オフィスマウンテン『ホールドミーおよしお』05/24-06/10 STスポット

 オフィスマウンテンは劇作家、演出家、俳優の山縣太一さんが主宰されるユニットです。上演時間は約1時間10分。

 「CoRich舞台芸術まつり!2017春」の審査員として拝見しました(⇒102本中の10本に選出 ⇒応募内容)。※レビューはCoRich舞台芸術!に書きます。下記にも転載しました。 

 細長いシートが上手にぶら下がっている以外はほぼ何もないSTスポットの白い空間に、現代の普段着姿の若者7人が登場します。役を演じる俳優、踊りを踊るダンサーというより、パフォーマー(演技者)と呼ぶのがふさわしそうな存在の仕方です。演者がいて観客がいますから、まぎれもない演劇作品ですが、作品全体が観客を含めた実験であり、インスタレーションのようだとも思いました。

 作・演出の山縣太一さんは数年前にチェルフィッチュや遊園地再生事業団の公演で拝見していましたが、今回は出演されていません。ご本人が出演するオフィスマウンテンの公演も観てみたいと思いました。

 ロビーでこの公演のサウンドトラック付きの台本を購入(1000円)。音楽・出演の大谷能生さんがサインしてくださいました。

 ここからネタバレします。

 役柄は野外音楽フェスに行く男性たち、キャバクラに行く男性たち、そしてキャバ嬢たちなど。大谷能生さんの役は音楽フェスに出演する人です。

 出演者は観客という他者の前で、自分の心身をさらしていました。手足の動きも表情の変化も、胸(乳首?)をつまんだ時の体の反射も、使えるもの・ことは全て使うというハングリー精神を感じました。演技の求道者たちをじっと見つめる時間だったように思います。音楽も照明も、彼らの演技の補助をするとか、作品の方向を定めるとかでなく、同じ出演者としてそこにあるようでした。

 戯曲は基本的に独白で構成されており、現代日本、特に首都圏の過去数十年と現在とが、若者のシニカルな話し言葉から浮かび上がります。ダジャレの言葉のセンスが独特で、とても面白いです。たとえば「言い訳、おすそ分け、ヨイトマケ、パケ放題」で笑っちゃいました。語尾が変化するのも楽しかったですね。言葉の意味をそのまま届けるような演技ではなかったので、言葉と意味、演技、動作を別々のものとして味わいました。

 出演者の中では稲継美保さんが特に印象に残りました。観客とともにある柔軟さと攻めの姿勢が動き続ける体に同居していて、挑発的な視線に私自身が影響を受けました。

 終盤になって照明が明滅を繰り返し、不穏な雰囲気が高まってくるのが良かったです。

vol,3
出演:大谷能生、難波幸太、横田僚平、矢野昌幸、児玉磨利、宮崎晋太朗、稲継美保
脚本・演出:山縣太一
【音楽】大谷能生 【音響】牛川紀政 【企画・製作・制作】オフィスマウンテン
チラシデザイン:嵯峨ふみか
共催:STスポット 特別協力:急な坂スタジオ 
【発売日】2017/04/01
前売2,500円当日3,000円
未就学児の入場は予約時に応相談。
受付は開演の30分前、開場は開演の15分前です。
http://officemountain.tumblr.com/
http://stage.corich.jp/stage/81078

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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