎、頼田昂治)。この3人組が常にチームになっており、例えばマクベスの依頼でバンクォーとその息子フリーアンスを襲う悪党たちや、終盤になってマクベス側の陣営に残る兵士たちもセットで演じます。魔女たちが色んな姿に化けて、マクベスを破滅へと導いていたと解釈できました。特に頼田さんの声に艶があり、強く印象に残ったんです。だからフリーアンス殺害に失敗した後、頼田さん演じる悪党が、残りの2人(白川哲次、大里秀一郎)を口封じのために殺したことがよくわかりました。あー、ここ、ちゃんとわかったの初めてかも!
暗殺されるバンクォー(日下諭)がなぜか、大きな口を開いてニカッ!と笑う場面があり、「ギャグなのかな(でも笑えない…)」と思っていたのですが、マクベスが2度目に魔女のところに相談に行った時、そのニカッ!とした笑顔のバンクォーのお面をかぶった人々が次々に登場したんです。「マクベスは王になるが、後を継ぐのはバンクォーの子孫である」という予言がとてもわかりやすかった!実際の歴史でもバンクォーの子孫(フリーアンスの長男ウォルターの子孫)がスコットランド王になるそうです。
若輩者の若夫婦(=マクベス夫妻)が身の丈に合わない夢を叶えてしまい、右往左往しながらも最後(死ぬ)までその夢にしがみつく姿を描いていたように思います。そのみっともなくて中途はんぱな悪党っぷりが、滑稽で可愛くて、若者らしい。そういう演出コンセプトだったんじゃないかと思いました。
以下、関連ツイートを転載します。
『マクベス』初日あきました!
カーテンコールの拍手が凄く響いてきて
まさかのダブルで
震えます
そんな『マクベス』@ラゾーナ川崎プラザソル
今日は19時!
意外と品川から8分よ
駅から5分で劇場よ
ふらっとお立ち寄りあれ!
http://t.co/Fbgn4YZxb6
— 小山貴司 (@koyamatakashi) 2015, 10月 1
@satoshikusaka こちらこそありがとうございました。日下さんのあの“顔”の意味が中盤でわかり、効果が終幕まで続いていたのが私的には良かったです。そして30歳おめでとうございます!ケーキは私にとってはサプライズでした(笑)。どうぞ体調万全にマチソワを乗り切ってください!
— 高野しのぶ (@shinorev) 2015年10月1日
@atsushi_terau 私が今までに観た寺内さんの中で、今日が一番かっこ良かったです。どうぞ体調を万全に、ハードなお芝居を、千秋楽まで熱く駆け抜けてくださいませ!
— 高野しのぶ (@shinorev) 2015年10月1日
ブログを更新しました「「マクベス」千穐楽を迎えました!」 http://t.co/isbnZakhBe
— 山崎 薫 (@kaoru1564) 2015, 10月 5
実際やっぱり楽しかったー!
また会いましょう!無頼漢ども! pic.twitter.com/kNIHauWFvO
— 梶原航/カジワラワタル (@wataru_kaji) 2015, 10月 5
マクベス無事終演。ありがとうございました。 pic.twitter.com/55BQZSnLph
— Satoshi Kusaka 日下諭 (@satoshikusaka) 2015, 10月 5
「マクベス」終幕。とても勉強に、練習に、思い出になった舞台。
ファンキーアンガス(小山さん)
コメディアンメンティス(日下さん)
デンジャラスシートン(秀さん)
ダンディズム奴隷(頼さん)
本当にありがとう。明日からまたGO? pic.twitter.com/Qgrh4MvP1X
— 吉田健悟 (@_Ken5o_) 2015, 10月 4
「マクベス」
千秋楽を終え、バラシも終了いたしました。皆様、ほんとうにありがとうございました。戦のあとの、打ち上げへ向かいます。 pic.twitter.com/u3JUbzsA1x
— 梶原航/カジワラワタル (@wataru_kaji) 2015, 10月 4
マクベス終わったぜええええ!!!!
沢山のご来場ありがとうございましたー!!!
マルカムをやらせてもらえてとても光栄でありました。打ち上げ帰りでだいぶ酔ってます( ̄▽ ̄)
本当にありがとうございましたー!! pic.twitter.com/1laC8RUoK6
— 薄平広樹 Usudaira Hiroki (@USD_hiroki) 2015, 10月 4
【マクベス】
全公演終了しました。
マクダフという素敵野郎とも出会えたし、共演者全ての素敵野郎達とも一緒にやれて幸せでした。
キャストスタッフ含めて全員でのチームプレイ。
沢山の御来場ありがとうございました。
ありがとうマクダフ。
ありがとうマクベス
【これにて終了】
— 寺内淳志 (@atsushi_terau) 2015, 10月 4
研修所は人を阿呆にする。
— 梶原航/カジワラワタル (@wataru_kaji) 2015, 10月 4
研修中は学ぶこと毎に、本当に楽しくてその通り真面目にトライしてきた。だからこそ思うけれど、教科書もらって一通り真面目に一生懸命読んだら捨てちまえと。価値を広げて間口を広く。大体演劇の間口を狭めているのは、演劇を偏愛している人たちだと思う。ある程度自由なほうが子は育つんじゃないか。
— 梶原航/カジワラワタル (@wataru_kaji) 2015, 10月 7
ラゾーナ川崎プラザソル9周年記念公演
出演:梶原航、山﨑薫、白川哲次、大里秀一郎、日下諭、木村圭吾、頼田昂治、寺内淳志、吉田健悟、薄平広樹、坂川慶成、小山貴司
脚本:ウィリアム・シェークスピア
翻訳:河合祥一郎
演出:西沢栄治
舞台監督:渡邊歩
音響:遠藤智宏(東京アートプロ)
照明:川田崇
宣伝美術:三上毅
写真撮影:山村厳
映像撮影:脇田昇(てんとろむし企画)
当日制作:劇団企てプロジェクト
制作協力:ラゾーナ川崎プラザソル スタッフ
企画制作補:小山裕嗣
企画制作統括:別府寛隆
主催:株式会社エイチ・アンド・ビースタッフ
共催:公益財団法人 川崎市文化財団
【発売日】2015/06/30
全席自由
一般前売4000円 一般当日4200円
小中高生前売2000円 小中高当日2200円
未就学児童入場不可
https://www.facebook.com/macbeth2015.plazasol
※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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