さいたまネクスト・シアター『世界最前線の演劇2「第三世代」』11/08-18彩の国さいたま芸術劇場 NINAGAWA STUDIO

 『ジハード』に続く、さいたまネクスト・シアターの「世界最前線の演劇」第2弾です。『第三世代』はドイツ・シャウビューネ劇場とテルアビブ・ハビマ劇場が共同製作した作品とのこと。


 

≪あらすじ≫ 公式サイトより 
「世界最前線の演劇」は、11月に第2弾としてドイツ・シャウビューネ劇場とテルアビブ・ハビマ劇場共同製作の『第三世代』を上演いたします。
(略)
第2弾は、演劇界の注目を集める社会派の劇作家・演出家のひとりである中津留章仁氏を演出に迎え、ドイツ・イスラエル・パレスチナを巡る対立の根源を探ろうとするホロコーストとナクバの後の第三世代の若者たちの姿を描いた『第三世代』を上演いたします。
ドイツとイスラエルでそれぞれの国の俳優が参加し、俳優たちが自身と役の間を往還する大胆な手法を用いて2008年にワーク・イン・プログレスとして初演され、大きな注目を集めた話題作です。
中津留章仁とさいたまネクスト・シアターがタッグを組んで挑む本作にどうぞご期待ください。
≪ここまで≫

 椅子以外にほぼ何もない舞台は三方を客席に囲まれています。観客に話しかけることが多い劇中劇でした。本当に話しかける演技と、その振りをする演技が混ざっており、劇中劇の登場人物として観客に語ることもあります。その切れ目が曖昧で、俳優によって精度に差がありました。

 私は全般的に怒鳴り声が辛かったですね。挿入歌の演奏と歌声の音程が合っていないのは意図的だったのかしら。敢えてだったのかもしれませんが、上手でない歌は聞き苦しかったです。

 パレスチナ問題に関連する映画は、機会があればDVDで拝見するようにしています。たとえば下記の3作品など。「パレスチナからフクシマへ」はとてもお薦めです。

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 ここからネタバレします。

 参加俳優の祖父母がホロコーストの当事者だったり、本人がインティファーダに参戦していたり…。

 ユダヤ人に謝罪し続けることや、移民の流入への強い不満をぶちまけるドイツ人俳優(内田健司)のセリフは、聴衆を煽り排外主義を助長するものでした。今後、自分がどうやって抗えるのかと考えさせられました。

 日本でイスラエルのブランドの商品は売られていますし、舞台芸術だとイスラエルのダンスカンパニーも来日していますよね。私自身もこの問題の当事者なのだと思います。

 「このプロジェクトのお金は誰が出しているんだ?」と、作品の前提自体を問うのが面白かったです。

 小道具のパネル(ドイツの偉人の写真など)が床に散らばり、俳優は演技しながらそれらを踏んでいました。ワーク・イン・プログレスという設定で「世界ツアーが決まっている」というセリフもありました。いずれは本番で使う小道具なのだと考えると、ドイツ人俳優たちは大切に扱うはずだと思うのですが…。本番の予定がないとしても、踏む意味がよくわかりませんでした。

[ドイツ/イスラエル]
フェスティバル/トーキョー18連携プログラム
出演:周本絵梨香、手打隆盛、松田慎也、内田健司、續木淳平、阿部輝、井上夕貴、佐藤蛍、高橋英希、清瀬ひかり(劇団青年座)
脚本:ヤエル・ロネン(Yael Ronen)&ザ・カンパニー 翻訳:新野守広 演出:中津留章仁
美術:乘峯雅寛 照明:宮野和夫 音響:佐藤こうじ 衣裳:紅林美帆 舞台監督:須田雅子 監修:細田和江 企画コーディネート:林英樹 制作助手:足立悠子 制作:田中美樹
制作統括:渡辺弘 技術統括:岩品武顕 制作・営業担当グループリーダー:中田晃史 営業:鶴貝典久 松井哲 票券:本郷充子 鈴木優子
主催・企画・制作:公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団
【発売日】2018/09/01
一般前売:3,000円
U-25チケット:2,000円
※終演後アフタートークあり。(20分間予定) 
http://www.saf.or.jp/arthall/stages/detail/5820
https://www.festival-tokyo.jp/18/program/daisansedai
https://stage.corich.jp/stage/94545

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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