新ロイヤル大衆舎『王将』04/27-05/14小劇場 楽園

 福田転球、大堀こういち、長塚圭史、山内圭哉さんが立ち上げた新団体「新ロイヤル大衆舎」の旗揚げ公演は、北條秀司作『王将』の三部作一挙上演です。長塚圭史さんが構成台本と演出を手掛けられました。

 上演時間は第一部105分、第二部105分、第三部130分。私は第三部のみ拝見しました。80席というとても小さな劇場でこの顔ぶれ。早めに行きましたが当日券もなかったです。レビューは記録程度です。

王将 [DVD]
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 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
正気か狂気か?
何を信じたらこの小さな小さな楽園で
王将を三部作丸ごとやるなどという暴挙に踏み切れるのか!?

【第一部】
明治39年。大阪は天王寺の貧乏長屋。坂田三吉は、三度の飯より将棋が好きで、素人名人とまで呼ばれる将棋指し。しかし、家庭を顧みず仕事をほっぽり、あげく借金で首がまわらない始末。とある日、将棋大会で関根七段に惜敗した三吉は、仕事をやめ、家庭を捨て棋道に身を投じ関根七段に雪辱を晴らそうと決意する。
それから八年後、ついに三吉は関根に勝利する。しかし、苦し紛れに打った手で、まぐれで勝利したに過ぎなかった。それを見抜いた娘の玉江は、三吉の将棋には品がないと叱責する。思い直した三吉は、弟子も断り、豊かになった生活を捨てても良いかと妻の小春に問う。微笑んで受け入れる小春。こうして、三吉はさらに将棋の道をつきつめてゆく…。

【第二部】
大正13年、大阪中の島のホテル。三吉の後援者達は東京に対抗し、三吉に関西名人を名乗らせようとしている。断り続けていた三吉だが押し切られ、気乗りはしないまでも関西名人を名乗ることになる。
そのことにより、東京の将棋連盟から追放された三吉。関西の青年棋士の多くが東京側に寝返ってしまい、孤立を深めてゆく。そんな三吉の貧しく荒んだ生活を支えようと身を切る玉江と、その光景をじっと見つめる若き次女の君子。坂田将棋の凄みを知りながら、何ら手を打てずに砂を噛むばかりの旧友宮田。
昭和11年初冬、東京側と和解した三吉は12年間の沈黙を破り、京都南禅寺で木村八段との天下分け目の東西対局を迎える…。

【第三部】
昭和13年、東京での名人戦の帰路、鉄道事故により大垣駅で足止めにあう。事故列車に愛弟子松島が乗車していたのではないかと三吉は我を失う。
時代は戦争へと突き進む中、三吉は区画整理のため、寺院の裏手に仮住まいをしている。事故で松島を失ったことに続き、弟子の森川も戦争へと駆り出されてしまう。
それから5年後、有馬温泉で怪我により帰還した森川は、今や最高峰に君臨する木村名人と対局。戦地での経験を経て心身ともに逞しくなった森川は名人に辛勝する。しかし三吉はどうしても気に入らない。勝ったのは三吉ではなく弟子の森川なのだ。
それから3年後、敗戦が色濃くのこる天王寺の貧乏長屋で、三吉は君子と孫の将一とともに静かに暮らしている。そんな折、森川がいよいよ名人位決定戦に挑むと、三吉を訪ねてくる。果たして三吉は嫉妬に悶えるのか、それとも…。
 ≪ここまで≫

 『王将』三部作は新国劇で1947年~1950年に上演されたそうです。第一部が人気だったから続編ができたんですね。

 スーツ姿の大堀こういちさんが冒頭で、第一部、第二部のあらすじを熱く解説してくださいました。拍手!

 ここからネタバレします。

 坂田三吉役の福田転球さんは本当に愛嬌のある俳優さんで、何をやっても可愛らしいなと思ってしまいます。

 目当ての古河耕史さんは何年も名人の地位を守っている木村名人役(第三部のみ登場)。戦場から戻ってめきめきと実力を付けた坂田の弟子の森川(大東駿介)と対戦し、なんと、名人の方が負けるんですね。本来なら弟子の勝利を喜んで褒めるべきところ、坂田は悪態をついてしまいます。支援者は怒り、家族もあきれ顔。一人でしょんぼりしているところに登場したのが木村名人役。はかま姿で所作も完璧。坂田を尊敬していることが全身から伝わるから、坂田も素直に、家族にさえ言えないことを木村に吐露するというわけです。人間の真実の交流があったと思いました。満足。

 坂田の長女玉江役の江口のりこさんも良かったです。森川役の大東駿介さんも華があって魅力的でした。

出演:【第一部】福田転球、大堀こういち、長塚圭史、山内圭哉、常盤貴子、江口のりこ、弘中麻紀、櫻井章喜、高木稟、さとうこうじ、金井良信、石田剛太、原田志、池浦さだ夢
【第二部】福田転球、大堀こういち、山内圭哉、江口のりこ、森田涼花、弘中麻紀、大東駿介、櫻井章喜、高木稟、さとうこうじ、金井良信、石田剛太、原田志、池浦さだ夢、陰山泰
【第三部】福田転球、大堀こういち、山内圭哉、常盤貴子、江口のりこ、森田涼花、弘中麻紀、大東駿介、櫻井章喜、高木稟、さとうこうじ、金井良信、古河耕史、石田剛太、原田志、池浦さだ夢
作:北條秀司
構成台本+演出:長塚圭史
音楽:山内圭哉
美術:堀尾幸男
照明:齋藤茂男
扮装統括:柘植伊佐夫
音響:加藤温
演出助手:城野健
舞台監督:福澤諭志
美術助手:片平圭衣子
衣裳助手:畑久美子
大道具:唐崎修
衣裳協力:松竹衣裳(白井恵)
宣伝美術:山内圭哉
題字:福田転球
web:鈴木拓
制作:笛木園子
制作助手:太田郁子
票券:熊谷由
(全席自由・整理番号付) 一般 6,000円
各種割引(枚数限定・公式ウェブサイトのみにて発売)
一日通し観劇割引 15,000円 (5/4[木祝]~7[日]のみ 三部作セット)
二夜連続割引 11,000円 (一部4/27[木]二部4/28[金]セット)
25歳以下割引 4,000円 (全ステージ)
※未就学児のご入場はご遠慮ください
http://shinroyal.com/

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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